約束
「母上様〜‼︎母上様〜‼︎」
「どうしたのです」
「キトが私の遊び物を奪うのです‼︎」
「また喧嘩ばかりを…」
乳母の息子、キトと毎日喧嘩する私を見て、母上様はため息をついておられた。
「母は今から白虎城に参りますね」
「白虎の城…でございますか?」
「そうよ。皇女様が誕生したの」
「皇女様?ならば、一緒に参ります」
母上は、穏やかに頬笑むと、
私の手を引き、白虎城へと向かった。
「うわぁっ!!小さい!!」
そこには、産まれたばかりの皇女が眠っていた。
「姫の名は、何というのですか?」
「カンナと申します」
カンナ…か…。
可愛い…。
「王様…?」
「はい」
「カンナが大きくなったら、私の妃にしてもよろしいですか?」
そう尋ねると、
側近たちは、一瞬、驚いた表情で顔を見合わせたあと、
いっせいに声を出して、ケラケラと笑いだす。
「これはこれは、カイリ皇子に一本とられましたな」
「6歳の皇子からそのようなお言葉がでるとは」
「あなどってはいけませんな」
「お前も早く結婚しなくては、皇子に先を越されますぞ」
「あはははっ!!」
側近たちの会話に、
なんだか、からかわれた気がしてムッとする。
カンナの傍へ近寄り、
スヤスヤと寝ているその姿を眺めていた。
「カンナ…。いつの日か…私の妃になってくれる?」
小さな手の中へ、
人差し指を入れると、
カンナは、
ぎゅっと力強く握り返してきた。
…ありがとう。
――約束…だよ。
END




