File2 悪魔か天使か
2話目です。
投稿時間はなるべくきちんと並行して頑張って行きたいです。
その日の放課後
正直かなり緊張している。
...昨日もそうだったのだけど、こう言うのって、どうも昔から慣れてない。
って言うか正直昨日もかなり緊張したんだよな。
結局、振ったことには変わりは無いんだけど...
屋上は解放されており、現在俺以外の人は居ない
ったく、もしかして悪戯だった?
それならそれで、逆にラッキーだ
なんたって殺されずに済むし...
その思いは一瞬にして消え去った
ギィという扉が開いた音がする。
目の前には可愛らしい顔をした少女が居た
「貴方が、常盤礼治さん?」
「えっと...君は確か氷川君で良かったっけ?」
って言うか昨日の子?にしては瓜二つのような感じがする
昨日出会った時と同じように背丈も小さめでとても可愛らしい感じがしたが、何故か微妙に違和感を感じる。
「...普通は、氷川さんと呼ぶと思うんですけど 」
「あぁ、ごめん君に似てる子と知り合って」
「...成る程、貴方でしたか..うちの可愛いの純情を弄んだ畜生は」
畜生呼ばわりされてしまった
ってか弟って事はやっぱり双子だったんだ
こっちの方が雰囲気的になんか怖いけど..
こっちの方を見てニコッとした
正直に言うと背筋に鳥肌が立った。
「天宮先輩の事が好きなんですよね?」
「え?」
何で、その事知ってるの?この娘
「その..何で知ってるの?俺が彼女のこと好きなの」
「その答えは簡単ですよ。私この学校の優秀生枠狙ってますから。」
「それ、理由になってる?」
うちの学校の優秀生枠というのがある
これは、うちの学校の中でも特別優秀と認められた者に与えられる特権であり、半年に1回入れる試験が行われている
特典として与えられるものは、まず一つ目は、
当然、天宮平良もこの優秀生に選ばれている
「それだけなら、まだ許せたんですけどね。気持ちは分かりますし...でも、うちの弟のことを泣かしたのは話が別です。だから...海と山どっちが好きですか?」
「どっちも好きだけど..今は行きたくないな...」
おかしいな...
昨日の子と同じような雰囲気なのに..感じる威圧感は全く別物だよ。
脅し方なんて、ヤのつく自営業みたいだし...
「...じゃあ、俺にどうして欲しいわけ?その弟君と付き合えって事」
「まっさか〜弟をこんな人に預けたら、心配で夜も眠れませんよ〜」
「そりゃ悪かったな」
まぁ、そんな事は置いておいて...と彼女は言う。
「ひとつ気になった事を聞いて良いですか?...如何して弟が男って解ったんですか?先輩けっこう鈍そうな見た目してるのに..」
「失礼な奴だなお前。それは...あれだよ。ズボン履いてたから?」
「でも、うちの学校服装自由じゃないですか」
「それもそうだな...何と無く?としか言えないな」
「それ答えになってないです」
「って言われても、俺にも分からん。」
本当に何となくなのだ。
分かった理由を聞くなら、俺だってちゃんと知りたい。
どうやら彼女いわく今迄彼のことを男として認識した人は告白した後知流ってことが多かったらしい。
その後の行動は2パターン
ショックで寝込むか、新たな性癖を植え付けられるか
「それなのに...何であの子ミイラ取りがミイラになるようなことしたのかしら...」
「それを俺に言われても知らん」
「まぁ、そうですよね。でも...結構有名ですよ。今の先輩」
「何で?」
「そりゃそうですよ。私の弟かなり美形でしょ。入学わずか1ヶ月で既に『3大クラブ』って呼ばれる程の巨大なFCが出来るくらいに有名人なんですよ。うちの学校の男女に。それを悲しませた人間を絶賛指名手配中って感じでね」
「それ、俺だとバレて捕まったらどうなるの?」
「そうですね...良くて二度とこの学校の地は踏めない程度じゃないんですかね?少なくとも」
良くてか..最悪のケースなんて恐ろしくて聞けない
しかし、相変わらずやる事なす事。
俺もやばい事になってるし...
ってか、あの子そんなに凄い人物だったの?じゃあ何で、圭介のやつ平気そうだったんだろ?
でも状況的には非常に困る。もし、そんな事をされたら俺は彼女に告白する機会すら失う
昨日は誰も見られてなかったし、おそらく、彼もこの事は内緒にしている事だろう
でも、今のままだと...
「それも時間の問題でしょうね」
「勝手に心の中読まないでくれる?」
「まぁ、そこは気にするほどの事ではないですよ」
「そんな先輩に朗報があります」
「朗報?」
「今ここに女神が立っていると思いませんか?」
「俺の知ってる女神は手紙で脅したりはして来ないんだが」
「まぁ、それはご愛嬌って事で..」
「...何?お前、俺を助けてくれるの?」
「そうですね...まぁ特別に助けてあげる事にします。条件付きで」
「条件付き?」
こんな事を言うには多分よっぽど、大きな条件なのだろう。
今は藁にもすがる思いでこの話に乗るしかない
「で?その状況ってのは何だ?」
「簡単ですよ。私と付き合って下さい」
「ごめんなさい」
「あ、すいません。正確には私の夢にです。」
コイツ....さては俺をおちょくってやがるな
まぁ、でも、他に当てもなさそうだし、聞くだけ聞いてみるか
「...で、何でその夢ってのはなんだ?」
「それは秘密です...。でも、その為には一般男性の実態というのを知らなくてはなりません」
「それ、お前の弟じゃ駄目なの?」
「あの子はイレギュラーですから」
まぁそれもそうか...
その目を見る限り、どうやら嘘をついてない事はよくわかる
それは多分俺の想像もつかないような事なんだろうな
今の俺も天宮に告白するってのを叶えたい様にこいつのも果たしたい夢があるのだろう
それに昔からいうではないか。歳下には優しくしろと
「良いぜ。どうせ渡りに船だ。お前の夢とやらにこの常盤礼治が協力してやるよ。...所で名前は何だっけ?」
「氷川麗奈です。これから、パートナーとしてよろしくお願いしますね」
こうして、俺と後輩氷川麗奈との奇妙な関係がスタートした。