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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
三章

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39/74

液体少女の本領



前回のあらすじ。

ハグトーレがハゲてた。

以上。





「あぶなーーーいっ!!」




二号君を担いだボスが、前傾姿勢でかっこよくジャンプ。

体操選手のような見事な身のこなしで一回転し、衝撃を分散させる五点接地によって素早く体勢を立て直した。

猛ダッシュでボスがその場を離れた直後、彼を追って変形した液体の腕が振り払われる。

鞭のようにしなやかで、研ぎ澄まされた刃のように鋭い。

相反する性質を持った液体を伸縮自在に操り、少女はボス達を追い詰める。



「…………ふんっ、やってくれるではありませんか……」



打ち捨てられたカツラを回収したハグトーレが、青筋を額に浮かべつつ頬をひくつかせている。

正直、コイツがハゲてようがハゲてまいがどうでも良いので、ボス達からすれば、もはや眼中に無かったのだが……。

決してバレたくない秘密を暴かれたハグトーレは、スーツの内ポケットをまさぐり、強引に何かを取り出した。

それは、簡素なデザインのリモコンだった。



「地獄を味わうがいい!」



ハグトーレは怒りのまま、中央の真っ赤なボタンを力強く押した。

するとシミュレーションルームの上の方にあった二つのシェルターが開き、何やら大砲のような筒状の装置がせり上がってくる。



「な、なんだ……?」



未だボスに担がれていた二号君が、迫る液体の触手に怯えつついち早くその変化に気が付いた。

遅れて察知したボスと八咫烏ちゃんが慌ててハグトーレに視線を向けると、彼は既に半円形の透明なシェルターの中に引きこもっており、ニヤニヤしたいやらしい笑みを浮かべていた。



「ちっ!」



ボス、舌打ち。

面倒なので、「アイツ人質にしてやろうか……」と実に悪党らしい考えが巡る。

しかしいざシェルターを破壊すべく、雷を放とうと手のひらを向けた瞬間。



────ザバァアアッ!!



真上から滝のように水が降り注いできた。

それも結構な勢いで。

思いっきし頭をやられたボスが、徐々に上昇しつつある海面に無様な姿でぷかりと浮かび上がる。

うつ伏せである。

潰れたカエルのように、残念な部類のうつ伏せである。



「ボスーーーっ!?」

「…………今日一の致命傷かもしんない……」



危うく白目を剥きかけたボスを助けているうちに、水位はみるみる上昇。

あっという間に足が地面につかない程にまでなってしまった。

それでも降り注ぐ水は限界を知らない。

どこまでもどこまでも増えていく。



「うぅ……これじゃあ、しばらくは飛べそうにないっすね……」



水面から顔だけ出しながら、八咫烏ちゃんが困ったように呟いた。

彼女の漆黒の翼は、それはもうしっかりと水に浸かってしまっており、水分を大いに吸収している。

間違いなく、この翼で飛ぶのは困難だろう。

諦めた八咫烏ちゃんは能力を解き、視線を水を吐き出し続ける筒状の装置の方に向けた。



「どういうつもりっすかね」

「さあ。……て言うか、あの液体少女どこ行った?」

「あれ、そう言えば……」



三号君が首を傾げる。

まさかの水責めにビックリしてつい気が逸れてしまった間に、例の液体少女の姿が見えなくなっていた。

どこかへ行ってしまったのだろうか。

ハグトーレ同様に避難した?

一号君も顎に手を当てて何やら思案している様子。



『───ふふふ、聞こえるかね?諸君』



壁に設置されたスピーカーからハグトーレの声がした。

エックス戦闘員からヤジが飛ぶが、おそらくシェルターの内部には聞こえていないだろう。



『君達に良いことを教えてやろう。393号の能力の一つは、"液体操作"だ。つまり───』



ボス、猛烈に嫌な予感がして頬が引き攣る。

どうやらそれは他のメンバーも同じなようで、総じて凄まじく嫌そうな顔をした。

その横で、筒状の装置から噴出していた水が徐々に勢いを失い、やがて完全に出なくなった。

そして入れ替わりで若干水位が低くなり、目の前の水面が山のようにずもももも……と膨らんでいく。

皆、ドン引きの表情である。



『はぁっははははっ!!やってしまえ、393号!貴様の力を見せつけてやれ!』



『…………』



姿を現したのは、超巨大な液体少女の上半身。

圧倒的な大きさでこちらを見下ろしている。

彼女の能力は"液体操作"。

つまり、この部屋を満たす水、その全てが彼女の武器となり得るのだ。




いよいよ章ボスっぽい力を発揮してきましたね、393号ちゃん。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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