#12 ラウム副隊長とネムロス
キメラの遺骸置き場を隔離するために、囲むように作られた柵の要所に篝火が焚かれ、見張りの兵が二人、周りを警戒すべく歩哨している。
訓練が行き届いてるのかその姿勢はまっすぐであり、わずかな変化も見逃さぬよう警戒する兵たちに気づかれることなく近づくのは難しいと言えよう。
地面は荒れた土がむき出しであり、足音を消して歩くのは難しいと思われる中、村へと続く道の先からこちらへ向かってくる足音に気づき、見張りの兵たちが手にしていた槍を構え注意を向ける。
見張りの兵たちは警戒体勢をとるも、月明かりに照らされキメラの遺骸置き場へと現れたのは、義援支援隊の副隊長、ラウムであった。
後ろに同じ服を着た従者らしき兵を一人伴い、ラウム副隊長は見張りの兵に敬礼をすると、見張りの兵達もまた槍を正し敬礼する。
ラウム副隊長は見張りの兵たちに、「異常は」と短く聞くも兵たちも短く「異常なし」と返答するのみであった。
ラウム副隊長もあたりを警戒しつつ、伴ってきた兵に振り返ると、首を振り指示を出す。
指示を受けた兵は足早に柵の中へ入り副隊長へ振り向くと、再度副隊長が頷くのを確認した。
兵はおもむろに上着に手を掛けたかと思うと脱いで行く。地面にスカーフを置きその上に脱いだ上着を簡単に折りたたみ軍剣を置いて行く。最後に靴を脱ぎ横に置くと、ズボンだけの姿となった。
そして兵が上を見上げるたと思うと、そこには少しだけかけた月が中天にかかっており、周りの星を少しだけ隠していただけであったが。
不意に兵の気配が変化しその様相も変わってき始める。獣の如くうめき声は出したかと思うと、全身の筋肉が一回りも二回りも膨れ始め、体格が変わり始める。
全身に毛が覆ってゆき、手足が長くなり体形そのものが変わってゆく。顔の形も顎が突き出してきたと思うと耳が伸び、短髪であろう乱れ髪が逆立つ。
変化がおさまったときには、大型の狼と思しき獣が二本の足で立っていた。
獣となった兵はあたりの臭いをかぎ始め、何かに気づいたのか奥の木々を指さしてくる。
柵の奥に誰かが潜んでいること、二人いることを臭いで嗅ぎ取り副隊長へ伝える。
見張りの兵も槍を構え警戒体制へ移るも、ラウム副隊長から手で制される。だがその手のひらは前を向いており、警戒体勢の維持を指示していた。
獣に転じた兵も警戒態勢のまま、副隊長の指示を待つ。
向こうも兵たちの様子には気づいているだろうが、動きのないままお互い様子見は続くかと思われてが、先に声を掛けたのはラウム副隊長の方であった。
「そろそろ出てきていただけると嬉しいですが、フェンシオ殿とネムロス殿ですかね」
柵の向こうで気配が揺らぐ。
「このまま出てこないようでしたら、敵対行動とみなし…」
「了解、今から出てゆくから獲物を下ろしてくれるかな」
声こそ遠くで聞こえたが良く通り、ラウム副隊長は気配が確認できたことで心の中の警戒網を一つ落とす。
ザッザっと木々の葉がこすれる音がしたと思うとゆっくりフェンシオが姿を現す。ネムロスも木の上より降りラウム副隊長の前へと姿をだした。
「二人だけですか」
二人だけなのは分かっていただろうが、念のため確認する当たりが用心深いところだろう。
「二人だけだな」
フェンシオも口元に笑みを浮かべながら答える。
ラウム副隊長は上げていた手をゆっくり下すと、槍を構えていた兵もまた警戒体制を解き、通常警戒体勢へと戻す。
「構いません。続けてください」
その言葉は獣に転じた兵に告げられたのであろう、命令を聞きキメラの遺骸へ近づいて行ったと思うと、遺骸へと鼻先を近づけ臭いを嗅ぎ取っていった。
そのような姿を見てフェンシオは。
「ここに来る前に川で水浴びはしたんだがな、さすがに獣人の鼻は誤魔化すことはできないということか。しかしライカンスロープとは初めて見たな」
「よく知っていますね」
「聞いたことはあったんだけどね、実際に会うのは初めてだな」
フェンシオが顎に手をやり、まじまじと姿を見ている。
「普段は人の姿で、ある条件下で獣の姿に変わると言う。獣人の中では最も少ないと言うが」
「そうですね。確かに少数とは言えど彼らは普段、人と同じ姿のため見分けることは困難ですからね。加えて獣の姿になれば本能が優先されることの方が多く、下手に街中で獣に戻ってしまったら討伐対象となることもありますから、自ら名乗り出ることもありませんしね」
言葉こそ丁寧ではあったが、後半の言葉は警戒よりも殺気をのせたのかと思えるぐらいであった。
そしてそのままの勢いで殺しに来るのではないかと思えるほどの殺気を言葉に乗せながら。
「ここにはいかなる用件で来られたのか、聞いてもよろしいでしょうか」
静かに風に揺れる篝火が、一瞬突風にあおられたの如く唸るもまた静けさを取り戻してゆく。
「なに、そちらの手札を見に来ただけさ。そちらの邪魔をするつもりはないな。ただ、そのままお出かけするつもりなら、お供でもしようかと思ってね」
ラウム副隊長の怒気にさらされながらも、相も変わらず口元に笑みを浮かべ涼しい顔で向かい合う。
わずかな沈黙の後、お互いに笑いだす。
「まったくあなたと言う人はどこまで…」
「ラウムの方こそ、なかなかで」
先ほどまでの殺伐とした雰囲気から一転、穏やかな風が吹き抜けてゆく。
そのような二人を見ながらネムロスは。
「何をやっているのだか…」
と、ため息を漏らすだけであった。
後ろに控える兵たちを見るに、安堵しているようにも見える。ラウム副隊長の下で働くのも苦労しているという事だろうか。心の中でご苦労様と告げておくことにした。
「彼は見た通り獣人であり、その中でも月を見ると獣の姿をとれます。自我がありますし身体能力は人の強さを下地に獣の身体能力が上乗せされますので、この状態においてはキメラに遅れは取らないでしょう」
「嗅覚の鋭さから後を追うという事か」
「そうです。夜目もききますので、夜に行動するには適任です。それに時間が経てば臭いも消えてゆくでしょう。行動するには早いほうがいいですからね。ご同行すると言うのであれば、準備する時間ぐらいは取れますが……、その必要はないようですね。」
二人の装備を見やるも昼間見た時と何一つ変わってはいない。元より昨日から変わっていないし、他の服や装備は燃えて無くなったので変えようもなかった。今着ている狩猟兼見廻りをするための装備がフェンシオたちのすべてと言ってよいだろう。
「今から行くことは異存はない。」
とはフェンシオの言ではあるがネムロスは二人にくぎを刺すべく。
「一つ確認だけしておくが良いか。そなたたち二人を一緒にしておくと、どうやら暴走しがちなのでな」
「ネムロス、それは心外だな」
「右に同じくですね。」
「…やはり同じであるよ、そなたたちは。で、確認だが原因を突き止めたとしてどうするつもりだ。まずは引き返してくれると約束してほしいものだが」
「その状況次第だが無茶はするつもりはない」
「無理をして身を危険にさらすつもりはありませんよ」
「二人を見ているとそうには見えぬから釘を刺しておこうと思うてな」
不安だけが心に残る。この二人は止めるものがいなければ、どこまででも暴走してゆきそうである。
ネムロス自身では二人を止めれる自信はない。息は合うのだろう。後は二人の暴走を止めれるものがいれば、案外良い連れ合いになるやもしれぬが、今は無理でもそうなることを願わずにはいられぬな。
「ラウム副隊長、行けます」
気配を悟られぬまま近くまで来ていた獣の兵は短く報告すると、ラウム副隊長は待機と短く命令を下す。
「彼の名は教えてもらえないのかな」
「秘匿情報となりますから、教えるわけにはいかないのですよ。貴方たちとてこの暗闇と遠目とのことがあり顔までは確認できていないでしょう。人の姿を特定されても不利益が出ますからね。この件については知らない事の方が良いという事です」
「確かに。余計な検索をして悪かった」
こちらも隠していることはある、藪をつついて蛇を出すわけにもいかぬ。向こうが引いたなら今はこちらも引くべきであろう。
「こちらの準備は出来ている。時間も惜しい、出るなら早いほうが良いのだろ」
獣の兵を見ながら先を促すが、本当のところはこの二人をこのまま野放しのままだと収拾がつかなくなるからであって、このままではいつ先に進めるか分かったものではない。
「そうですね、では行きましょうか」
「向かう先は村長の家で良いか。だが村の中を通るには夜とは言えど少々支障があるのではとおもうのだが」
「故に村の警備もこちらで行っているのですよ」
微笑みながらそう答える副隊長は、何も問題ないことを示唆していた。全ての下準備は出来ていると暗に示していた。
「本来なら案内は俺らの役目なんだがな、ここはそちらに任せて楽させていただこうかな」
「では、ご案内しますよ。こちらへどうぞ」
柵の向こうへ向かうため踵を返し肩越しに促してくる。そのまま獣の兵に声をかけると彼は頷いてラウム副隊長に続いて行くべく後ろへとつく。
「俺らも行こうか。夜の狩りとは違う、気を引き締めていこうや」
「あぁ、分かっている」
さて、邪が出るか鬼が出るか…、どちらにしても一筋縄では行かぬだろうな。
村長の家の裏手、周囲には誰もおらず明かりは月明かりのみであった。
ここまでの道程はラウム副隊長の言葉通りに兵の見張りがいたが、皆こちらを確認すると敬礼をするのみで、何ら問題もなく来ることが出来た。
周囲には人気は無く、焼け落ちた家もそのままになっており、襲われたそのままの状態であった。
「ここは後回しってことか。……まぁ、分からんでもないが」
「おかげで何も消えずにいたので助かりますね」
「ならば確かめに先へ行かねばな。ただ二人とも今夜は危険だと思ったらすぐ引き返すようにしてくれよ」
「では、先ほど教えた通り手信号で指示いたしますので従っていただきたくお願いします。そして隊列は彼を先頭に指示を出す私が続きます。その後ろに続くはネムロス殿が周囲を警戒しつつ、殿にフェンシオ殿にお願いします。縦列隊列で行きますがよろしいかな」
獣の兵が前へとでて言葉ではなく行動で示す。
フェンシオと共にネムロスもまた無言で頷き、確認をとったラウム副隊長は。
「では、二人ともよろしくお願いしますね」
ラウム副隊長の表情が笑顔から一転、兵の顔へと変わる。後ろに控えていた獣の兵も前へと出て地面へ鼻を近づけて行く。
フェンシオもまた、口元は笑っているが気質が引き締まってゆく。否応なしに場の雰囲気がヒリヒリとし、狩りにも似てそしてそれ以上の空気が流れたかと思うと、一気にしぼむ。まるで初めからそこに何もなかったかのように、この場にいる者達の気配が無くなり自然と溶け込んでいった。
森の中を獣の兵が地面に鼻を近づけ臭いを嗅ぎながら進んでゆく。その足取りはゆっくりしたものではあるが、土の上に積もった木の葉を歩んでいると言うのに足音は無く、静かな足取りであった。
その後ろを行くラウム副隊長の足取りも、獣とは違い兵への支給されたブーツであるにもかかわらず、非常に静かであった。
ネムロスもまた狩り用の靴は履いていると言えその足音は静かであるが、ラウム副隊長に比べるとどうしても気になってしまう。
後ろに続くフェンシオもまたその足音は静かであり、余計に気になってしまう。
これがいつもの狩りであれば気にはしなかったであろう。こちら側が一方的に狩る側であり、自身の命の危険は低い狩りとは違う。
だがこれは狩りではなく、一つ間違えれば自分の命だけでなう共する仲間の命さえ一瞬でなくなってしまう命のやり取りである。
周囲の警戒を厳にしているが、一瞬の気の緩みをつかれ食われるかもしれない。自身の足音から敵に気づかれ逃げられるだけなら良いだろう、待ち伏せされ殲滅させられるかもしれない。左右だけでなく上にも気を配らなければならないだろう。前後のはどうだろうか。前後には二人がいる。二人を信じなければ周囲への注意が散漫となり、咄嗟に対応できなくなるだろう。緊張するのは良いが、し過ぎると視野狭窄となりうる。また自分が思うよりも疲労がたまる。そうなると知らず知らずのうちに、周囲への警戒が怠ってしまうだろう。
命のやり取りだからこそ、取り乱さぬよう自分を制御しなければならない。
村長の家より森へ入りどれほど時間が経ったのか。まだ入ったばかりなのだが、体感的には長く感じられる。狩りをするときを思い出し、自然の中に溶け込むよう心を静めてゆく。
周囲を警戒しながら、気が付けばラウム副隊長の体捌きや足の運びを観察しており真似している自分がいるのに気が付く。
周囲の様子が今までになく見渡せていた。自身の足運びもラウム副隊長を真似ることにより、静かに歩けるようになったが、まだラウムの様には歩けぬと自分の至らなさに精進せねばと思う。
時間間隔には少し自信はあったはずなのだが、やはりいつもの狩りとは違うという事だろうか先が見えぬぬのもあるが間隔を失いつつある中、ようやくラウム副隊長の止まれの指示にその場に止まる。
獣の兵とラウム副隊長が無言でやり取りする中、やがて森の先に指を差し目的の場所へ着いたことを知らせてくる。
木々の先、岩壁にぽっかりと人が一人すんなりと入れるぐらい大きく黒く塗りつぶされていた。洞窟と思しきそれは、明らかに不自然であり誰かに掘られた穴であった。
手信号を確認しフェンシオと共にラウム副隊長の元へと集ってゆく。
「今はこれ以上近づくのは危険と判断します。撤退しますので先頭は私に続いてネムロス殿、フェンシオ殿、殿は彼に努めてもらいます」
この部隊を預かるのはラウム副隊長である。彼の判断が撤退ならば従うのみである。四人……三人と一匹? は元来た道をそのまま戻ってゆく。
問題もなく村長の家へと辿り着いた時には心身とも疲れ果ててはいたが、安全と思われる場所へと辿り着いた時こそ一番危うい時と言えよう。
周囲を注意しながらもラウム副隊長が口を開く。
「彼がひどく怯えています。どうやらあの奥で間違えないようですが、危険も潜んでいるという事ですね」
「今夜、襲ってくるという事は」
「分かりません。もし襲ってくるなら、今まで機会はいくらでもあったでしょうし、今夜のことがきっかけとなり襲ってくるかもしれません。」
「だが来る気配はない。こちらに気づかなかったかもしれぬ」
「だとよいのですが、楽観視するのは良くないですからね。今夜は警戒を厳にせねばなりませんね。明日改めて向かおうと思います。今夜のうちに逃げられるかもしれませんが、その可能性は低いとみてよいでしょう。」
「野生の獣が住みかとして使っており、昼間はいないという事は」
「それならば好都合です。だた彼が言うにはそのような期待はしない方が良いとのことです」
フェンシオは肩を竦めるだけであった。
「ならば今夜はここまでという事で良いか」
「明日、改めて日が昇る頃に向かうとしましょう。今日のところは我々も大人しくしていますので」
「そうだな。こっちも連日の作業で疲れもたまってるしな。今夜の警備は任せて明日に向けてゆっくりと休むこととするよ」
背を向けて立ち去ろうとするフェンシオにネムロスも疲れ眠気も限界に来ている。
「俺も戻り寝るとしよう」
別れようとしたときに、ラウム副隊長に止められる。
「……ネムロス、少しよろしいでしょうか」
珍しいと言えばいいのか、出会って一日も断ってないが、ネムロス自身が呼び止められるとは思っていなく、少し驚いていると。
「あぁ、大したことではないのですが、少し気になったことがありましてね」
顔に出ていたのであろう、このような所が未熟者なのだろうなと思ってしまう。
「かまわぬよ。でどのようなことで?」
「行きの道ですが、私の歩法を真似していましたね」
「気づいていたのか、後ろなど見ておらぬだろうに。確かに真似はした。しかし俺の足音が少々な、副隊長殿と比べるとどうしても気になってしまってな」
「いえ、怒っているわけではないのですよ。ただ、あなたの模倣はなかなか良い筋だと思いましてね。あそこまで模倣されるとは思いませんでしたが、逆に完璧模倣しすぎたのでしょうね」
「しかし、ラウムより足音は消すことは出来なかったが」
「えぇ、歩法を模倣しただけでは不十分でしょう。靴も違いますし、私が踏む前と後では状態も変わってきますからね。あとは経験です。自身にあった歩法をこれから身に着けてください。模倣も続けて行けば自身の経験となりやがては己の技となります。決して無駄ではありませんから」
眠気が覚めたような感じであった。怒られるだろうと覚悟していた。そうなれば謝るつもりでいたし、許してくれぬなら開き直るつもりでもいた。だがどれも違った。
自身の真似事がほめてくれた。そして助言までくれたのだ。嬉しくないはずがない。どのように返してよいのか思いつかない。だから。
「ありがとう」
その一言だけであった。
「いえ、どういたしまして」
そう笑いかけながら、「では、お休み」と背を向けて去り行く後ろ姿に
「迷惑かもしれぬが、一つ教えてほしい事がある」
ラウム副隊長は半身だけ振り返りながら。
「何でしょう」
「昼間、足跡から色々と読み取ろうとした技も教えていただけると嬉しいのだが」
一瞬呆気にとられるラウム副隊長ではあったが、すぐに微笑みながら。
「私の技などまだまだ未熟ですが、それでもよろしければ時間がある時でも」
「あぁ、楽しみにしている。その時はよろしくたのむ」
今度こそ「では」と一言残し兵士用の天幕へと向かうべく闇夜に消えてゆく。
「あれか、俺も教えてもらおうかな」
そうつぶやくフェンシオと共にアロの家へと向かうのであった。
ラウム副隊長と同じく歩きながら獣の兵が
「副隊長殿、よろしいか」
「よく呼び止められる日ですね。どうしました?」
「ネムロスが持っていた剣についてですが」
ラウム副隊長も気になってはいたが、詮索することも出来ずに半場諦め、明日になれば何かしら分かる機会が訪れるかもしれないと思っていたところである。
彼が何か気づいたのだろう。意図して合したわけではなかったが、少しでも情報を得られるのなら良かったと思い先を促す。
「あの剣からは夥しいほどの血の臭いがした」
「それは剣として使用しているならば、おかしくはないでしょうが」
「その昔、千の敵を切ったと言われる剣を見たことがある。血の臭いも覚えている。が、あれはそんなもんではなかった。一体どれほど切り続ければあれほどの血の匂いが付くのか分からない。あの洞窟もおそろしいと思ったが、あの剣に比べればかわいく思える」
「では、怯えていた本当の理由と言うは」
彼はわずかに体を震わせながらも伝えてゆく。
「洞窟でもそうだったが、それ以上にあの剣がおそろしい」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ようやく出したかった獣人が出てきました。いえ、仲間になるわけではないのですが。
ようやく物語も進んできました。ようやくです。
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