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ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語  作者: opocho


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ハグレ確保



神眼とシンクロさせたマップ機能によるとアラートが届いたのは青森の北端。


「仙台拠点……いや札幌から南下だな。行くぞ」


即時転移。

拠点に到着して私が単独で現地に高速で飛ぶ。

みんなにも飛行は譲渡したがまだ練習不足なのでしばらくはこのやり方で進めることに決めている。


現場は今回も人里離れた平原だった。

人目を気にしなくて済むのはありがたい。


だがそれにしても――。

「なあギル、なんかいつもより反応が強くないか?」

「ああ、こりゃ規模が違うかもな」

「ゾンビ以外にも来そうだな。いよいよ新天地送りか」


まずは歪みの発生地点の地上にマーキング。

次に離れた場所に前線基地を置いてからみんなを強制転移で呼び寄せる。


前線基地は戦闘に特化した移動式のベースだ。


四方を高さ50メートル、横幅1キロの壁で囲み、中央には200メートルのタワーが設置されている。

といっても拡張による基地なので実際は6畳ほどのミニコンテナである。


もちろん認識阻害は強力に発動している。

ゆえに配置場所はしっかり選ばないといけない。

下手なところに置くと認識できないクルマが衝突する事故が起きる場合もあるからな。


この辺は改良の余地ありということで我らが天才科学者が対策を検討中である。


「反応が強い。ゾンビ以外にも来ると思う」

「いよいよですね! ボクはタワーに残ります。歪みととハグレのデータを収集分析したい」

「頼んだぞ。あとは予定通りに」


演習と議論を重ねて組んだシフトはこうだ。


最前 ウミ、リュカ

前衛 ユキナ、ミズホ、古杉、アキラ(遊軍)

中衛 三花

後衛 サチ、親父、伊東、掛川


本当は私一人が最前線を張るつもりだったがやはりリュカは断固としてそれを許さなかった。


アキラも同じくであったけれど、ユキナとミズホを守るタンクの古杉くんをサポートしてもらうために前衛に。

但し遊軍で状況により最前線に出ることを許容している。

三花くんは強力な弓を扱う中衛として単独配置。

アタッカーではないメンバーは後衛でしっかり安全を担保してもらい、バフや攻撃魔法に集中してもらう。


はっきりいって無敵だ。

この時点で世界が獲れる。


しばらくして空間が広く歪みだした。


「やっぱりだ。マスター、こりゃかなり数が多いぜ!」

「わかった!」


白いモヤが発生し、やがてそれが晴れる。

現れたのは――いつもの大量のゾンビだ。数はいつもの倍の2000。

そしてあれは魔狼だな。

あとは――ゴブリン、コボルトか。

どれも数は100だ。

どれも数がきっちりしすぎて明らかな人為的な攻撃だと確信する。


「こりゃ大量に送り込んできたな!」

「順に行こう。まずはゾンビだ。親父! 演習通りにまずは後衛で頼む」


親父から返事が届く。

「了解だ。じゃあ中央はもらうから右を伊東さん、左をサチで行こうか」

「いいぞ」「わかりました!」

「中継はいるか?」

「いらんいらん。3人いるから撃ち漏らしなんぞしないよ」

「了解。任せた」


後方から莫大な魔力が立ち上がる。

私たちは魔法を吸収せずスムーズに通すために一度射線から身を隠す。

このための壁の高さだ。


すぐにヒールと古代魔法がすぐ上を通過していく。

頭を上げた時にはゾンビはすべて消滅していた。


「相変わらずすげーな」


「主、魔狼は我が引き受けよう」

「え、同族だろ?」

「戦うまでもない」


そう言うとリュカは遠吠えを轟かせた。

「アオオオオオオオーーーーーン!!!」


すると魔狼の群れは瞬時にその場で伏せていく。


「まじか。一声で調伏したぞ」

「すげーな! さすがは魔狼王だぜ」

「当然だよ主。『お前たち、参れ』」


魔狼王の指示に魔狼軍団はこちらへ走り寄ってくる。

「よし、まずは魔狼に新天地に行ってもらおうか」

「わかった。伝えよう」


リュカが目の前に整列した魔狼に告げる。

「よくぞ従った。これから我がお前たちの長になる。そしてこの方が我が生涯をかけて仕えることを決めている王だ。そなたたち、わかっておるな。命をかけて王を護れ」

「おいちょっと待てリュカ。何言ってるんだよ」


慌てて私が声を上げたが時すでに遅し。

魔狼たちが全員遠吠えをあげて私に伏せた。


「いや仲間でいいんだよ」

「無理だよ主。我が従っているのだからな」

「えええ」


魔狼たちからも再度遠吠えが響き渡る。


「……わかったよ。みんなよろしくな。親父! 魔狼が仲間になった。彼らはそっちに送るよ」

『わかった』

「お前たち、後ろの門から城にゆけ」


リュカの声に群れは一斉に基地に向かって駆け出した。

おお、カッコいいな!


さてとあとはゴブリンとコボルトか。


「三花くん! こいつらはどうなんだ?」

「解釈はまちまちですね。仲間になったりする話もありますけどそれはレアかな。ゴブリンなんかはたいていは人間を敵視して女を凌辱して種床にしたりしますね」


三人娘から悲鳴があがる。


「そりゃ困るな。コボルトは? これ犬人間だよね」

「ゴブリンよりは仲間になる話は多いですよ。知性があればですけど」


なるほどな。

じゃあコンタクトしてみるか。


「ちょっと話してみるわ」

「オレも行こう」

「わかったよアキラ。行こう」


アキラを待ってからふたりで群れに向かって歩く。


「どっちいく?」

「このまま右いくよ。緑のやつ」

「ゴブリンだな。じゃあオレはコボルトな」


平然と向かってくる私たちにそれそれの群れが動揺しているのがわかる。


「群れてるんだから知能はあるかもな」

「だといいけどな」


私たちが近づくにつれ群れはいきり立ち吠えて威嚇をしてきた。


三花くんから通信が届く。

「ダメっぽいですね」

「なんで? まだわかんないよ」

「残念ですけどね。スキルの『語学』が機能しているはずだから知性があれば言葉に変換されるはずなんですよ』

「あーね」

「群れてるだけか」


伊東さんから通話。

「まずは送り込んでみてから考えればいい」

「そうするか」

「わかった。やろう」


私たちは両手を前にかざして魔法を唱える。


「転送」

「トランスファー」

「!?」


途端に目の前が黄色く光り、光が収まったときにはゴブリン、コボルトの群れは消失していた。


「成功だな」

「おい、なんでアキラは英語なんだよ」

「カッコいいだろ。調べたんだよ」

「ズルいぞ」

「なんだよズルいって」

「カッコいいじゃねえか」

「もうダメだぞ。ウミは日本語な」 

「なんでだよ!オレも英語にする」

「マネっこかよ」

「な!」


わいわい揉めていると今度は掛川くんから通信が入る。


「なにつまんないことで揉めてんすか! 分析できましたよ!!」  

「やったか! すぐに戻る!」

「アキラ、転移するぞ。『トランスファー』」

「だからパクんなよ!」


知らん。

カッコいいからな!



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