114.vs 酔っ払い
プロレスは、新日とWWEが大好きです。
「あっ、ここ。俺のオススメの刺身が美味い店。」
ガッツさんに案内された店は、とても賑わっていた。昼時なのに、すでに地元の若者たちが酒盛りをしていた。
「おう、ガッツじゃねか。久しぶりだな。ガッハハハ、なんだお前幼児趣味か?えらい可愛い子達連れてんじゃねーか。」
「オマエもこっち来て呑めや。俺の酒が呑めねーわけじゃねーよな?」
いかにも酔っ払いが絡んでくる。その1人がフラフラとジョアンの側に寄ってきて
「なぁ〜お嬢ちゃん、酒注いでくれや。できんだろ?そんぐらい。」
私の肩を抱き寄せようとしたところ、隣にいたザックが酔っ払いの腕を取って捻る。その間にサラとアニーは私を引き寄せる。その3人を庇うようにキラさんが前に出る。
「お嬢様に気安く触らないで頂けますか?」
ザックはにこやかに話しているが、目は笑っていない。
「痛ててて、お前なんだ。ガキのくせに生意気なんだよ!ペッ。」
腕を取られていた酔っ払いがザックに文句を言い、唾を吐く。唾を避けようとザックが隙を見せた瞬間に、酔っ払いがザックを殴る。殴られたザックは、近くの机まで飛びぶつかり気を失った。
「「「ザック!」」」
「おい、いい加減にしろ!子供に暴力振るうなんて。」
ガッツさんが止めに入るも酔っ払いに胸ぐらを掴まれる。
「偉くなったもんだな、ガッツ。弱虫だった奴が俺らに意見が言えるようになるとはよー。」
「お、俺は昔とは違う。変わったんだ。」
「うるせーな。図体ばかりデカくなっただけだろうが!お前はオレらのパシリで十分なんだよ!」
ガッツさんが殴られる瞬間にキラさんが酔っ払いの腕を止める。
「止めろ!酔っ払いが!」
酔っ払いはキラさんの手を外そうとしても中々外れず、ガッツさんを掴んだ手を外した。
「きゃっ。」
ガッツ達を見ていて、背後の気配に気付かなかった私が他の酔っ払いに捕まった。
「「「「お嬢様!!」」」」
「この子供に傷を付けたくなかったら大人しくしろ。」
そう言われて、ガッツさんもキラさんもなすすべなく酔っ払い達に殴られる。
「ガッハハハ、ざまーねーな。」
私を捕まえている酔っ払いが笑う。
私が捕まったせいで、ガッツさんもキラさんも抵抗出来ない。どうしたら……あっ、昔テレビで見た護身術。アレ、出来るかしら?首に腕が巻き付いてるから、その場合は確か……。
ガブッ。と噛んで「痛っ。」
緩んだところで、頭突きガンっ。「ううっ。」
で、脱出。よし!脱出成功!!
酔っ払いから距離を取る。
「こんの、クソガキーー!」
私を捕まえていた酔っ払いが、再び捕まえようと向かってくる。私は、その酔っ払いに向かって走り、近くにあった椅子を踏み台にし飛び上がる。空中で相手の首へ自分の片腕を巻き付け、そのまま自分の体を倒しながら相手を後ろに押し倒した。酔っ払いは背中と後頭部を打ったようで気絶している。
決まりました、ダイビングネックブリーカー!!伊達にテレビでプロレスを何十年も見てないわよ。
ありがとう、緑のパンツのM沢様〜。
ガッツさん達は、酔っ払い達が私が逃げたことに驚いた隙に形勢を逆転させて、すでに捕縛していた。サラとアニーもザックを介抱し、ザックを支えて立ち上がっていた。そして全員が私の行動の一部始終を見ており、驚きのあまり言葉を失っていた。ガッツさん達に捕縛された酔っ払い達も、周りの野次馬や店員も驚いて口をポカーンと開けている。
「えっと…。みんな大丈夫?」
可愛く首を傾げて聞いてみる。
「「「「「お嬢様!何してるんですかー!」」」」」
その後、他の私兵団によって酔っ払い3人は連れて行かれた。ガッツさんによると、通常は酔いを覚ました後話を聞き罰せられるそうだが、今回は私に危害を加えたという事で、そのままお祖母様の元へ連行されるらしい。……その酔っ払い、大丈夫かしら?
そして私達は……
「いや〜、お嬢ちゃん。凄いな、おじさんビックリしちゃったよ。おぉー、コレ食いな。おじさんの奢りだ。」
「お嬢ちゃん、何か鍛えてんのか?」
「ガッツもそうだけど、兄ちゃんも強いな!いいガタイしてるからなぁ〜。」
「小僧、格好良かったぞ!!」
と、色んな人達から称賛の声をもらい、色んな料理を奢ってもらっている。店の店主からも
「本当にありがとうございます。こちらも、あの3人には毎度困ってまして。お代は結構ですので。もちろん、食べられない分はお持ち帰り出来る様に致しますので。」
と言われてしまった。
「ザック、痛い所ない?」
「後頭部ぶつけて、ちょっと痛い。」
「痛いの痛いの飛んでけー(【ファーストエイド】)」
「ん、ありがとう。」
次は、ガッツさんね。
「ガッツさんも、痛いの痛いの飛んでけー(【ファーストエイド】)どう?」
「ん?あれ?痛くない……。お嬢さん、すみません。情けないところ見せて。昔、俺、アイツらにパシリにされてて……恐喝やら盗みをさせられてて……。」
あぁ〜、さっき話してた若気の過ちのことね。
「その時、私兵団に捕まってーー」
「昔のことは昔のことで良いんじゃない?今どうあるべきかでしょ?今は私兵団として頑張ってるんだもん。」
「お嬢さん……ありがとうございます。」
「ううん。それより、ガッツさんのオススメだけあって刺身美味しい!!連れて来てくれて、ありがとう。」
「ジョアンって、やっぱり色々規格外だよな。」
「ええ、そう思います。普通、逃げたのに自分から捕まえていた相手に向かって行きます?」
「しかも、何ですかあの技。初めて見たんですけど……。」
「うんうん、俺も初めて見た。あんな技どこで覚えたんだ?」
「……まぁ、ジョアンだから。」
「「「うん、ジョアンちゃんだからな。」」」
皆んながそんなことを話してるなんて知らず、私は海鮮三昧を楽しんでいた。
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