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第82話 事態は予想外の展開へ……。

 異世界システィーナ奪取作戦が開始されるおよそ1年半近く前、ハジメはゴルトスからシスティナを罰する為の糸口を聞き出していた。


「なあ、神の力の源は一体なんだ? あいつから仕掛けてくるのを待っていると、更に犠牲者が増えかねない。 今度はあいつに気付かれないようにしながら、あいつの力を奪おうと思う」


 神の力の源を教える事は、自身を討つヒントを教えるようなものである。

 だがゴルトスはこれまでの贖罪もかねて、ハジメ達に聞こえる声で語りだした。


「神の力の源は、その世界に住む住人。 人が神へ抱く信仰心が集まるほど、その神が使える力も強大になる性質を持つ」


「人が神へ抱く信仰心が力の源……」


 珍しく考え込むハジメ、ペインが興味深そうにそれを眺めている。


「ちょっとみんな集まってくれ! 1つ案が浮かんだが、それをするには準備や時間も掛かる。 特にアーシュラさんには、人選も含めて相談に乗って欲しい」


 ハジメが考え付いた案、それは異世界システィーナの支配権をゴルトスに移そうというものだった。




 まず始めに簡易転移陣の設置の仕方を覚えたハジメが、商人に化けた魔族の兵士の荷物の中に気配希薄化で紛れ込んでルピナスに移動する。


 次にルピナスからは商業ギルドの力を借りて、王国と公国を経由してこの世界の他の国々に対して協力を求める書状を準備してもらうのだ。


 そして準備が出来た国へ偽装した荷物と一緒に移動したハジメが、形態変化で簡易転移陣を覆うようにしてシスティナの目を誤魔化す。

 覆う範囲をビッグゲートサイズまで広げた後は、分体を残して本体は魔界へと戻りまた別の場所へ移動して新たなビッグゲートの建設を進めた。


 最初はペインやミシェルも協力を申し出たが、こちらの世界に戻るとシスティナに消されてしまう可能性がある。

 気持ちだけ受け取りハジメは時間を掛け、最初に作られたビッグゲートを含む合計13ヶ所もの大型転移陣の建造に成功させたのだった。


 システィーナの民が魔界へ移動する度、同じ数の魔族がやってくる。

 無論魔界の方のシスティナの支配権も増える訳だが、彼女には魔界へ移動するだけの力が無いので魔界を支配する事が出来ない。


 その一方でゴルトスはビッグゲートの建設で、多くの魔族が魔界からシスティーナに来ている上に、力をこれまで消費していなかったので簡単に移動が出来た。


「計画を立てたのは1人の人間だが、協力したのはそれ以外の仲間達やお前が治める世界の住人達だ。 お前は……この世界の民に見捨てられたのだ!」


 世界から切り離されようとしているにも関わらず、システィナの表情に大きな変化は見られない。

 まるで、自分1人さえ居れば世界はまた幾らでも作り直せる。

 そう言いたそうな、自信すら覗かせていた。


 ゴルトスが指を鳴らすと、12体のハジメが神界に集結する。

 そして融合して1つに戻ると、ハジメはシスティナと最後の会話を始めた。


「よう。 これまで多くの人間の命や運命を弄ぶのは、さぞかし楽しかったろう? だがそれも終わりだ、お前が最も嫌がりそうで苦痛になる罰を考えてやったぞ」


「ふっ、私をこの神界に永久に隔離するつもりか?」


 ゴルトスから聞かされたハジメの計画を聞き返すシスティナ、しかしハジメの罰はシスティナはもちろんゴルトスでも理解不能なものだったのである!




『お前には、別作品に行ってもらう。 そして力を使えなくした上でメインキャラではなくサブのギャグキャラにして、お前のその自尊心を徹底的に砕いてやる』




「……………は?」


 システィナは一瞬自分の耳を疑った、ゴルトスも同様だ。

 別世界ではなく別作品?

 この男の言っている意味が、2人にはよく分からなかった。


「いやぁ、実は最初はゴルトスが言ってたように、神界に永久に隔離するつもりだったよ。 だけどさ、それだとお前絶対に反省しそうに無いじゃん。 それであれこれ考えていたら、ふとある事に気が付いたんだ。 そもそもお前ら神は誰が作り出した存在なのか?って」


 ハジメの言葉でシスティナとゴルトスは、心臓を握られたような衝撃を覚える。

 自分をこの世界に産み落とした者の存在を、今まで失念していたのだ。


「そうしたら、あちらさんから出向いて来てくれてな。 俺の提案を快く引き受けてくれたよ、2人は会うのは初めてになるよな? 創作者メイカーの陽と陰だ」


 ハジメが手を上げると、2人の神の前に男2人が姿を見せる。


「やあ、はじめまして。 俺の名は陽だ、そしてこいつは陰」


「私が陰です。 彼の提案は中々面白いものだったので、これからの展開に期待しておりますよ」


「私をどうするつもりなの!?」


 システィナの問いに、陽が明るい声で回答した。


「まず初めに君にはある呪いをかける、己の力を使おうとした時に発動する呪いだ。 どんな呪いにするかは、これから決めようと思う」


「はい! 創作者メイカーの先生、僕に良い考えがあります」


「うむ、ハジメくん言いたまえ」


 ハジメと陽は、何故か学級会のようなノリで会話を進める。


「彼女が力を使おうとしたら、金ダライが頭に落ちてくるのはどうでしょう?」


「ちょっと待って!」


 システィナは慌てて止めに入った、力を使おうとする度に頭にタライが落ちてくるようになったら、女神としての威厳は台無しだ。

 そんなド○フのコントみたいなキャラとして生き延びるくらいなら、死んだほうがはるかにマシである。


「これじゃあ、お気に召さないようです先生。 では、金ダライが落ちてくるか顔にパイが飛んでくるようにするのは如何ですか?」


「お願いもう止めて! そんな事しなくても良いから、私を今すぐ殺して!!」


「嫌だね」


 システィナの懇願を、ハジメはあっさりと却下した。


「言っただろう、お前の自尊心を徹底的に壊してやるって。 この程度で怖がるようじゃ、向こうの作品に行っても苦労するぞ」


 徐々に顔が青褪あおざめるシスティナ、ハジメは本気でこの罰を行う気だ。


「なあハジメ。 自分から罠にまって消火器の粉で顔中真っ白けになる呪いも加えるのはどうだ?」


「良いですね~ぜひ加えましょう」


 どんどん悪ノリしていく、ハジメと陽。

 それを遠目で見ながら、ゴルトスは陰に話しかけた。


「あの……陰様。 この罰を本気で実行する気ですか?」


「もちろん。 私達の箱庭で好き勝手したんだ、これ位の罰は当然だろう」


 今更ながらゴルトスはシスティナに同情し始める、このままシリアス調の空気で罰を与えるつもりが斜め上の展開になってきたからだ。


「ちなみに……君も住人を顧みなくなったら、同じ罰を受けてもらうからね」


「肝に銘じておきます」


 その後、幾つもの呪いが提案されシスティナの身体に刻み込まれていった……。




 陽と陰が送り込むのに相応しい世界を選定する間、システィナは簀巻きにされ放置されている。

 最初残る力を振り絞って逃げようとしたが、頭に金ダライが落ちる・パイが顔面を直撃する・バナナの皮で滑って転ぶ・突然現れた小麦粉のプールにダイブする等呪いの連続コンボで心を折られてしまった。


 もはや自己中心的で狡猾で残忍な女神の姿はどこにもない、そこに居るのは別作品で笑いを担当する事になった残念な女性の姿である。


 全身粉まみれのシスティナは、涙を流しながらハジメに懇願した。


「お願いもう許して、私が悪かったわ。 だから、今すぐ殺して……」


 瞑目して考え始めるハジメ、システィナの心に微かな希望が宿る。

 しかし………。


「それじゃあ、女神システィナを新しい地へ送りましょう。 レッツラゴー!」


「レッツラゴー!」


 システィナの身体の下に魔方陣が浮かび上がる、手を振って見送るハジメ達を見てヤケになったシスティナは思わず叫んだ!


「あんた達覚えていなさい! 私は絶対に、ギャグキャラになんかならないんだから~!!」


 そう言い残して、システィナは魔方陣と共に消える。

 魔方陣のあった場所を見つめながら、ハジメはポツリと呟いた。


「最後に自分からフラグ立てていったけど、本当に大丈夫か?」


 こうして誰も予想しない形となったが、異世界システィーナは魔界の神ゴルトスの物となり、名称も異世界ゴルトーアへと変わり魔界と統合されたのである。


 システィナがその後どうなったかについては、別の話(作品)で語られるだろう。

システィナですが、現在ノベルアップ +様で投稿中の


異世界は何でもありだが、この世界は問題児が多すぎる。


で再び登場しております。

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