ここ3階だぞ
結局、明け方までみんなで楽しんだ。
みんな覚醒して疲れないので全然へっちゃらなのだ。
親父の朝の仕込みを手伝ってから一旦解散する。
といってもみんな同じ家だけど。
4階を男フロアに改装してから親父も古杉くんも三花くんも当然のように家に帰らなくなったので、里山さんに頼んでふたりの部屋は早めに解約してもらうことにした。
親父はもともと1階の店の奥に住んでいたのであまり変わらない感じだけど。
気づけば7人と一匹、そしてギルの8人世帯か。
いつの間にやら大家族になったもんだな。
リュカに個室を用意しようとしたら、私と一緒の部屋でなければ絶対に嫌だというので(かわいいやつめ)、3階も拡張することにした。
ファミリー以外には今までどおり。
でも実際は最強のとんでも仕様にしてやるぜ!
テーマは決まってる。
迷いなく大草原リゾート1択だ!
リュカが人目を気にせず思う存分に走り回れるように見渡す限りを大草原にするのだ!
家の近くには澄んだ川を流して、それが透明度抜群の大きな湖に流れ込むイメージ。
遠くには山を置いてと……おお、いい感じ!
山を並べて南アルプスみたいにしてみようか。
ならちゃんと空も欲しいよなー。
濃い青空に白い月を浮かべて、遠くには入道雲。
これ好きなんだよ!
夜になったら綺麗な星がバッチリ見えるようにする。
子どもの頃には見えていた天の川はもうずいぶん見ていない。
世界でいちばん星が綺麗に見える場所にしておこう!
で、家だ。
まず大きな平屋をドンと置く。
アメリカでよく見るような半分屋根のついたポーチ……えーと、カバードポーチか!
これを思い切って家の周りにぐるりと作ろう。
360をオープンテラスに囲まれてるとか気持ちいいだろうな!
ところどころに足を洗える足湯を置いておけばリュカも楽ちんだ。
家の左右に階段をつけて、上がった2階は全面芝生のバルコニーだ。
半分が屋根付きにして、そこに大きめのベッドと露天風呂を置いてみるか。
でもって1階の庭には大きなタラソプールだろ。
もちろんサウナは必須。
となれば広めの水風呂代りのプールだ。
ここにも露天風呂とシャワーブースは必要だよな。
料理は大型のバーベキューコンロに忘れちゃいけない焚き火ソーンだろ。
でっかいリアルオープンキッチン、ガーデンテーブルのセットに大きなソファをいくつか配置してと。
部屋にはとにかく広いリビング、奥にダイニングキッチンでしょ。
ベッドルームは何部屋にしようかなあ。
どうせ3人娘も入り浸るに違いないな。
なら親父とマネコンビもか。
なんだろ、私とリュカの部屋のはずだったけど、プライベート空間の要素ゼロになってしまった!
結局、ファミリー仕様の大草原リゾートが完成。
どうせだし草原には農場と牧場も作ってみるか。
あと湖にはボートを浮かべてみよう。
あー!! 憧れの水上コテージも作ろう!!!
これはアガるぞー!!
やべぇ、ここ天国だー!!
―――――――
完成した大草原リゾートにみんなを招待したら全員が言葉を失っていた。
特にギルが呆れかえっていた。
「え、なにそのリアクション。もっと喜ぶかと思ったのに」
私の発言にフリーズしていた全員がツッコミを入れる。
「いや、マスターこれはやりすぎだ」
「なんやこれ」
「ねえ、なんで空があるの?」
「遠くに山もあるー」
「山というか山脈だな」
「主! 我のためにこんな素晴らしい世界を!?」
「気持ちいい場所だな、ウミ」
「いやこれ3階ですよ?」
「そうなんですよね、ここマンションの3階なんですよね」
「めちゃくちゃだ」
「部屋の中に新しい世界があるじゃん」
「「それなー」」
言われてみれば。
これ完全に別世界だわ。
「なんか普通に出来ちゃったんだけど」
「普通じゃない。完全に神の力を超越してるぜ」
「まじで?」
「クリエイトをここまで使いこなしてる神はいないと断言できるな」
「まじか」
まあ出来てしまったものは仕方ない。
せっかく作ったのだから全力で楽しむのみだな。
―――――――
全力でみんなと楽しく遊んだ。
大草原リゾートは快適すぎた。
で、みんなにツッコまれてみて冷静に考えたのだが、確かにこのクリエイトはぶっ飛びすぎだ。
ゆえに思いついたことがひとつ。
かなり極論だけど。
もしモンスターが次々と現れても、クリエイトでモンスター専用の新世界を作っておいて、私が片っ端から強制転移させてしまばいいんじゃないのかってこと。
無駄な殺生をしなくていいし。
それそれがそれそれの都合のいい世界で暮らせばいい。
これ、大正解ではなかろうか。
魔素が無いのは正直仕方がない
さすがにその規模を私の内包魔力で補うのは無理があるのかもしれない。
それに向こうの世界のことを詳しく知らないと生態系とかめちゃくちゃになりそうでマズいよな。
ギルからの伝聞だけでは少しキツい。
なら。
向こうに一度行けばいい。
転移で戻ればなんの問題もないのだから。
ちょっと真剣に考えてみるか。




