第二試合目 《拳VS剣》
拳…誰しもが身につけている攻撃手段の一つ。相手を殴るだけで相当なダメージを出せる、誰にでもある拳。
剣…1番王道な武器。強力な切れ味と脅威的な斬れ具合から、人を殺せるのは見ただけでわかる。
肉体 対 武器・拳 対 剣・武 対 器。
この闘い…どっちが勝つ!?!?
『誰もが夢見た、誰もが予想した、今ここで始まる闘い!!!拳対剣の真剣勝負…開幕ぅぅぅうううう!!!!!!』
コロッセオが歓声で満ち溢れていく。
今、コロッセオの地に、2人の男が入る。1人は背中に大剣を背負い、鎧を全身に隙間なく纏っている……ガルバだ。
そして、もう1人の男は上に服は着ておらず、下は布物の足軽……アウルスである。
「この度は不公平な試合に承諾してくれてありがとう。感謝している。」
「別に、ルール破ってるわけでもないしね。こちらに勝ち目がないという訳でもない。」
俺は目の前に握手を求めるガルバと軽く握手をして、元の位置に戻る。
「殺すつもりで来ていいよ。それがここの心得だしね。」
「そのつもりだよ。」
『さぁぁあ!!!いよいよ始まる《拳対剣》!!!武が勝つのか?もしくは武器がそれを上回るのか!?果たしてぇ!!!始まったー!!!』
ガルバは開始早々、大剣を両手で構える。70キロを超える大剣を軽々と持ち、それを大きく振り回す。俺は3歩ほど近いてから、前進を止める。
「間合いに入りにくいな、さすが剣だ。」
「アウルスさん、さっきから上から話してるけど、君が《挑戦者》なことを忘れないでくれよ?」
ガルバの挑発に俺は笑みを浮かべる。
「《挑戦者》ではない…《闘争者》だ。」
俺はダッシュのフォームで一気に距離を詰め、腹部に一発叩き込む。しかし、頑丈な鎧で塞がれた俺は、逆に拳に痛みが回る。
刹那、俺の頭部5センチ上を大剣が横切った。空を斬る勢いのまま、その大剣は縦振り、横降り、斜めと激しく振り回される。
「当たったら…下手したら即死だな。」
俺はまた距離を取るが、平行線。こちらから出るしかないようだ。
「仕方がねぇ、武器を奪うか!」
俺は大剣の範囲ギリギリの間合いに入り、次は手首に一発ジョブをお見舞いする。
『ここで強烈なジャブ!しかししかし!まだ手には大剣が握られているぅ!!!』
俺はすかさず足払い、手首打ち。そして、腹部に正面蹴りを食らわすが、相手未だ怯まず。
「アウルスさん、そんな程度ですかい!!!」
攻撃が激しくなる中、俺はまた距離を起き、ズボンからあるものを取り出す。
『あ、あれはーー!!!短剣!短剣だぁ!!!』
「ルールで武器の使用が禁止されてきない以上、俺も使うのが義理ってものだ。」
俺はナイフを持ったまま構えた。
Q、たかがナイフ使いが猛獣に勝てるのだろうか?
A、並のナイフ使いなら無理だろう。ただ、アウルスの場合は並みではない。
並のナイフ使いなら、猛獣と対峙した時、恐らく牙まで届かない。その爪と肉体のみで悲惨な目に遭わされることだろう。ただ、並では無い限り、相手に奥の手を出させることができる。猛獣にだって勝てる。
ナイフとは言え剣は剣。リーチが無いだけで立派な武器となり、切れる。屠れる。殺せる。
俺はその瞬間、一気に距離を詰め、ナイフを刺し込む。
刃渡16センチの短剣がガルバの鎧に突き刺さる。しかし、現実は無情。いくら力を入れても鎧は鎧。短剣は短剣。厚さ5センチの鎧に刺し込むのは難しく、近間で隙を晒してしまう。
「ナイフで鎧を突破するのは不可能だ。」
ガルバはそう言い残し、大剣を上に振り上げる。そして、振り下ろされた刃がアウルスの体に触れる5ミリ前後、アウルスは高速で体を捻りながら飛び、唯一鎧の纏っていない場所。そう、顔に回転蹴りを食らわせた。
「しゃぁ!!!」
『決まったぁ!!!!!!!!!!!!!!!!』
脳の揺れたガルバはそのまま膝から崩れ落ち………失神!!!
…………………ッ……倒……負け…?……否………終わって………ない…!……反撃?…防御…?距離を取る?………起きるか…。
ガルバは倒れている中、脳では状況を理解しており、ゆっくりと立ち上がる。
「………食らってしまったな、蹴りを。」
「剣同士の闘いと見せかけて、あれはフェイントだった。俺はナイフを使えるほどではないよ。」
アウルスは「肩が少し切れちゃったしね。」といい血がすこし垂れている肩を見せる。
「ここからは…拳でどうだい?」
お互い武器を交えた後の交渉。武器を本命とするガルバはこの提案に対して…。俺は大笑顔を浮かべ、鎧と大剣を捨てる。
「初めてだ…人を殴るのは。」
「さぁ、小細工なしだ。」
互いが構えを取り、見つめ合う。先に出たのはガルバの方であった。右、左、右、右。前蹴りが避けられ後ろへと後退。次は低めの姿勢をとる。アウルスは未だ動かない。
「じゃ、いくよ。」
アウルスが前へゆっくりと詰め寄る。俺は顎への攻撃を警戒して、顎を肩で守りながら詰め寄る…。その構えは次第にアウルスへと似てくる。
ああラスが間合いに入った同時に、強烈なジャブを打つ。が、目の前にあるのは血しぶき。俺の全身はナイフで切られてきた。
「禁止されてきないことをして何が悪い?」
ナイフを見せつけて笑うアウルスに俺は呆れたように言った。
「使えるじゃねぇか」
俺はそう言って笑ったまま地面に倒れた。
『決着ぅぅうーー!!!!!!!!!』
数分後、コロッセオが歓声で沸く中、ガルバは再び目を覚ました。
「浅い傷にしてくれたんだね、これは死闘なのに。」
「できる限り人は殺したくねぇんだよ。飯が不味くなる。ただ…死闘をお望みなら受けるまでだけどな。」
「……君がナイフを最後使ったのは…実に礼儀的だった。俺が倒れた時にトドメをさせてきたはず。しかし、君はたっている俺と闘ってくれた。」
「またやろう。」
コロッセオ闘争者…アウルス。未だ無敗のまま帰還…。




