エピローグ③
「………」
深夜。
都内某所。
まだ建設途中なはずの大型ビルの屋上に、その人影はポツリと佇んでいた。
見るからに作業員ではない。
全身真っ黒なスーツに身を包んだ金髪オールバックの男性。
整った容姿をしているが、貼り付けられたかのような不気味な優しい笑みが彼の異常性の片鱗を見せている。
モノクル越しの瞳は何を考えているのか見当も付かない。
男は無骨な剥き出しの鉄骨に触れて、黙り込んでいる。
そこに、何者かがやって来た。
「報告致します」
男の背後で傅いたのは、こちらもまた全身黒装束の小柄な男だった。
スカーフの隙間からは鋭い瞳が紺色の髪と共に覗いており、男の背中をじっと見つめていた。
「ハグトーレの企てた作戦は失敗。役員を失脚の上、投獄されたようです」
「そうですか……まぁ、彼ならこの程度でしょうねぇ」
男は一切の顔色を変えずにそう断言した。
どうやら、元よりあまり期待などしていなかったようだ。
「また、393号も特別な拘束施設に……回収致しますか?」
「いえ、このまま捨てておいてください。どうせもう使えませんから」
能力を知られてしまった以上、ファントムやヒーロー協会の会長……シュウォルテならば確実に何らかの対策をしてくるだろう。
仮に393号のリミッターを強制的に外したとしても、もはや彼らには敵うまい。
それに男は、多少の危険を犯してまで救うほどの価値を、393号には見出していなかった。
あの程度の個体ならば腐るほど保持しているのだから。
「ハグトーレも放置で良いでしょう。所詮、我々のことなど何一つ知らないのですから」
実際に、男の言う通りハグトーレは彼らのことを何も知らなかった。
正確には知っている情報が浅すぎて、知らないよりもさらに場を混乱させるようなことしか掴んでいない、だが。
「所詮は猿の浅知恵。期待するまでもありませんでした」
男は、くるりと踵を返して闇夜に溶け込む。
彼の姿は、目で追おうとしているうちにどこかへと消え失せてしまった。
あと1話だけエピローグにお付き合いください……!!
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