A spark of ignorance!!
A spark of ignorance!! (お題 夕焼けの教室)
やべー!!チョー夕陽赤いじゃん。空が赤い。これ、あれだろ赤外線出てんじゃね。ずっと見てたら眼に良くないんじゃね。俺とあんこは放課後の教室に残って、駄弁ってたんだわ。
「馬鹿、太陽から出てんのは紫外線だよ」
紫外線。それだ。あんこは俺の目の前にいる奴ね。毎日あんパン食べてるからあんこ。あんこ、結構頭良い。クラスの成績もそれなり、つまり優等生な。
「てか、集中しろよ。明日の期末テスト駄目だったら、お前留年するんだぞ」
そうそう、俺今ピンチなんだ。中間テストが殆ど赤点だったから、留年するかもしれない。それで親友のあんこから勉強教わってんだ。はっきり言って教師よりあんこの方が教えるのうめーーわ。いや、本当に。理解出来なかった問題がスラスラ解けてる。本番もこの調子だったら赤点はないわ。それくらい自信持てる。
「あのさ、お前自身の力でまだ一問も解いてね~んだよ。自信持てるじゃねーよ。阿保」
阿保って何だよ。さっきから機嫌悪くね。後でジュース奢ってやるよ。
「ジュース奢る前に、この前貸した千円返せよ」
千円、あー学食で借りた奴ね。忘れてたわ。だから機嫌悪いんだな。明後日、バイトの給料入るからそれで返すわ。あんこが大きく溜め息を吐く。それから、抽斗からあんぱんを取り出して、頬張った。こいついつもあんぱん喰ってる。
「何だよ。やらねーよ。早く次の問題解けよ」
グラウンドでサッカー部が頑張ってんなあ。おお、東いるじゃん。あいつ、サッカー部だけど大したことなくね。この前の体育の時間、俺あいつ止めたからなあ。あんこもそう思わね?
「まあ、確かに」
陸上部のあの練習なんだよ。爆笑じゃん。ウケる、マジウケる。あんなんで足速くなるのかよ。
「いい加減にしろよ。お前の為に残って勉強教えてんだよ。真面目にやれよ」
怒んなよ。楽しくやろうぜ。あんこ空気読めないなあ。勉強は息抜きが必要なんだよ。
「一時間で何回息抜きするんだよ。息抜きしかしてねーだろ」
うわあ、もしかしてマジギレしてんの?顔赤いのは夕陽の所為じゃなかったのか。すまんかったわ。すまん、すまん。
「ふざけんなよ」あんこは席を立ち声を張り上げた。「すまんじゃねーよ。屑。お前なんか欠点取って留年しろ」
あんこが口を利いたのはそれが最後だった。陽光でぼやけた教室に独り取り残された俺は床に落ちている餡パンの包装に目を留めた。拾い上げようと腕を伸ばした。影だけは長く長く伸び、まるでもっと先の自身には見えない何かを掴み上げようとしているようだった。拾い上げた包装を見て、俺の頭はスパークした。沈みゆく夕陽が最後に放つ一瞬の輝きの様な閃きだった。
「あいつ、こしあんが嫌いなんだ」




