第14話 同担拒否だから!嫌い!
あれから一か月が過ぎた。
ライブ会場ではまだ刺すような視線を感じることもあるけど、何人かからは温かい言葉をかけられたこともあり、特典会にも参加するようになっていた。
週末にライブを控えた水曜日、おれは秋穂と一緒に帰宅する最中だった。
「次は久しぶりのライブハウスだね!外よりもライトが目立つから好き!」
当たり前だけど、屋外ではあまりライトが目立たない。
やっぱり室内でしか味わえない楽しさというものもあった。
「みんながファンだから温度感が違うよな」
「それなーー」
チユの人気は少しずつだけど回復していた。
それは離れたファンが戻ってきただけではなく、炎上で興味を持った人達に見つけられたというのもでかかった。
一部では炎上商法なんて叩かれたりもしているけど、そこまで批判的な意見は多くはなかった。
「今回は整番だから、一緒に見ようね」
あれ以来、秋穂の同担拒否は鳴りを潜めていた。
たまにおちょくるように、同担拒否という言葉を使っては笑っている。
「そうだな、一緒にチユを応援しよう」
騒動の後もチユを推し続けるおれは、いつの間にかBメロの人ではなく、Bメロのシスコンと呼ばれるようになっていた。
そう呼ばれると秋穂が不機嫌になるのは気づかないことにしている。
家の前には見覚えのない車が停まっていた。
客でも来てるのか?と思い、そのまま家に入る。
「「ただいまー」」
「おかえり!」
聞き慣れた声、そこにあるはずのない声に出迎えられる。
「え……?」
二人で靴を脱ごうとした姿勢のまま固まる。
奥から出てきたのは一人の少女だった。
「お母さんが出張で海外に行くから、しばらくの間お世話になります!」
アイドルグループHIGH&ME、オレンジ担当。
チユの姿があった。
「お兄ちゃんよろしくね!」
そう言って抱きついてくる。
隣の秋穂は固まったまま、震えている。
正気に戻った秋穂がおれに抱きついてくる。
「チユちゃんは最推しで大好きだけど!」
秋穂が千冬を指差す。
「同担拒否だから!嫌い!」
[完]
*
あとがき
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
ラストに爆弾を落としましたが、一旦ここで完結です。
続きでは、千冬の同居によって秋穂の同担拒否がさらに面倒なことになる予定です。
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具体的には読了50コメントくらいで続き書きたいです!




