歴史の始まり
歴史の始まり
戦争激化中の異世界。この時既に多数の国や星、次元すら跨いだ戦闘が繰り広げられていた。
「カウント、5、4、3、2、1、突撃!」
「『うおぉぉぉぉぉ!!!!』」
「とにかく手を動かせ!!敵を剣や槍で斬れ!!」
「矢も矢継ぎ早に打て!!」
「魔導士!攻撃魔法を撃て!!」
「きれきれきれきれ!!!!」
そこらじゅうで戦闘激化している為、戦闘終了後の周囲は惨状な光景が広がっている。腕を切られた者、頭が無くなってる者、四肢がバラバラになっている者や魔法で風穴開けられている者すら風景として同化している最中、とある国の国王らが会議の為王城内にある会議室で現在の戦況などを報告していた。
「どうだ?今現状の戦況は?」
「国王。正直芳しくありません。特に西方がかなり怪しいかと」
「というと?」
「国王がお考えになられました作戦ですが、正直失敗しています」
「やはりか…。だがあれ以外の作戦が思い浮かばなかったのだが…」
「それは仕方なかったかと。ですが足止めとしては成功です。何とかこちらも人員と物資の確保はできました」
「その代わり中々の人員と物資を消耗してしまったな。被害は?」
「1万人の損失です。物資も1ヶ月分を消費してしまいました」
「けどそのお陰で5万人増強出来たから、上出来だろう」
「ですが西方はどうにかしたとしても、逆の東方がどうするのかが」
「この国では一番の戦線だな。確かにその戦線にはかなりの人員を割いているが、現状打破には到底及ばないな」
「そうですね。参謀としてもここを打破すればかなり戦況を変える事が出来るのですが、今現状そこまで人員と物資を送り込む事は…」
「出来ないか?」
「はい。北方は同盟国が排除及び協力の元国境付近を固めてもらっていますが、そちらも崩壊するのも時間の問題かと。幸い南方は山脈に阻まれている為こちらは平気ですが、ずっとという訳にはいかないとか」
「だよな…。同盟国もそこまで軍事力を保有している訳ではないからな…。まあこれも幸いな点と言ったら変だが、周辺国に大国が無い事がまだ戦況を悪化させていない要因だろうな」
「だと思います。ですがこの先どうするのか」
「一番良いのが新たな物資や人員調達があれば良いのだが。それが同盟国から人員と物資提供。けどそんなのは…」
「出来ませんよね。ご存知の通り元々同盟国自体が少なく、どこも戦が繰り広げられている状況です」
「だよな…」
手詰まりな戦況に会議に集まってる全員が頭を抱える事態に
「誰かないか?この戦況を打破出来る策は。何でも良い。この際禁忌も良いと思ってる」
「『え?』」
「こ、国王、お言葉ですがそれはまずいのでは?」
「分かってるが戦争勝利するのなら手段を選んではいけないと俺は思ってる。それで?」
「『……』」
一同、その言葉に一旦静かになる。だが1分後に国王直轄の部下である魔法使いが発言する
「国王。あれを試してみません?」
「あれ?」
「あれです。異世界接続または召喚」
「『!?』」
「ああそれか…。確かにそれを使用すれば状況を打開するかもしれない。だがそれもリスクを背負うのだろ?」
「そうですね。一種のギャンブルですね。過去には強力な人員を呼び寄せようとしたら失敗して魔獣が現れたり、人員調達には成功したが戦闘経験の無い市民や農民だったり、召喚された者が国を乗っ取るなど色々ありますね。ですが今思い当たる人員調達で一番良い案がこれ以外には思い浮かびません。勿論再考は出来ると思いますが…」
「今現状それ以外の案は出て来ないか……。お前らもどうだ?他に良い案があれば再考するが?」
「『…』」
一同沈黙した。確かに極めて危険かつ犯罪者になり得る行為だが、現状打破にはこれ以外は無かった
「勿論分かってる。この行為自体が犯罪行為である事が、これは一種の誘拐である事を。だがもう一度言うがこれ以外に方法は無いと考える。どうだ?」
「『…』」
「…無いですね…」
「私も」
「自分もですね」
「だよな。仕方ないからやるか。それで?どうやったらそれが接続または召喚出来るんだ?」
「文献によると、一部の資材と召喚に使う魔法、それと流し込む魔力があれば取り敢えずは大丈夫かと」
「因みに指定は出来ないのか?魔獣にするとか人員にするとか」
「文献によると完全ランダムみたいです。なので指定とかは出来ないみたいです」
「あ〜…。なら万が一の事を考えその行為をやる前に周囲に兵士を配置するか」
「それが宜しいかと」
「ならこれでやってみるか。いつ出来そうだ?」
「2日あれば大丈夫かと」
「なら2日後に地下に集まろう。そこで行為を、いや言い難いから儀式と呼称しよう。儀式を執り行おう」
「『はい』」
2日後、召喚儀式を執り行うべく地下に集まっていた。その数兵士や魔術師などを含め50人以上に上る
「よし。この儀式を執り行うぞ。各自準備はいいな?」
「『はい!』」
・・・・・・・
とある国が召喚儀式を執り行っていたその頃、こちらの国では同じような理由で召喚儀式には成功していたが、対応に困り果てていた
「召喚というか接続には成功しましたが…」
「まさか彼らの実力がここまで強大だとは」
「思いませんでしたわ〜…」
「それで?今彼らは何を?」
「我が国の王相手に交渉しているそうです」
「交渉?何を?」
「分かりませんが、何か有利に働く様に仕向けているとかでしょうか?」
「何でも良いけど、彼らを相手に交渉とは、国王も胃が痛くなりそうですね」
「だね。あそこまで力が強いと交渉も難航しそうだね」
「儀式自体は成功したから良いけど、その後がな…」
「だな。まさか異世界の軍隊を引き当てるとは思わなかったし」
「その後戦闘状態にある周辺国全て一夜で薙ぎ払うとは思わなかったです」
「まあ本当に戦闘してた訳ではないから私達の国に被害や消耗が無いのは幸いではありますが」
「その代わり支出も高額になりそうですし何より」
「栄養に偏りがあるのを嫌がるとは、意外な一面もあるのですね」
「まあ今思っているのは1週間前の自分達に向けて言ってやりたいです」
「それは私も同じですね」
「『召喚は止めておけ。碌な事が起きないぞ』」
そう部下らが発言したのには理由がある。先ほど言った通り1週間前まで遡る
「部下よ。良いな?」
「はい。いつでも出来ますよ」
「ならこっちも儀式を執り行おう。では開始」
「はい。君らも」
「『はい』」
そうして魔法陣を描いた床に向けて魔力を流し込む。すると青色に光り始めた
「よし。取り敢えず起動には成功しました。このまま魔力を流し込みましょう。魔力枯渇を避ける為、疲労や魔力枯渇気味になってきたら交代要員に知らせて交代してください」
「このまま何色まで流し込むのでしょうか?」
「暫く流し込むと赤に変わります。そのタイミングで事前に用意した資材を投げ入れます。あ、直ぐに変わりました。投げ入れてください」
「『はい』」
「すると直ぐに紺色に変わります。変わりましたね。このまま紫色になるまで魔力を流し込みます。紫になるまでが長いので交代しながら途切れない様に流し込んでください」
紫という言葉に一同は了解の視線を送る。だがここからが長かった。少し長い時間流し込めば直ぐに紫に変わるだろうと思った一同は、数時間経っても紫に変わらない状況に焦りを感じていた
「ねえ。本当に紫に変わるのですか?全然変わらないですけど〜?」
「変わります。ですがそこまでに辿り着くまでが長いのです。一度途切れるとまた一からやり直しになるので集中力を切らさない様にお願いします」
「嘘〜!?まだ続くの?」
「辛抱してください」
そうして更に数時間が経過し徐々に色の変化が生じ始めていた。だがそれと付随するように魔術師達の魔力量も枯渇し始めていた。既に十数人が魔力枯渇により治療している。そこから更に数時間後にいよいよ魔術師達の魔力が枯渇寸前になり交代要因も既に使い切った頃に魔法陣の色が紫に光り始めた
「こ、これが紫か?」
「はあ…はあ…。よ、漸く紫に光始めました。ここでこの研究所に依頼した物体と錬金術師に依頼して作成してもらった液体を数滴流し込めば、皆さんは一旦離れて。一時的に煙が吹き出します。それが成功の合図です」
その言葉に一同魔法陣から離れ始める。そして物体と液体を流し込んだ後に煙が吹き始める
「よし。成功しました。あとはこれを設定すれば」
十数分後に煙が引き始める。視界が開けた途端に現れた物体に一同驚愕する
「な、何なんだこれ?」
「これがその異世界に繋がる門です」
「こ、これが…」
「もう既に接続されているのですか?」
「いいえ。これはまだ繋がっていません。ここで接続する訳にはいきませんから。もしここで接続してそこから魔獣が現れたら」
「『…』」
一同が戦慄する。もしここで惨事が生まれたら国としての機能も無くなるからであるし何より周辺国から攻め入られる口実を作ってしまうからである
「な、ならどこで解放するのが一番なんだ?」
「理想は基地内が宜しいかと。変な山中や丘の上または海岸部分や沿岸地域では確かに接続時に魔獣が現れた時に対応できますしそのまま取り壊す事も可能です。ですが本当に人員が来た時には逆に最悪な立地になり得ます。基地内でしたら魔獣が出ても対応できますし人員も基地内から各所へ送り込む事が可能です。ですがもし逆に対応に失敗したとなるとその基地の能力を失う羽目になります。ですが今後の事も考え基地内に設置するのが宜しいかと」
「そうか。それなら何処が良い?」
「参謀としての意見としては、空陸軍基地に設定するのが宜しいでしょう」
「ならこの国最大規模を誇る空陸軍基地に置くのが良いだろう。あそこなら魔獣相手でも遅れをとることはしないと予想する」
「賢明な判断かと。分かりました。では直ぐにいきましょう。今日か明日中に設定しないと効力発揮出来ずに廃棄になってしまいますから」
「直ぐに持って行け!それと余はここで見守っておこう」
「そもそも貴方は国王なので王城から離れては困ります。ですがここまで来れば失敗はまず無いでしょう」
「そう願いたい。では頼むぞ。それとこの場にいる兵士らも連れて行け。何か役に立つかも知れん」
「ありがとうございます」
ということで魔法陣を設定すべく基地へ向かう一同。因みにその接続門であるが、外見上は凱旋門その物である。暫く馬で走り続ける事2時間。王都郊外にある都市へ到着する。このエリアは全て軍事産業で賄っている。なのでこの国最大の軍事拠点と産業がこの都市にある。故に警戒も厳重である
・・・・・・
その接続先であるとある国の施設内では日々の訓練に勤しんでいた
「次!スクワット50回を4セット!!」
「『はい!!』」
「次!ランニング10キロ!笛の合図でダッシュ!!」
「『はい!!』」
「次!銃火器所持のままランニング20キロ!!」
「『はい!!』」
「次!そのまま筋トレ2時間!!」
「『はい!!』」
そう日本国自衛隊基地内である。本日も肉体作りや防衛に関わる業務を遂行していた。その業務終了後にとある事案が発生した。それは警戒アラームから始まる
ピーロピーロ!!!
「『!?』」
『敵襲!!敵襲!!これは訓練ではない!!繰り返すこれは訓練ではない!!』
「飯はあとだ!!各自銃器を所有しろ!!」
「『了解!!』」
『追加情報!!南西方向に巨大な門を確認!!各自銃器を所持し向かわれたし!!』
「聞いたな!!敵国からの敵襲だ!!」
隊員達は万全な装備を所持し当該エリアに向かう。到着した隊員達は一瞬足を止める
「な、何だあれ?」
「分からん」
「外見上はパリにある凱旋門そっくりだな。流石に大きさは小さいが」
「宿舎くらいの高さがあるな」
「状況はどうだ?」
「中佐。お疲れ様です。今配備出来る最大人数を配置つけました。あの門の奥は真っ暗ですが、何も起きません」
「真っ暗なのが不気味だな…」
「はい。ですので何も動きが無ければ閃光弾を投げ入れてみようかと」
「もう少し待って動きが無ければ投擲してみろ」
「分かりました」
・・・・・・
その頃異世界側でも動きがあった。異世界に接続されたのである
「どうやら成功したみたいですね」
「みたいですね。この先が真っ暗なのが何よりの証拠でしょう。それでどうします?」
「自分を筆頭に20人前後で一緒に付いて来て下さい。あちら側と交渉してみます」
「交渉って大丈夫なのですか?」
「攻撃される可能性は否めませんが、まずこちらに敵意がないことを示さない事には始まらないかと思います」
「それはそうですが…」
「それに向こう側から来てくれるとも思いません。何しろこんな正体不明な物に近づこうとは思わないでしょう」
「まあ…」
「ですのでここは製作者である自分自らあちら側に伺おうと思います」
「そしたら私も行きますよ〜向こうに何があるか知りたいですし」
「自分も行きます」
「私らも同伴しましょう」
「ありがとうございます。でしたら馬車も用意できますか?どれくらい移動するかも分かりませんから」
「分かりました。幾つか見繕いましょう。馬も同様に」
「お願いします」
という事で少々時間を頂き、馬と馬車を調達。そして念の為武器や魔法使いとアーティファクトなどを持参し門へ向かった。そして遂に対面の時が来る
「結構暗いですね」
「はい。光が無ければ前後不覚になっているところです」
「けどどれくらいの距離があるのでしょう?」
「分からないけど既に5分は経ったかな?兵士さん?」
「そうですね。大体それくらいは経っているかと…」
「ということは文献を見るに以前見た文化とはかなり違う次元と繋がったみたいですね」
「というと?」
「文献によると、接続先の土地に到達するまでの時間によって文化や場所、次元が違ってくるみたいです。例えば1分未満で到着した場合は同じ星で2分未満なら他星。3〜5分が異次元か異世界になります」
「けどもう既に5分以上は経っていますね。ここまで長いのは?」
「最大で7分経って到達したみたいです。それが空飛ぶアーティファクトとか光線銃みたいなやつです」
「あれは接続時はかなり画期的なアイテムでしたね。靴や装備もお金払えば空飛べるのも中々に新鮮でしたね」
「まああれ自体は人選ぶ装備ではありますけどね。さて。そろそろ10分経過しようとしてますね。これは接続先としては最長かも。記録残ってますか?」
「はい。残ってます。それと正面を。光が見えて来ました。丁度10分経ちました」
「では会ってみましょう。まだ見ぬ世界の方々と」
・・・・・・
「中佐!暗闇から光が!!それも複数!!」
「全員、構えろ!!」
暗闇から突如現れた複数の光。その正体不明な光に警戒する隊員。その後段々と光の正体がお見えになり姿も目視出来るようになる。その後互いにその姿に驚愕する
「『??』」
「『……』」
互いに沈黙の時間が続く
「な、何ですかねあれ。鎧に馬?」
「みたいだな。それにあれは杖?まるで魔法使いのような物だな」
「中佐?もしかしてファンタジーに興味が?」
「あるがアニメとかを観るほどではない。とにかくこの目で見るのは初めてだな…。でもアイツらはコスプレのつもりもないのだろうな」
「かも知れませんね。恐らくあの門の先は異世界に繋がっているのでしょう」
「しかし服装を見る限り何処かの使者達であろうが兵士を連れて来てる辺りな」
「警戒は怠る事べからずでしょう」
「戦闘ヘリや戦車は?」
「戦車は配備済み、ヘリは間も無く到着するところかと」
「了解」
「代表。どうやら新たな文化と出会う事が出来ましたが、この状況は最悪では?」
「そうみたいですね……。まさか異世界の軍隊基地に設定されるとは思わなかったですね…」
「どうします?どうみても向こうはこちらを敵視していますし、薄々感じているのでしょうが魔力が回復しないです。恐らくこの世界で魔法は使えないのでしょう」
「同じ意見です。光が見えてから消費しかしてません。それもかなり。恐らくこの世界に魔法という概念はないのでしょう」
「しかもアレ見て下さい。あんな重そうな鉄がこちらの心の鼓動すら掻き消すくらいの音を奏でながらこちらに向けて武器を構えてますよ?それも複数」
「あっちも見てみて。あれどうみても私達の魔法で貫ける代物じゃないよね?まるで陸上走る戦艦のような物」
「あれもそうですし向こうの兵士の装備すら自分達の魔法では太刀打ち出来そうにないですね」
「これはかなり発展した世界に繋がったという事でしょうか?」
「そのようですね。ですが初対面の印象としては最悪かと」
「どうしましょう〜?」
「取り敢えずこちらに攻撃の意思が無い事を示すのが最優先です。ですので全員両手を挙げて下さい」
「『!?』」
「けどそれだと」
「大丈夫です。信じて。今は時間がないのです。早く!」
「中佐。不審者達両手を挙げましたね」
「攻撃の意思無しか。お前行けるか?」
「良いでしょう。何人か引き連れても?」
「寧ろその方が良いだろう。だが警戒を怠るなよ?」
「了解」
「いつまで続けるのですか?」
「もう少し待って下さい。こちらに攻撃の意思が無いのは分かってるはずです」
「けど腕が…。あ、誰か近づいて来ます!四方から」
「恐らく見極めているのでしょう。相当な手練れだと思われますよ」
「けど四方だと流れ弾が当たりませんか?」
「よく見て下さい。どうやら流れ弾に当たらないように多少ズレているようです」
「…それを見つける貴方も凄いですね」
「兎に角今は彼らの判断を待ちましょう」
「武器を構えたまま散開」
「『了解』」
「俺が彼らに近づく。君はここで待機」
「分かった。頼むぞ」
緊張の対面の瞬間が遂に訪れる
「こんにちは」
「『…』」
「こんにちは?」
「『?』」
「中佐。どうやら言葉は通じないみたいです」
『通じないか〜。どうにか意思疎通を』
「了解」
「どうやら何か話しているようですね」
「はい。ですが言葉が通じませんね〜。どうしたら…。あ、そういえば」
「どうかしましたか?」
「通訳出来る液体って確かありませんでした?錬金術師から」
「?そういえばあったような…」
「ありますよ。私が持ってます」
「言葉が通じないのが少々痛いですが、一か八か試してみましょう」
『少尉。8時方向の魔法使い?が何か荷物を漁ってます』
「変わったところは?」
『敢えてこちらに見せつけている辺り、何か取り出したいのかと思います』
「そのまま監視しろ。敵意がない限りは敵判定は出来ない」
『了解』
「それで?何しようとしてる?」
『ゆっくり動いている辺り、こちらに警戒心を持っているのは分かりますが…。何か液体を持ってますね。それをこちらに見せています』
「液体?液体性爆発物?」
『いえ、それならここで直ぐに割る筈です。それをしないで代表?に渡しました』
「了解。何する気だ?」
「頼みます。これで分かって下さい」
「液体を俺に差し向けてきた?遠隔から爆発物とかの判定は?」
『現状反応無しです』
「受け取るか…。熱くないな。これを?」
「飲んでください。えっと?手を器に見立てて、それを口に近づければ分かるかな?」
「え?これを飲めと?」
『それリスクがあるのじゃないか?』
「そう思いますが、意思が伝わらない限りはどうしようも…」
『分かった。取り敢えず飲め。何かあれば直ぐに救護するし不審者らを即座排除する』
「了解です。では失礼」
隊員はその動作に従い口に付け口腔内で毒があるか確かめる。暫く味を確かめながら毒がない事を察し飲み込む
「これでどうだ?」
「あ、これで会話が出来ますね。良かったです」
「成程。これが通訳する飲み物だったのか」
「その通りです。それで、私らに敵意はありません。お話をしに来たのです。どうかお許しを頂ければ幸いです」
「それなら先ず君らを調査したい」
「調査、ですか?具体的にはどうすれば?」
「現状会話が出来るのは俺だけ。つまり俺を介する必要がある。それは分かるな?」
「はい」
「だから暫くは俺が通訳になろう。それで通訳出来る飲み物の効果は?」
「一度飲めば1ヶ月は保ちます」
「逆にそれくらいしかないか……。その飲み物に代わりは?」
「ある事にはありますが残り3本です。こちら実はとてつもない高額商品ですので」
「そう言うという事は君らは異世界にある何処かの貴族か何かか?」
「お察しが早くて助かります。とは言っても私自身もこちらの方々も貴族とかではありませんが」
「取り敢えず詳しい話はこの後するとして、先ず荷物検査をしたい。武器とかは一旦預かる方針になるが、それでも良いか?」
「円滑に会話が出来るのならそうします」
「分かりました。では貴方がこのグループの代表者、という事で宜しいか?」
「はい。私はトークレと言います。副代表も2人ご紹介します」
「ミレーナで〜す」
「マクレスです」
「宜しく。ショウジだ。見ての通り軍隊、まあ日本国に軍隊は無いが対面的にな。一応階級は少尉になる。宜しく」
意思疎通が出来た事により取り敢えずの安堵を見せる異世界人。その頃少尉は上官である中佐に状況を報告する事に
「先ほど自分が飲んだ液体ですが、あれ通訳が可能になる飲み物だったみたいです。ドラ○もんの翻訳か何かの」
『そうか。それで?目的は何だ?』
「それはまだ。但し一切敵意が無いのを示したかっただけだそうです。なので武器とかは恐らく護身用かと」
『ということは話をしたかっただけ。そういうことか?』
「そうみたいです。そしてどうしてこちらに来たのかも知ってほしいと言っていました」
『それ自体は構わんが、当然ここでは』
「勿論武装解除を要求したら受け入れてもらえました。ですが逆に言えば」
『何となく想像できるが、それほど向こう側では切羽詰まってる、という事だろ?』
「恐らくは」
『まあいい。分かった。取り敢えず危機は去ったとしよう。一旦この場は少尉に一任する』
「了解しました」
『航空隊と戦車隊は武装解除。脅威は去った。あの場は20人前後で十分だろ。少尉の班以外も武装解除して持ち場に戻れ』
『『了解』』
こうして互いに武装解除する。その後は持ち物検査に移る
「取り敢えずは一旦剣と杖、それと武器は一旦地面に置いてくれ」
「分かりました」
「荷物は近くにいる者に手渡しで。この場で広げる事はしない。あくまでも爆発物など危険物の確認にだけ留める」
「分かりました」
「すると私は君にかな?」
「そうなるな。すまんが確認を頼む」
「あ、そっか。君以外は通じないもんね」
「そうだ」
「分かった」
「少尉。全部異常なしだ。ただ一部の荷物に何か言いたげだった。確認頼む」
「了解。すまんがこの固まってる荷物に何かあるのか?」
「あ、いえ。実はちょっと私達の中でも混乱が広がってまして」
「混乱?何が?」
「この世界に魔法という概念は、存在していますか?」
「いや、してない。それがどうした?」
「『(あらら〜)』」
「?トークレ以外頭を抱えたぞ?大丈夫か?」
「ご心配、ありがとうございます。ですがそうではないのです」
「?」
「実はその一部のカバンには魔法が付与されているのです」
「どういったのが?」
「所有者または関係者以外の者が持つと途轍も無い重量がのしかかり手に持つ事すら出来ない、無理にカバンの中に手を入れると麻痺魔法が掛かる付与をしているのですが、発動しなかったみたいですね」
「それが混乱に繋がったと」
「はい」
「防犯意識は高くても良いが異世界には異世界のやり方がある。それが通用しなかっただけだ。気を落とすな」
「ご配慮。感謝します。ですが魔法と言っても貴方方は混乱しませんね。もしかして耳にした事が?」
「あるにはあるが、どれも幻想世界だったからこうやって実際に見たのは初めてだ」
「そうなのですね。それでこの後は何処に?」
「取り敢えず君らに敵意が無いのが分かったし脅威でもないのも分かった。という事で君らの話を聞こうかと思う」
「ありがとうございます」
「取り敢えずは俺に付いて来い。案内する」
「宜しくお願いします」
「コイツらの監視も頼む」
「了解」
手荷物検査を終えた異世界人は素直に少尉の指示を聞き後を付ける事に
「荷物検査の協力、感謝する。勿論最後は返却するから安心して良い」
「ありがとうございます。それと私達からも感謝の意を。魔法の杖の持参を感謝します」
「それくらいは良い。それと俺らも君らがこの世界に来た理由も知りたいしな」
「少々話が長くなりそうですが、それでも宜しければと思います」
「長くなりそうならお茶を出した方が良いか。会議室にお茶を」
「了解。離脱する」
「申し訳ございません。こんな見ず知らずの者にお茶とは」
「敵意が無いだけでも十分だ。それに恐らく俺も俺らも君らとは長い付き合いになりそうだしな」
「そう願いたいですね」
こうしてファーストコンタクトはかなり奇天烈ではあったが、双方友好的な態度に安堵を見せる。この後の話で異世界の現在の情勢を聞き想像を絶する状況に隊員らは言葉を失う事になろうとは、この時は思ってもみなかった。




