■Ending.少女が選んだ未来、僕らが得た宝物
■Ending.少女が選んだ未来、僕らが得た宝物
GM:では、冒険から帰ってきた冒険者も増え、通りの人も増え、賑わうアキバの街を、冒険斡旋所に行くとですね、報告や報酬の受け取りなんかで多くの冒険者が多く行き来している斡旋所の前に、グロンホルム男爵が立っています。
みなさんの姿を見つけて、一瞬眉を上げます。相変わらず仏頂面ですが、心配そうにも見えます。
キリヤ:軽く手を上げて、帰りましたよーみたいな。
タマちゃん:コンラート卿が目に入ったら軽く会釈をするよ。
ベルハ:軽く会釈。
ジェイス:軽く会釈。
GM:するとコンラート卿も同じようにぺこりと、会釈を返してきます。
コンラート:「おかえりウーテ、満足したか?」
ウーテ:「はい!わがままを聞いてくれてありがとうございました、お父様。わたし・・・わたしまだ、答えは出せません!まだ、何になれるか、わたしに何ができて、何をしたいのか、まだもっと探したいです!タマさん、キリヤさん、ジェイスさん、ベルハさん!沢山のことを見せてくれて、沢山のことを教えてくれて、ありがとうございました!」
タマちゃん:「こちらこそ、すっごく楽しかったにゃ!」
ベルハ:「妹ができたみたいだったっす」
キリヤ:「今日が楽しい、って思ってくれたんだったら、僕も嬉しいよ」
ジェイス:肩だけすくめる。
ウーテ:満面の笑顔で「とっても楽しかったです!」と言って、ベルハさんの方に近づいてきます。
ベルハ:ふぁっ!?
ウーテ:近づきながら、自分の耳飾り、イヤリングですね。小さなシンプルな物ですが、片方外して「ベルハさん・・・一番たくさん、勇気をくれたのは、わたしにとってはあなたです・・・わたしのこと、もしこれからもう会うことがなくても、忘れないで、覚えていてくださいね・・・」と耳飾りを渡します。
ベルハ:それを受け取りながら、「忘れることはないっすよ、だって、もう自分たち冒険仲間っすから!」
ウーテ:目を潤ませて、くしゃっと笑います。
ベルハ:ちょっとだけ顔が赤くなる。
タマちゃん:口元を隠しつつにやにや。
キリヤ:モテモテだな、ベルさん。
GM:ではウーテからですね、みなさんに報酬としてひとり100G渡されたあとにですね、コンラート卿が「今日ウーテに使った分の食費などはすべて費用として私が持とう」と言ってきましたよ。
キリヤ:「おお!助かったな、ベルさん」
ベルハ:「領収書、切ってなかったすけど・・・」
コンラート:「なに、構わんよ」
ベルハ:「あーじゃあ、雑貨以外の分は受け取っておくっす。雑貨まで出してもらったら意味ないっすからね」
ジェイス:「まあ、それがいいだろう」
コンラート:「君たちは無欲な冒険者だな」
ジェイス:「それは少し違う。我々は金銭よりも尊いものを知っているだけだ」
ベルハ:「あと、また、ウーテちゃんに会いたいっていうのは、それはまたひとつの欲だと思うっすけどね」
コンラート:「なるほど、それは追加報酬の候補に入れておこう」とうっすらと口元だけ笑って「では、我々は失礼するよ、今日はありがとう」
タマちゃん:「こ、コンラート卿!」
コンラート:「なにかね?」
タマちゃん:「あの、ウーテお嬢様と少しだけ、2人にさせて頂けませんか?み、見えるところで大丈夫なので」
GM:頷いて、ウーテの背中を押してきます。で、ウーテが駆け寄ってきます。
タマちゃん:ちょっとみんなから離れたところでごそごそとバックパックから包装されたピン留めを渡すよ。で、もうひとつ、簡易包装の方も見せて、「お友達記念として、もしよかったら使って欲しいにゃ、おそろいにゃ!」
ウーテ:「わああ・・・!」
タマちゃん:「あっ、こ、これはコンラート卿には内緒にゃ?」
ウーテ:「はいっ!」にっこり笑いながらぽろっと泣き出します。
タマちゃん:「にゃっ!?」(慌てながらなでなで)
キリヤ:遠くから見て、(タマちゃんが泣かせている!)
ベルハ:(何やってんすか!あれ!?マジで!)
ジェイス:その間コンラート卿に、「ところで近々勝負の予定はありますか?」
一同:(爆笑)
ジェイス:営業かけとく。
コンラート:「そうだ、是非次は君を雇いたいんだがな」なんて話をしてます。
タマちゃん:「どっ、どっ、どうしたにゃ?」
ウーテ:「・・・しいの・・・すごく、うれしくて・・・わたし、きっと、どんな形でもきっと!冒険者と大地人の両方の役にたてるようなことをみつけるからっ・・・!・・・ありがとう・・・・・・」
タマちゃん:「うん・・・タマも、タマもがんばるにゃ」
GM:頷いて、そうして今度こそコンラート卿とウーテはみなさんの前から離れていきます。何度も何度もウーテが振り返っては大きく手を振って、ありがとう!と。
タマちゃん:同じように、ぶんぶんぶんと大きく手を振るよ。
キリヤ:控えめに手を、振り続けて。
ベルハ:ひらひらと手を振ろうかな、イヤリングつけた後で。
ジェイス:普通に立って見てるよ。
GM:そして人の多いアキバの街に紛れて見えなくなってしまいました。
タマちゃん:「にゃあ・・・宝物が増えたにゃ」
キリヤ:「楽しかったね」
タマちゃん:「うんうん!」
キリヤ:「ベルさんはもてもてだしさ」
ベルハ:何も言えねーっす。まだずっと見てるっす。
タマちゃん:「うむ、これはいわゆる純愛にゃ?」
キリヤ:「年下か・・・」
ジェイス:「若いうちの特権だ」
キリヤ:「ベルさんロリコンだったのかー」
ベルハ:はっと振り返って「だから、言ったっすよ、妹ができたみたいだってええ!」
キリヤ:ところでそれイヤリングなんですか?
GM:イヤリングですよ。
キリヤ:よかったよかった。「ピアスだったら穴開けてあげようと思ったんだけど」
ジェイス:「ピアスなら落とさないぞ?」
タマちゃん:「そういえばー元の世界だと、ものによってはピアスからイヤリングに加工できたりするよにゃあ」
ジェイス:「逆もそうだ」
キリヤ:「うん」
ジェイス:「冒険者は激しく動くからなあ」
キリヤ:「ピアスの方がいいんじゃね?」
タマちゃん:「落としちゃう可能性もあるにゃあ」
ベルハ:「ちょっと急用を思い出したんで・・・先に帰ってて下さいっす」
一同:(笑)
キリヤ:「僕ピアスなんだよー開けてあげるよーベルさん!」
ベルハ:「え、い、痛いのはいやっす!」
キリヤ:「すぐ終わるよ!ばちんって!」
ベルハ:「勘弁してくださいっすー!!」
タマちゃん:「容赦がないにゃあ~」
GM:これでみなさんは無事に今日の依頼を終えることができました。解散するも、一緒にどこかにいくも、各々自由に。
キリヤ:「食い倒れ横町・・・」
一同:(笑)
ベルハ:「まだ食うか!?」
タマちゃん:じゃあ、多分「食べたりないにゃ」って言って付いていくにゃ。
キリヤ:タマちゃんあんなに辛いの食べたのに・・・!
ジェイス:「まあ、飲みに行くか」
キリヤ:「飲みに行くか。って僕未成年だけど」
ジェイス:「それは各自、自己判断だ。この世界だと年齢なんて自主申告だからな、確かめようがない」
タマちゃん:「そうだにゃあ」
ベルハ:「そういう頭の回転マジすごいっす。あ、あとで店教えて下さいっす」
ジェイス:「まあ、別にお前が良いならいいけど。あー、未成年がアルコール飲んじゃいけないなんて理由は肉体がどうのってやつだろ?冒険者の肉体には関係ねえよ」
タマちゃん:「それは確かに」
ベルハ:「大人の味っすね」
キリヤ:「あーでも僕ラーメンな気分なんだよなー」
GM:そうやってみなさん、にぎやかに冒険斡旋所前から離れていきます。
そうやって職業も性格もなにもかもバラバラな、しかしなんとなくウマの合う4人は、そのまま夕日のすっかり沈んだアキバの街を、わいわいと騒ぎながら食い倒れ横町に向けて歩きだした。
今日の出会いと別れと、可憐で気高い少女への、各々の思いを胸に抱いて。
これは後日の話だが、ベルハの耳元には、キリヤによってピアスに加工された少女から貰った思い出が、輝いている。
これが今回の僕らの冒険の記録です。
ちょっとでも、やってみたいな、と思ってくれることがあれば幸いです。