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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
四章

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59/74

スイカ割りは力加減が大切




海岸線にある、木製の橋の先端に立ったボス。

両腕を頭上に掲げ、太陽の光を遮るようなセクシーポーズで、前を開けたスイミングウェアをはためかせる。



「YO!SAY,夏が胸を刺激する、生足魅惑のマ〜メイド〜♪」



ボスが何やら聞き覚えのある歌詞を口ずさむと、それに合わせて打ち寄せた波が、ザバァンッ!とボスの背後で白い泡を立てた。

どうしてか分からないが、妙に扇情的で色気のある雰囲気が醸し出されている。

一体、"何レボリューション"なのだろうか(すっとぼけ)。



「何やってるんすか、ボス……」

「え?T.●.レボリューション」



一号君のツッコミに素面(シラフ)で答えるボスさん。

(いわ)く、せっかく海に来たからやってみたかった、とのこと。

海に来てまずやる事がそれなのか……と思わないでもないが、ボスは満足そうなので良しとしよう。

ホクホク顔のボスと一号君は砂浜の方に引き返して行った。

本当にT.●.レボリューションをするためだけに、わざわざこの橋に来たらしい。







「ボスさん、もうちょっと右ですぅ!」

「あと少しっす!三歩くらい前………そう、そこっす!」

「目の前ですよボス!目の前!」



ウルフちゃん、八咫烏ちゃん、二号君からの指示を的確に受け取ったボスが木刀を天高く掲げ、一閃。

素晴らしいフォームで振り下ろされた木刀は、滑らかな動作でブルーシートに吸い込まれた。

硬い感触。

しかしそれは求めていた物ではなかった。



「あちゃ〜、外しちゃいましたね〜」

「え、マジで?絶対やったと思ったんだけどなぁ……」



目隠しを外したボスが目をしぱしぱさせながら、振り下ろした木刀の切っ先を見下ろす。

見事に置かれたスイカの右側に逸れていた。



「次はウルフちゃんの番だね」

「はい!頑張りますぅ!」



やる気は充分。

ボスから木刀を受け取ったウルフちゃんは、渡された布で目隠しをして颯爽と歩みを始めた。



「むむっ、こっちから匂いがしますねぇ」

「あの……ボス。ウルフ様がなんか、一人で正確な方向に進んでるんですけど……」

「スイカ割りでまさかの一人プレイ!?」

「あ〜……確かにウルフさん、嗅覚鋭いっすもんね……」



外野の野次を必要としない、まさかのソロプレイに一同から驚愕の声が上がる。

嗅覚頼りとは言え、美しいフォームで迷いなく進んでいる姿は、目隠しをしていないと言われても信じられるくらいに流麗だった。



「ウルフちゃん、そこそこ!」

「はいです!」



ボスの声援に合わせて、ウルフちゃんが大きく木刀を振りかぶる。

ブレる木刀。

そして。



────ドグシャアアッ!!!



聞いたことがないような破裂音が響き渡った。

宙を舞う木刀の()()()

血と見紛う程に真っ赤な何かが四方八方に激しく飛び散る。



「いや力加減!」

「スイカが跡形もなく……」



スイカの破片が顔面に直撃したボスが思わずツッコみ、同じく降り注いだ果汁のシャワーを浴びた二号君も青い顔でそう呟いた。

スコンッ、と折れた木刀の切っ先がボスの頭に当たって砂浜に落ちる。



「大惨事っすね……」



これには八咫烏ちゃんも苦笑いだ。

覗いてみると、ブルーシートの上は大量の果汁や飛散した果実などがぶちまけられていて、それはもう酷い有様だった。

スイカが跡形もなく粉々。

予めウルフちゃんのパワーを考えるべきだった。



「ボスさん!上手く割れてますか?」

「うんまぁ………割れてはいるかな……」



折れた木刀を片手に、大はしゃぎなウルフちゃん。

ボスは乾いた笑みでそう答えた。





・「YO!SAY,夏が胸を刺激する〜」……『HOT LIMIT/T.M.Revolution』より


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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