歴史授業
歴史授業
とある異世界にある学園。その中のとあるクラスでは授業が始まろうとしている。先ずはドアを開ける音から
ガラガラガラガラ〜〜
「『!!』」
「よ〜し。これから授業を始めるぞ〜」
「『は〜い』」
「知っての通り、俺の担当科目は歴史だ。故にこれから歴史の授業を始める」
「知ってるよ〜わざわざ言わなくても。一体誰に言ったの先生?」
「さあな。もしかしたら知らない生徒もいるかもよ?」
「流石にね〜。居ないよ〜」
「知ってる。それはまあ良いとして、今日から新たな範囲をやるぞ」
「『えぇ〜〜?』」
「そらそうだろ。先日テストしたんだからな」
「『……』」
「そんな黙るな。やるぞ」
「『はぁ〜い…』」
「一気に声のトーンが落ちたな。まあ良いや。お前ら教科書を開け〜。このページだ」
パラパラと教科書の捲る音が反響する。そして指定されたページを開くと生徒らの顔が一気に強張り始める
「お前らのその顔を見れば分かる。俺もそうなる」
「そうなのですか?」
「ああ…。正直この範囲を授業するのは俺も気が引ける。まあその理由はお前らも分かるだろ?」
「『……』」
「『…はい…』」
「だよな。その気持ちを忘れるなよ。再三言うが、今日から暫くはこの範囲を行う。お前らもご先祖様がしでかした所業を忘れるな」
「『はい!』」
「よろしい。では始める。先ず始める前に前回のテストの範囲の復習をしようか。教科書の最初のページに戻ってくれ。最初はこの星が生誕された年代まで遡ろうか。最初にこの星が生誕された年数は、諸説あるが今から約1兆年前と言われている。1兆年前に何があったかと言うと、当時宇宙で惑星同士の衝突が相次いでいた。その理由は今でも定かではないが、一番有力な説が元々惑星はこの世界には1つしかなかった。その時にその惑星が何らかの理由で分裂。当然この時に生物は存在しなかったそうだ。その分裂で1つだった惑星が複数個の惑星に変貌。普通なら分裂した惑星に土地が形成されるとか、生物が生まれるとか、とにかく死んだ惑星になるのが普通なのに、それにはならなかった。これも理由は定かではないが、一番有力説なのが?多分知ってる生徒が多いだろう。全員で一斉に?」
「『その時点で魔法が存在した』」
「その通り。逆にそうでなければ説明が付かない。という事で学者は定説とはしていないが、最有力説として歴史の教科書に大きな1ページを刻んだ、という事だ。ここの範囲は前回出された問題だからお前らも記憶に残っていると思って聞いてみた。ではここから先が次のテストの範囲になる。という事でさっき言った指定ページに戻ってくれ」
また紙を捲る音が響き渡る
「という事で範囲に入る。今から1万年前、世界はどこもかしこも戦争で溢れかえっていた。それは別次元や異世界、他星も同様に。当然この星も例外ではない。この星もそこらじゅうで戦争や内戦を繰り広げていて、その余波は他星や異世界にも侵蝕していった。そうした中、我々のご先祖はとある愚行行為を始めようとしていた。それが?」
「『新たな異次元または異世界を召喚または繋ぐ儀式』」
「そうだ。それを用いて何も知らない無知な方々を巻き込んで傘下に収めようとした。実際にその国や星などは数え切れない。そしてこの国もまた同じ行為を行おうとした。何故か分かるのが多いか?」
「『以前にも複数回に渡りその行為をしたから』」
「その通りだ。そして今回もやろうとしたのだろうあのバカな先祖らは。まあ当時の国王や側近も含めた奴らも承認していたのだからアホ以外何者でも無いような気もするが…。まあそれは置いといて、その儀式を執り行い見事に成功した。その場所がこの国で最大規模を誇る空陸軍基地でその門が開かれた。俺達にとってはこれが最恐を呼び寄せた出来事になるから最悪な状況にしたのだが、当時のアイツらには”また新たな国を侵食出来る”と思ったのだろう。問答無用で暗闇の奥に存在する国家に向けて進軍した。だがそれがマズかったのだ…」
「もしかして、その先に存在した国家があの国家ですか?」
生徒の一人がそう答える
「いや、実は違う。その時はその国家とは直接繋がっていなかったんだ」
「『違う?』」
「どういう事ですか?」
「そこは色々添削されているのだろう。実は先程言った通り、この時はまだ繋がっていない。ただ間接的ながらこの段階で既に繋がっていたんだあの国家とは」
そこで生徒一同キョトン顔になる
「『え?そうなのですか?』」
「ああ、実はそうなんだ。ここもテスト範囲だから忘れるなよ?簡潔に言えば、その繋がった国家は別星の中規模の島国国家なんだが、そっちも実は同じ愚行をしていた。但しその国は純粋に他国からの脅威から協力関係として防衛して欲しい、その一心で。それでその接続先の国家が?」
「え、まさか!?」
「『日本国!?』」
「その通り。それで協力関係になったその国と日本国がペアを組んで問答無用で戦争をふっかけた我が国はその強大すぎる軍事力に完敗を喫した。そういう訳だ」
「先生。その国の名は?」
「次のページにある。当時名オーディルファ王国」
「『?』」
「当時名ですか?」
「ああ、当時名だ。現在は違う」
「今は何ですか?」
「日本国」
「あれ?オーディルファ王国は?」
「これもテストに出る。覚えておけよ。簡単に言えば、王国内で内紛と日本国に対する裏切りと反旗を翻したバカが現れてな」
「『うわぁ…』」
「激しく同意するよお前らに」
落胆な声が挙がる教室内。当然である。今まで協力関係として成り立っていたあの最恐国家を裏切るという、万死に値する行為を行ったのだからこの反応は当然である
「一応あれですか?王国内にも居たのですか?協力関係を賛同する声は」
「あった事にはあった。だがとりつく島も無くその声は物理的に地下へ幽閉されたそうだ」
「最悪じゃないですか…」
「まあな。それに人数もかなり差があったそうだ。過激派つまり日本国相手に勝負を仕掛ける割合が7割を超えていたそうだ。残りの3割弱が穏健派というか日本国との関係を維持しようと策を考えたが、先に言った通り幽閉されたそうだ」
「『……』」
「まだあるぞ。しかも儀式に関わった魔術師や魔法使いらや国王側近ら、それと国王の身内ですら過激派に加わったそうだ。文献にある」
「え、待って。では誰が穏健派?だったのですか?」
「国王と国王直轄の部下、それと一部の身内と護衛くらいなだけだそうだ」
「別れた理由は何ですか?知能や危機能力の差とかですか?」
「いや違う。どちらかというと性別の差だろう。過激派は殆どが男性で穏健派は殆どが女性。多分本能的に察したのだろう。逆に男共は力尽くで奪おうとしたのだろう。それが仇となったみたいだな。そして過激派のみで日本国に対し相手取った結果が、一人残らず斬首されたそうだ。圧倒的な実力差を見せつけながら」
「被害はどうだったのですか?」
「日本国の被害はほぼゼロ。足を挫いたとか行軍中に肩を負傷したとか、とにかく戦闘には関係ない負傷しかなかった。対して王国の被害は甚大で、保有する国軍の9割以上が消失した。これは証拠もある。日本国が挙げた、今では俺達の手にもある撮影機材で撮った映像だ」
その映像を生徒に見せるべく自身の背後にある黒板に向けてホログラフィー映像を映し出した。その映像には凄惨な光景が記録されていた。戦車での砲撃、戦闘機や戦闘ヘリによる絨毯爆撃や掃討射撃、装甲車からの主砲砲撃や機銃掃射、迫撃砲や擲弾発射器、軍艦からのミサイルや主砲発射、歩兵からの銃器発射、地雷による爆発も記録されていた。しかもこの時既に日本国は魔法使用の術を手に入れ、使用していた。王国兵が砲撃や銃掃射により肉塊や風穴だらけになり死屍累々の光景に一同は顔を青くしていた
「これが日本国が本気を出すきっかけになった映像である。とは言っても本当に本気は出していなかったそうだがな。しかも日本国の凄いところは、当時日本国がこの世界に進出した時は全く魔法も魔力も無かったそうだ」
「『え!?』」
「ほ、本当ですか先生!!??」
「ああ。本当だ」
「マジで日本国は進出当時、魔法を使えなかったのか!?」
「おいお前、敬語。他の生徒を見習え。その通りだ。何も使えなかったのに当時協力関係にあった王国からの指導の元魔法を開拓、目覚めさせたそうだ。凄いよな〜」
「にも関わらず王国は裏切りを?」
「その通り。しかも日本国は王国からの裏切りがなければそのまま協力関係を維持し、国名もそのまま王国または連合として名乗ろうと日本国から提案されたのだけどな〜」
「『(嘘だろ……。それはないよ〜王国)』」
「折角の厚意を無碍にした王国に判断能力も無ければ拒否権も無い。過激派を殲滅した後は裏切りの代償として王国の王城へ進軍し王城を爆破しようとした矢先に穏健派の護衛と対峙し事情を説明した後に幽閉された方々は救出されたが、日本国の怒りは収まらなかった。そらそうだろ。折角友人として成り立ってたのに縁切られたのだからな」
「『だよな〜〜……』」
「その後はどうにかして日本国の怒りを鎮めようと奔走したが、怒りは収まる事なく日本国は自国へ帰還しようとした矢先にちょっと戻ってこの国が攻めに来た、という事だ」
「え、矢先、ですか?」
「そう、矢先」
「またなんという最悪なタイミングで攻めに行ったご先祖らはよ〜〜……」
先生の言葉に思わず呆れるの言葉が出る生徒達。まあそもそも他国へ進軍しなければこうならなかった訳だが……
「まあそんな状況になっているとはつゆも知らずに進軍した我が国は日本国の軍隊と衝突。始め我が国も当初は王国との衝突の末傘下として加えさせる魂胆を考えていたが日本国はあれから更に軍事力を増大させ我が国と衝突し、見事にこちらも完敗を喫するハメになったそう。しかもあれから魔法能力を上げたのか、精神干渉魔法も新たに構築したそうだ」
「え?先生、私魔法授業で精神干渉魔法はこの国が始まりと聞きましたが?」
「始まりはな、けど本当の始祖は違う。まあこれは歴史の授業共通で教える事だから遅かれ早かれ分かる事だがな」
「けど何故”日本国が始祖です”とはしない訳?」
「これは日本国からの要求だそうだ。”俺らは魔法の始祖ではない。故に初使用したお前らが始祖になれ”という要求の元、魔法学ではそう記載したが、流石に気が引けたのか歴史上では日本国と記載したそうだ」
「そうなのですね。通りで少々辻褄が合わないと思いました」
「そこは言わない約束だな。んでその後我が国は日本国相手に敗北をし、日本国から戦争に対する賠償請求やその他の要求を提示された。ただそこでも問題が起きてな…」
「『問題?』」
「何のです?」
「あれだけコテンパンにやられたのにも関わらず、まだ日本国相手に仕掛けようとしたバカが居たらしく、またもや裏切りが発生したらしい。次のページが実際の文献だ」
生徒たちは次のページを開く。そこに載ってる文献とイラストにより、どう見ても穏便に済ませようとはとても思えないのがハッキリ分かる場面に生徒達は”何でご先祖らはこうも愚かなことをするのか”という雰囲気になっていた
「という事でまだまだ火は燻っていたというのが分かるな。しかもな?実はイラスト内にいる数人が更に状況を悪化させる要因である事が後々分かったんだ。ではここで軽く聞いてみようかな。この中に居る数人、何をしでかしたのでしょうか?」
「『しでかした?』」
「やらかした、という事ですよね?その方々がどういう方ではなく?」
「そう。何をしたか。答えはあるけどまだ教えてないから不正解でも構わないぞ?正解なら加点する。不正解でも原点にはしないから」
先生の発言により、当ててみようと思った生徒が手を挙げる
「しでかした、だよね。なら傭兵を頼んだ」
「残念、違う」
「日本国相手に買収?」
「それも違う」
「窃盗?」
「残念」
「技術盗用とか?」
「知っての通り、日本国は異世界一警備も厳しい。それは当時も変わらないからバツ」
「多分違うと思うけど、諜報員として送り込んだまたは自身が潜り込んだ」
「両方残念」
「傭兵ではないのなら、暗殺?国のお偉いさんとかを」
「それも違うし何なら返り討ちにされてる」
「『強〜〜!!』」
「多分直接手を下した訳ではなさそう。依頼した?ならその人がどこかの当主で、当主お抱えの軍隊を送り込んだ」
「違うが惜しい」
「『惜しい?』」
「惜しい。もう分かるかな?」
「ま、まさか。これで惜しいならこれじゃない?他国に協力を仰ぎ、日本国に送り込んだ」
「当たりが出たね。その通りでまさかの他国に派兵を依頼したんだ。それも十数ヶ国」
「よくそんなに派兵要請できましたね?」
「多分何が何でも状況打破したかったのだろう。それにまだ見ぬ敵に興味を示すのも無理はない。だから送り込んだ訳だ。連合同盟国として。だか当然?」
「『日本国が勝つ』」
「勿論そうなる。それが人を呼び国が動く。国が動くという事は更に兵士の数を増やす。それでも対応できなければ連合同盟国に協力を依頼。その結果が日本国がこの星に来てから僅か半年でこの星全ての国家から攻撃を受ける事になったのだ。けどここまで来ると分かるよな?」
「『当然、日本国が勝つ』」
「その通り。そしてそれは先程の文献にも載ってるから良く見ておくように。そしてその先は他星にも異世界にも異次元にも繋がるのだが、今日の範囲はここまでにしよう。ここから先はどうして日本国が異世界に現れたのか、どうして他国は友好に出来なかったのか、どうして日本国に攻め入ろうと思ったのか。今日の授業はこれを出来る限り挙げてみよう」
「けど先生。挙げると言っても考察までは出来ませんよ?」
「深く考える事はできるだろ?それで考えてみろ」
今度は考察という発言に悩み始める生徒。確かに当時どのような状況だったのかは文献やイラストを見ればある程度は分かるのだが、どうしてそうなったかという経緯を考えるのは割と難易度がある内容である
「因みに先生。考察って図書館の本を見るとかは?」
「あれば見ていいぞ。勿論話し合いも可能だ。但し隣室は静粛に授業している。騒音や問題行動は点数に大きく影響する。その上で考察してみろ」
「『はい!』」
こうしてバラける生徒達。そして話し合いを始める。その光景に先生も記憶を思い耽る
「(俺もこの辺りは苦戦したな。まあ他も同じだったが。ここの難題な点は何故日本国が来たのか?が難しいところ。今ではあんなに温厚かつ寛大な心を持つ彼らが、当時何故あそこまで血気盛んな態度をしていたのかがわからなかったな。確かに攻め入られるのは穏やかではないが、そこまでする事なのかが疑問だったな)」
暫く時間が経過しある程度纏まりつつある考察の内容を察した先生は生徒を集める事に
「よ〜しお前ら。考察時間はこれで終わりにしろ〜」
「え〜けど先生〜。まだ時間が足りませんよ〜」
「考察に答えは無いんだよ。基本は深掘りか物事をハッキリするだけであって答えを導き出すとは違う。だから間違っても良いんだ。君らの君らなりに考えた考察を聞かせてほしい」
「まあ、そういう事なら……。では先ず私から。正直どうして日本国がこの国に来たのか?が分からなかったです。先の先生の説明と文献で王国から異世界に繋がった、それくらいは分かりましたが日本国が異世界に来た理由がどうしても分からずじまいでして……。ですので私の考察をお話しします。私はこう思いました”もしかしたら始めは王国との関係だけ保ちたかった”のではないかと。そう思った理由が、本来の日本国軍隊の性格です。本来の彼らの性格は温厚かつ寛大な心を持つ方々、そう簡単に一気に憤怒するとは思えません。ですので日本国は、王国という異世界の文化や情勢に詳しい味方が欲しかったのではないかと思います。そうする事によって他国との無駄な接触を避け、相手との距離を一定に保つことが出来る、所謂交渉材料にしたかったのではないかと。そしてそれと引き換えに当時の王国と共に国防機関として協力したかった。といったところでしょうか?ごめんなさいこれ以上は……」
「いやいや。この短時間ではかなり上出来だ。当時の俺を叱ってやりたいね。では次、頼めるか?」
「俺が行こう。俺が考えた考察は日本国と友好関係を築けなかった訳。恐らくだが、他国らは日本国の強大すぎる軍事力をどうにかして自分らの国の一部にしたかったと考えている。あれだけ強大すぎる力があれば諸外国に対し大きく有利に物事を運べれると思ったのだろう。それか単なるバカか。そんなのは置いといて兎に角日本国に対し恐らく始めこそ交渉しようと持ち込んだのだろう。だがその時はまだ王国との関係は続いている期間。恐らくはそれで断られたのだろう。それの腹いせで日本国との友好的な態度は取れないと判断して力尽くで押し切ると上層部も判断したと俺は考えた。じゃなければ正直辻褄が合わんな。これ以外で交渉席の場を蹴るというのは、ないと思う」
「お前らしい考察だな。だがそれも良さそうだな。次の考察は?まあここまで来れば次の発表内容は分かるか」
「まあね〜。ここまで来れば次は日本国に攻め入った話になるけれど、さっきのバカの続きになるかな。言う事聞かない、思い通りにならない、無碍にされる。これが恐らくは攻め入った原因だろうね〜。国も案外バカなところはあるからさ〜。思い通りにならないのなら力尽くで奪ってやる。そう思って攻め入ったけど、予想を遥かに超える軍事力に上層部は頭を抱え数で勝負を仕掛けたが日本国は更に強力な武器や魔法を使用し敵を凌駕し返り討ちにした。その結果が人が人を呼ぶような形で王国から諸外国に広がりやがてこの星全体を巻き込んだ。その後他の星や異世界からも攻め入られたから全て迎え撃った。というところじゃないかな?まあ今他星とか異世界とは言ったけど辻褄合わせる為に少々オーバーしちゃった」
「まあ良いだろ。その気持ちは分かるからな。けどこれは考察の中で一番簡単じゃないかな?」
「先生〜それは言わない約束〜〜。察しの良い先生は嫌われるし一生独身のままだよ〜〜」
「うるさいやい」
その後も考察の発表は続く。暫く時間が経過し、先生が「そろそろまとめに入りたい」と釘を打つ
「今日お前らの考察を黒板に書いた。箇条書きですまんがな。その結果このような発表になって思った以上の成果が出て先生は感心したぞ」
「そうは言うが先生。ここからどうやってまとめに入るんだ?」
「お前らが思ってる事をそのまま言葉にして良い。確かにまとめとは言ったが答えを出せとは言ってない。だからあくまでも黒板に書いてある情報を汲み取りながらお前らの考えているまとめを発表してくれ」
「じゃあ今度は俺から。恐らく日本国は本当に交流したかっただけだと俺は思う。当時日本国は異世界と繋がった時はまだ見ぬ世界に可能性を感じてたのだろう。新たな土地や生物の出会いや文化や交流の可否。勿論不安や恐怖がない訳ではないだろうが交流を持てればどちらとしても良い友好関係を築けたと思っていたのだろう。その気持ちを無碍にし対立したのはこちら側。その結果日本国は非道かつ残虐な方法等で先祖らを地獄に葬り続けたのだろう。その結果が長年に渡りあのような態度になるのも無理はないと感じた」
「あれ?日本国本土から来た人物を見た事があるのか?」
「ある」
「『おお〜〜』」
「正直俺も珍しいと思った。今は異世界の日本国領とはいえ、現地出身の方が殆どだからな」
「確かにな。けど本土から来たと言うことはそれなりの地位も?」
「地位かどうかは分からんが、沿岸警備隊から来たと言ってたな」
「『海上保安庁からか』」
「そうだな。その人物像を見て察した”あぁ。ご先祖らはなんという愚かな事をしたのか”」
「歴史を見れば無理もないな……。じゃあ次」
「私は今度はこちら側の結論をまとめてみました。異世界側で。多分ですが、あの当時はどこもかしこも戦争だらけで物資も人員もかなり消耗していたはずです。だから新たな土地と繋がる事で戦果を有利に進めたかったのだと思います。それと当時あちらも居た筈です」
「『?』」
「誰だ?」
「今でも居ますし現在は通常通りに交流している種族、魔族系や悪魔系それと死霊系です」
「『ああ』」
「確かに当時は脅威だったと文献にも書いてあるな。それがどうし…、まさか?」
「はい。そのまさかだと思います。当時日本国の強大過ぎる力を知る由もなかった時代、少しでもこちら側に有利になる口実を付けて日本国と魔族関連を対峙させたかったと考えています。そうすれば一旦その問題は回避する事ができる。けど実際には出来なかった。それは、日本国のあまりにも強過ぎる力にどの種族も慄いたから。ちょっとだけ脱線しますが、当時もかなりの種族が居ました。それが今でも。だから当時の方々は全員侮っていたと思います。”日本国?あぁ。新たな土地か異次元にでも繋がったか。けどどうせ人族だろ?なら俺達私達が相手にする事ではない”そうして放置し続けた結果が日本国の力を見誤った。そして日本国の脅威に気付いた時には既に遅く、戦力も物資も割けれる時間も労力も人員も物資も金も何もかも足りない。ただでさえ諸外国との戦闘で疲弊し切ってたのに新たに戦火が生まれるのは避けたかった。でも出来なかった結果が日本国の怒りを買ってしまい問答無用でどの国家も焦土と化してしまった。そう思っています」
「日本国の力をもう少し見極めていればもう少し状況は変わっていたと?」
「それがどの程度かは分かりませんが、少なくともこの星全ての国家に相手しながらも勝利した日本国、という文献からは外れたと予想します。”日本国の協力を得て我が国も勝利した”とか”日本国と同盟を組んだ結果、この国が戦火や焦土を化す未来は消えた”等色々出来たと考えています」
「なるほどな。今だからこそ言える内容だな」
「はい」
他のまとめを聞きたかった先生ではあったが、ここで授業終了の鐘がなる
ボーン ボーン
「おっと。今日の歴史授業はここまで。明日は続きをやってから異世界や異次元の話に突入するぞ。ではお疲れ」
「『お疲れ様でした』」
次の授業の準備をする生徒達。その中にとあるグループが集まり始め会話が始まる
「しかしお前、まさか純日本人と会った事があるとはな」
「ね〜。私も初めて聞いた〜」
「どこで会ったんだ?」
「先月くらい?偶々日本国領に行く用事があってな」
「何で?」
「弟と妹が日本国に留学してるんだ。近況を聞きたくてな」
「ああ。それでか」
「けど日本国入国ってかなり手続きが面倒だし時間もかなり掛かるんじゃなかったか?」
「身体検査とか手荷物検査とかもかなりあったけど、僅か数時間で国境通過出来たな」
「『えぇ!?』」
そのグループのみならず、周囲に居た生徒達も驚きの声を上げる
「その気持ちも分かる。通常入国は国境に差し掛かってから最低でも4日半は掛かるからな」
「ならどうして!?」
「裏技でも使ったのか?」
「もしかして密入国?」
「犯罪者?」
「落ち着けお前ら。別にズルしてない。寧ろそんなのは出来ないのはお前らだって知ってるだろ?」
「ま、まあ。ならどうやってそんなに短縮出来たんだ?」
「ファストパスというものを使ったんだ」
「『ファストパス?』」
「何それ?」
「条件付きだけど優先に国境を越えれる特権みたいなものさ。これを使えばかなり短縮される」
「へぇ〜そうなんだ。その条件って?」
「かなり多いけど、代表例が家族が日本国在住で在留期間も長期であること、仕事とかで頻繁に国境を越える方、入国者自身が永住許可書持ちまたは自身が日本国籍で帰国、お役所や公務勤務など色々だけど、今回はその家族が日本国に留学していて在留期間も長期だから使えたんだ。それと書類や手続きもしっかりと事前に申請かつ当日も持参し不備が無いことも前提に」
「その長期期間ってどれくらい?」
「確か、人族基準で最低11年以上だったな。んで妹はこれを超えてないが弟が既に超えてるんだ。だから使えた」
「『11年……』」
「そこそこ長いね。しかも人族基準だと他種族なら?」
「その分基準が変わるだろうな」
「それってお前同伴で入国は?」
「残念ながら出来ない。俺は血縁者だがお前らは違う。この段階でも弾かれるしズルすると日本国法執行機関から眼を付けられ最悪は逮捕されるからやめた方が良い」
「『だよな〜…』」
「それと手続きって事前申請が出来るの?」
「出来るけど、単なる訪問や旅行、観光目的なら逆に事前申請はしない方が良い」
「え?何で?」
「これはあくまでも仕事とか業務とかに特化しているようなものだから、そうではないのは逆にいらない。ただ俺今回は荷物がそこそこあったし検査されるだろうと思って申請したんだ。それが功を奏しただけだ」
「あら〜。残念。もっと簡単に入れると思ったのに〜」
「諦めることだな」
その後も暫く会話が弾んだ結果が次の授業の準備が疎かになり、担当教師から多少お叱りを受けたのはご愛嬌。




