青龍の兵士
カイリSide
女は何度かチラチラこちらをにらみつけながら、森の中にその姿を消して行った。
命を助けてやったと言うのに、
なんなんだ…あの態度は。
くそっ…。
未だズキズキ響く股間にグッと力を入れると、
痛みが蘇ってきて、うぅ…っと深い息が漏れる。
だが、さすがに怒っていたようだな。
でもあれは、奴が悪いんだ。
あんな誘惑するような瞳で見上げてくるから…。
思わず魔がさしてしまった。
ふんっ…
私を誘惑してくるとは、
とんでもない女だ。
だが…女は、なぜ倉庫の前で足を止めたのだろうか…。
中も覗こうとしていた。
注意深く見ない限り入口に気づくはずがないのだが。
白森の村を探していると言っていたな。
村を探すのにこの森に迷いこんだのか?
それもおかしな話だ…。
ぐるりと辺りを見渡すと、村を探すような場所でもない森の雰囲気に首をかしげた。
それにしても危なかった。
あの者たちは…おそらく青龍の兵…。
だとすると、王の兵か?
なぜこの辺りをうろついていたのだろうか…。
いや、よく考えれば、この辺りは白虎の城跡。
今まで、ここを嗅ぎ付けなかっただけ奇跡なのかもしれない。
ん?
誰だ…。
背後に気配を感じて、勢いよく振り返ると
「若様!!」
「なんだ…キトか…」
「“なんだ”…ではございません。なぜお一人でこのような場所に…」
「あぁ…倉庫を調べにきた」
「命が縮まる思いでした。今後二度とお一人で行動しないと誓ってください」
「わかっている。だが、ここに倉庫を置くのはもうだめだ…。たった今、王の兵がうろついていた。
危うく見つかるところだったぞ。そろそろ場所を移さねばな…」




