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ワイルド
ワイルド (お題 なし)
ポトスが枯れた。どういうわけか、ふらっと立ち寄った雑貨屋の端で見つけたポトスだった。誰かみたいに萎れて、今にも枯れそうなそいつを俺は選んだ。レジの女が気を利かせて、活きの良いのに取り換えてくれようとしたが拒否してそいつを持って帰った。
「ワイルドだろう」
冬の悲しい静けさは寒さに音さえも籠ってしまうからだろう。代わりに元気な光が活躍する。窓から見える正面の住宅は毎年狂ったような飾り付けをしている。年々下作な物になるそれは、家主の精神状態を現しているのだろう。雪が降り始めた。ケチらずもっと降りやがれと思うような雪だった。窓を開けると、尿意が込み上げるよう冷気が流れ込んできた。真夜中に換気をするのが日課だった。
「ワイルドだろう」
俺は真夜中の裸族だ。毎日夜中の12時に全裸でベランダに飛び出して、昔見た映画の舳先に立つヒロインのように両手を広げ、心地よいそよ風に揺られ、生を実感させるのだ。俺が実感するんじゃない。自然が俺の生を実感するのだ。自然が俺たち人間に生かされてることを感じた時、あいつらは干渉してくる。夏は藪蚊、秋は満月、冬は北風、春は悲鳴。
「ワイルドだろう」




