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我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主~味方の従者は何故かヤンデレ~  作者: 六花さくら
【第一部】【第十章 我が主は、悪役令嬢でこの世界の創造主】
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【IF END1】最大幸福の世界

第10章1話からの分岐です。

もしロゼが観測者の力をあげなかったら。そんな物語です。


「《観測者(しゅじんこう)》権限は、あげないわ」

 ロゼはそうハッキリと告げた。


「だって、人生は一度切りだから楽しいのよ? 素晴らしき哉(vive la )、人生(vida)だわ。例えばもう私はこの世界で失敗したなら、それはそれで仕方がないと割り切るわ」


「もし、俺をまた置いていくとしても?」


「置いていかないわ。もう絶対に。もし置いていくなら貴方も一緒に連れて行く」

 俺の大好きなお嬢様はそう言って、俺の額にキスをしてくれた。


――あぁ、まだ足りないのか。

 俺の想いはまだ彼女に届いていない。


 彼女の遺書だってそうだった。俺を突き放す文章で書き綴ってあった。

 ロゼがいない世界で俺が幸せになれるわけがないのに。


 どうすれば彼女に伝わる?

 もっと言葉を交わそう。

 そうだ。

 たくさん言葉を交わしてわかりあえたらいい。


――()()()()()()()()()()()()()()()()()


 彼女は一度殺された。ルーナのおかげで命は救われたけれど、今後またいつ死ぬかわからない。一週間先か、一日先か、それとも一秒先か――

 そんな薄氷の上に立っていると自覚していないんだろう。


 彼女は簡単に俺を置いていく。


 それなら――誰にも狙われない場所に閉じ込めておくしかない。


 あの塔に何重にも魔法をかけて。誰にも踏み込めないようにしてやろう。

 もうイザベラはいないけれど、俺を恨む者はたくさんいる。


 すぐ動いたらルーナが察するだろうな。

――まぁ、不安因子は潰してしまえばいい。

 彼女は《ヒロイン》だとしても、所詮人間だ。


 蜘蛛の巣にかかった蝶を食うように。

 ゆっくりと体液を流し込んで、気づいた時にはもう食べられているように。


「ねぇ、ローゼリア様」

「……な、なに? アッシュ……」

 ロゼは俺の様子が変わったことに気づいたのか、少し怯えた瞳で俺を見つめてきた。

 あぁ、その瞳に俺以外のものを映さないでほしい。


「悪いことをしましょうか」


 俺はそう言って、彼女の純潔を奪った。




 塔には誰も立ち入らない。


 ――悪いことをしたら、塔の魔王に食べられてしまうよ。


 そんな噂話が立っているから。



 彼女のために家具は一級品を用意した。

 ベッドは広く大きいものを。

 彼女はよく快楽から逃げるようにベッドの上を逃げ回るけれど、それもまた一興。


 彼女が死なない保証はない。

 俺も死なない保証はない。


 だからもう繰り返せないのなら、彼女を縛り付けて、一生離さない。


「アッシュ……すき……」

 ロゼは俺の口づけを受けながら、何度も繰り返す。


「すき……すき、だいすきよ……だから、もっと、もっと……」

「……はしたなくなりましたね、お嬢」

「そういうふうにしたくせに……」

 彼女の瞳は相変わらず揺らがない。

――ただ、快楽に負けただけ。


「お水……ほしいわ」

「仕方ありませんね」


 俺は水を口移しで飲ませた。


 彼女は俺に逆らうことなく、それを疑問に思うこともなく、俺を受け入れる。


 こくん、こくんと彼女の喉が動く。

 少し口の端から水が漏れて、彼女の口元を伝って落ちた。


「もっと」

「わがままっすね」

「もっとほしいわ、アッシュ」


 誰にも祝福されない二人きりの世界。

 貴族同士のしがらみも、ここには何もない。


 彼女はもう俺しか見ていないし、俺以外は見させない。


 やいやい言っていたルーナはいつの間にか来なくなった。

 あまりうるさいようだったら、強制的に黙らせようと思っていたけれど、その必要もなかったようだ。


 あなたが生きてくれるなら、どんな形でも構わない。


「もっと」

 彼女がねだる。

「それは水ですか? それとも俺ですか?」

「……いじわる」


 頬を赤く染めるロゼはいつも可愛いらしい。

 この姿を見れるのも俺だけだ。


 鍵は厳重に閉めている。

 もうここには誰も入り込めない。


――やっと辿り着いた。

 ここが俺の、そして彼女の【最大幸福(グレイテストハピネス)の世界】。


こいつやりおった。


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