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悪の秘密結社は今日も平和です!  作者: ぽんすけ
二章

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20/47

ロマンの結晶!蹴散らせ、アラス・ノヴァ!!②






『蹴散らせッ、アラス・ノヴァ!!』



両刃の槍を携えたアラス・ノヴァが躍動。

やっと埋もれた瓦礫から這い出てきたばかりの魔王様を、高圧縮エネルギーの刀身が襲う。



「ぬおっ!?ばかっ、正気か!?」



かろうじて躱した魔王様はマントを(ひるがえ)しつつ距離を取ろうとするが、それを逃がすアラス・ノヴァではない。

凄まじい空中での機動力で跳ねるように方向転換し、魔王を追う。



「さぁ盛り上がってまいりました、魔王VS巨大ロボのロマン対決!実況は私、ファントムと!」

「解説のゼロでお送り致します」

「ノリノリかっ!お前ら後で絶対シバく!」



ちゃっかり解説席とマイクまで用意して本格的な実況を行おうとする二人に、逃げ回る魔王様から「お前ら覚えとけよ?」と恨みがましい視線が向けられる。

だがアラス・ノヴァの前でその一瞬の隙は命取りだ。

肩や腰から分離した五つのファン〇ルが小規模なビームを放ちながら魔王に迫る。



「ちっ!」



あわや魔王に直撃するかと思われたビームが、どろりと魔王の腕から溢れ出した漆黒の何かに遮られて消滅した。

そのまま魔王は人間とは思えない速度で走り、地形を利用したパルクールを彷彿(ほうふつ)とさせる動きでアラス・ノヴァとの距離を広げようとする。



「おお〜っと!不可解な現象が起こりました!ゼロさん、あれは魔王の能力なのでしょうか!?」

「はい、ファントムさん。あれこそ魔王のチート能力、"闇"と呼ばれる力です。なんでも彼の"闇"は、あらゆる物体を消滅させる力を持つというのです」

「ほ〜う!それは凄まじい力ですね!」



スタンドマイクを握り締め熱烈な実況を差し込むボス。

まるでスポーツ観戦でもしているようだが、眼前ではファン〇ルのビームで軽く地形が変わったり、槍を分裂させて二刀流ビーム〇ーベルで岩壁をスパスパ切ったりと、規模のおかしい行為が平然と繰り広げられている。



『ええいちょこまかと!喰らえっ、超電磁砲(レールガン)!』



飛び回っていたファン〇ルがドッキング、二つの砲台となり電磁加速されたマッハの弾丸を打ち出した。

威力では本体が放つ電磁砲には劣るものの、それでもレールガンはレールガンである。



「くおっ!?」



かろうじて展開した闇と光の線が衝突して凄まじい火花を散らす。

数秒の拮抗を経て何とか相殺すると、今度は魔王が反撃として鉤爪(かぎづめ)状に変形させた闇でアラス・ノヴァを攻撃。

ザクッ!と盾にした腕の装甲に傷跡が刻まれた。

しかし、すぐさまそれを覆うようにして腕の装甲が変化し、巨大な盾に。

思いっきり薙ぎ払ってボスを弾き飛ばす。



「ふんぐっ……!!」



凄まじい横からの圧だ。

激しく吹き飛ばされた魔王は何度も地面をバウンドし、ドゴォンッ!と轟音を立てて岩壁にめり込む。



「このっ……!"ダーク・ネビュラ"!」



魔王の足元から広がったおぞましい闇が分裂。

整形され、まるで夜空に輝く星々のように浮き上がり、迫り来るアラス・ノヴァに向けて殺到する。

しかしアラス・ノヴァもといジーニアは止まらない。

盾を構えて全速力で星群に突っ込んだ。

防げるはずがない。

実況と解説だけでなく魔王すらそう思った。

しかし。



『エネルギーバリア展開!』



盾から薄緑のエネルギーが放出。

アラス・ノヴァの機体を覆っても余りあるほど巨大なシールドを形成し、強引に漆黒の星群を突破した。

だがそれを読んでいた魔王は既に闇に紛れてアラス・ノヴァの背後に回っており、闇を纏って肥大化した拳を無防備な背中に叩き付ける。



『なんのっ!』

「避けた!まさかの分裂回避です!二機のジェット機による集中砲火が魔王を襲ぅうう!!」

「再ドッキングも非常に素早いですね。これは厄介ですよ」



実況の通り、魔王の打撃を上半身と下半身が分裂することで回避したかと思えば、一瞬でジェット機へと変形しガトリングの集中砲火。

思わずタップダンスを踏む魔王を尻目に、すぐさま再ドッキングしたアラス・ノヴァの猛攻が止まらない。



『カオス・ユニゾン展開!』



さらに四つのファン〇ルが放たれ、既存の五つと合体して花型の巨大な装置を構築した。

花びらにそれぞれエネルギーが収束し、異なる属性のビームを放つ。

加えて搭載されたナノマシンによって翼が変化。

幾何学模様の後輪となってアラス・ノヴァの背後で光を放ち、純粋なエネルギーの弾幕をこれでもかと打ち出した。



『電磁加速ガトリング&自動追尾式火炎ミサイル!ファイヤー!!』



虚空から召喚した超巨大ガトリング砲。

加えてガションガションッ!と脚部や胸部、肩に背中など多くの装甲が開き、中から殺意の塊たる黒鉄の弾丸が顔を覗かせた。

さすがの魔王様も頬が引き攣る。

直後、ドルルルルルルッ!!!という悪魔の咆哮と、地を火の海に変えても余りある殺意がバシュウッ!!と解き放たれた。

通常の数倍の連射速度を誇るガトリングが地形を変え砂埃を巻き上げ、投下された火炎ミサイルが炸裂。

内蔵された小麦粉が爆ぜ、凄まじい規模の粉塵爆発が巻き起こる。



『あっははは!弾幕弾幕ゥ!!』

「こ〜れは恐ろしい!数打ちゃ当たるの局地ですよ!粉塵爆発の威力も素晴らしい!」

「いや〜、殺意に満ちてますねぇ。これは日頃からの鬱憤が相当溜まっていたと見えます」

「なるほど、ブラックな上司に恨みが溜まった結果だと?」

「その可能性は大いにあるかと」

「お前らな……」



「"闇"だけにブラックですか笑」と質の低いジョークで盛り上がる実況席。

爆炎の中から飛び出した魔王の額に青筋が浮かんだ。



「あ、無事だったみたいですね」

「ちっ」



なんてシンプルな舌打ちなのだろう。

しかし魔王にそれをツッコむ猶予はなかった。

周囲に展開した闇でゴリゴリと弾幕を削りながらアラス・ノヴァに接近し、闇で構築した剣を振り下ろす。



『くっ……!やるぅ!』



スパッと軽々と盾が切り落とされてしまった。

凄まじい切れ味だ。

しかも集中砲火したカオス・ユニゾンのビームすら闇で呑み込んで、畳み掛けてくる。



「はあああっ!!」



猛烈な剣閃が走り、アラス・ノヴァの装甲が少なからず破損。

振り返りざまにぶん殴られた左腕は、半壊した盾ごとベキベキにへし折れてしまった。

もちろんナノマシンで修復可能だが、それでも維持するために自在に動かせる兵器はどうしても減ってしまう。



「さあ面白くなってまいりました……やはり魔王の"闇"は強力ですね。あれをどう突破するかが、この勝負の鍵となりそうです」

「はい。しかし、そう簡単には破れませんよ。あの消滅効果がネックです……どんな能力でも突破は簡単じゃない。もし可能だとするならば、"闇"の性質論理が破綻、もしくは機能しなくなる程の高出力攻撃が有効でしょうが……」

「果たしてそのような奥の手を、アラス・ノヴァが持っているかですね」

「ええ、ジーニア氏の手腕にかかっています」



二人の解説を他所(よそ)に、今度はアラス・ノヴァ側が弾幕を使って距離を取ると、ビーム〇ーベルを投げ捨ててどっしりと構える。



『私を舐めてもらっちゃ困るよ!天っっ才科学者の底力、とくと見せてあげる!』



熱噴射を一時的に停止、側面から飛び出した五つのアンカーが大地に深く突き刺さる。

アンカーの先端に設置された重力装置が稼働し、凄まじい圧力を持ってアラス・ノヴァをその場に固定した。

大きく広げ、勢いよく合わせた両腕が変形して巨大大砲を形取り、肩周りや背部の装甲も合わさって物々しい兵器を作り上げる。

装甲がかなり薄くなったが、どの道この状態では動けないので関係ない。



『プラズマチャージ!』



弾倉に、青白いエネルギーが渦を巻いて集束していく。

その果てしない密度にスパークが巻き起こり、荒れ狂ったエネルギーの奔流が天変地異の前兆のように、地を割り雷雲を呼ぶ。

魔王がその眩い輝きを瞳に映した途端、世界に一筋の閃光が迸った。




『必殺ッ!"荷電粒子砲(オメガ・ノヴァ)"!!』




アラス・ノヴァ最大最強の奥の手。

内蔵エネルギーと大気に含まれるあらゆる分子を、〈調和〉によって集束させ放つ超荷電粒子砲。

その威力は現存するあらゆる兵器を上回る。

瞬時に膨張した闇すら呑み込み、眩い閃光は遥か彼方で存分に爆ぜた。



『───快ッッ感!これぞまさにロマンの真骨頂!』



興奮でギラついたジーニアの声が、遅れてたどり着いた突風に乗せられて解説席まで届く。

これは勝負ありかと目を細める実況解説であるが、彼方の爆炎から舞い上がった何かを視界に捉えた途端───その考えを撤回し、ボスは思わずスタンディングオベーションした。



「来たぁあああ!!魔王も本気だ!魔神フォルムで応戦!これは激アツだあああ!!」



広がる爆炎から抜け出した魔王は、凄まじい速度で荒野を駆け抜ける。

ボロボロになったマントの下では闇が焦げた衣服の代わりに展開され、惚れ惚れする腹筋が丸見え。

ヒビ割れのように鋭く全身に広がった闇が魔王の身体スペックをさらに引き上げる。

その速度は降り注ぐ弾幕を全て置き去りにするほどだ。

魔王は無言で威力が底上げされた"ダーク・ネビュラ"を放つ。



『ぐぅうう!?』



鋭い闇がアラス・ノヴァの至る所に突き刺さり、バチバチと漆黒のスパークを起こす。

直後、驚愕の速度でアラス・ノヴァの懐に入り込んだ魔王が、最大級の闇を帯びた斬撃を思いっきり振り下ろした。

切っ先を追従する巨大な闇の斬撃がアラス・ノヴァの巨体にめり込み、いとも簡単に吹き飛ばす。

コックピット内は凄まじい衝撃でシェイクされ、頭を打ったらしいジーニアが目を回している。

ハッと我に返ると、今度は胸部を渾身の打撃が捉え、ビキビキッ!と砕けた装甲を撒き散らしながら後退を強いられた。

異常を知らせる赤のハザードが鳴り響き、液晶に"緊急事態"の文字が浮かび上がる。

損傷が激しい。

ジーニアは思わず歯軋りする。



『くっ……!』



普通ならばまともじゃ居られない振動の中で、ジーニアは的確な操作を瞬時に導き出し、魔王の猛攻を耐え忍ぶ。

このままでは敗北は必至。

損傷がかなり深刻で、荷電粒子砲はもう撃てない。

機体スペックをフルバースト状態で保つのも何分持つか。

こうして凄まじい速度で思考している間にも、みるみる損傷割合は増加する一方だ。





『───それでもッ!!』





ジーニアは強い瞳で前を見据え、操縦桿を握る。

気分はまるで某ロボットアニメの主人公。

一応言っておくが、これは試運転の流れで始まった耐久テストだ。

なんかガチの死闘みたいな感じになっているが、実況と解説を交えた試運転の延長である。



『ユニ〇ーーーンッ!!』

「おいバカやめろ!」



著作権的に色々まずい事を口走り始めたジーニア氏に、たまらず魔神フォルムの魔王様から鋭いツッコミが入る。

だがジーニアは止まらない。

手元のハザードボタンを力強く叩き、左手のレバーをグンと前に押し込む。




───その時、不思議なことが起こった。




どんどん弱くなっていた全身のエネルギー回路がキラキラと輝きを放ち、駆動部から凄まじいエネルギーを噴出。

メタリックな装甲が大胆にパージしたかと思えば、内部から現れたのは半透明なクリアパーツだった。

迸る深紅のオーラがスマートになった背部の装置から吹き出し、巨大な二対の翼に変化。

パージしたメタリック装甲は一部がロングソードとなり、小柄になったアラス・ノヴァが装備すると共に全身から黄金のエネルギーが吹き出した。

最後に、額の角のギミックが作動し四つに分かれ固定される。




『ピンチに覚醒、これ常識!!さあ行きなさいアラス・ノヴァHG(ハイパーグレース)!!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために───!!』




「頑張れ!アラス・ノヴァHG!」

「ぶちかませ!アラス・ノヴァHG!」

「実況解説ぅうう!!お前らも手伝えよっ!呑気に応援してんじゃ───うおおおおっ!!?」



覚醒したアラス・ノヴァHG(ハイパーグレース)によって、荒野に凄まじい激震が迸った。

その後、一時間ほどかけて何とか攻略の糸口を見つけた魔王によってアラス・ノヴァは無事討伐され、もはや目的を見失った試運転は終わりを告げた。



「…………反省、してる?」

「反省はしてるよ!……まぁ後悔はしてないけどね!」



コックピットから引きずり降ろしたジーニアには、かの有名な拷問技術、"ギザギザの板に正座した上で足の上にレンガを重ねる刑"を執行。

実況解説でジーニアを煽ったボスとゼロも同罪として同じ刑が執行され、たまたま通り掛かった青薔薇姫から呆れのジト目とため息を頂戴した。






巨大ロボ回、満足いただけたでしょうか。個人的に書いてて超楽しかったです。

あと、投稿直前にHG(ハードゲイ)に気付いて横転。

ちなみにジーニアの能力は"矛盾を成立させる力"です。



・ファンネル……『ガンダム』シリーズより

・ビームサーベル……『ガンダム』シリーズより

・「それでも!」「ユニコーン!」……『機動戦士ガンダムUC』より

・その時、不思議なことが起こった……『仮面ライダーBLACK RX』より、ナレーション

・「さあ行きなさいシンジ君!誰かのためじゃない!あなた自身の願いのために!」……『シン・エヴァンゲリオン劇場版』より、ミサトさんのセリフ



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

誤字脱字報告、感想等やブクマ、評価など、ぜひともよろしくお願いします!!(*^^*)









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