第1話 冷徹な世界と現実
「ウッ...ウッ..ウ....ウ」
今日だけであざが3つ増えた。太ももはジンジン痛むし、腕は血がにじんでいる。たいして目立ってもないのになんでこんなことされるんだろう。もう俺の心は限界。心が悲鳴を上げている。
俺の名前は 高岡 悠人
高峰中学校に通う2年生だ。みんなは中学校生活が楽しいらしい。生き生きした日々を送っている。少なくとも、俺は無縁だが。
そんな中学校の帰り道。いつもの電車に乗った。
席の正面に立っていると、窓ガラスにはまるでゾンビのようなやつれた俺の顔が映っていた。
毎日乗っている電車で俺は考える。
こんなカースト底辺が上の連中に好き放題される毎日。
やつらはどうして俺をいじめる?恨みを買った覚えはないんだが?何が楽しくて?
電車のアナウンスが聞こえなくなるくらい考えた。
その結果一つの答えにたどり着いた。
『俺は暇つぶしなんだ』
そう考えるとあいつらの行動にも納得できた。
思い出すのは、俺が怯えるときに見せるあいつらの汚らしい笑い顔。
そして、邪魔だの、罵詈雑言の数々。それは完全に娯楽、ストレス発散、力の誇示、そんな目的で俺を....
そんなことを考えていたら俺は家の最寄り駅についた。
最寄り駅は「地下鉄我孫子」という駅。
商店街や住宅地が広がっていて、そこそこ人がいる場所。この近くには川がある。
そこにかかっている橋は高速道路の入口であり、結構重要な場所。
その橋を渡った先に俺の家がある。
俺は橋を渡る前、ふと思う。この橋を渡って俺の家に着く。
でも家に入ってしまえば、いつものスケジュールを繰り返す。
その過程で学校に行かなければならない。最悪のループだ。何日もあざをつけるために学校へ行くわけじゃない。
「俺はここで変わらなければいけない。」
そう意を決した。家に帰り、ほっとする。
普通の中学生ならそうする。だが、やっぱり俺は違う。家は安息の場でもなければ居場所でもない。何回、いじめのことを親に相談したか。
すべての返答には必ず
「おまえにも」 「おまえなら」
が入っていた。
すなわち、俺のいじめを心配するどころか、俺に非を問うてくる。
両親は弟が生まれてからというもの、俺を門前払いだ。俺を家族として見ているのか?邪魔者としか思っているのか?そう考えた。その時、一つの言葉が頭をよぎった。
「__居場所がなくなる」
そんなの嫌だ。そんなの嫌だ!
「怖い。」
本当にこの世界で居場所がなくなる。誰にも必要とされなくなる。それはいじめよりも怖くて、しかも気づかない間に人の記憶から抹消されていく。
「アアアアアアッ!!」
頭の中を悲鳴が埋め尽くす。橋の前で頭を掻きむしった。
こんな世界でくたばりたくない。
でも、醜く生きていくなら存在ごと消したほうがマシ。
そう思った矢先、悪魔的な考えが頭に浮かんだ。
「そうだ。存在ごと消す。俺を消す」
すぐさま橋の中央に走った。手すりの下を見下ろした。高い。ここならいける。
そして周りを見た。人影はいない。
もうだれも止められない。
俺は涙を垂らしながら、手すりに足を掛けた。
「さようなら現実」
いくつもの走馬灯が浮かぶ。
そして俺は落下していく。頭が重みで落下中に下へ向く。
ああ、俺はここで終わってしまうのか....そう思った。
その時、考えてもないのに一つの単語が脳裏から出てきた。
『天地反転』
驚いた。なんで出てきたのだろう。自分でもわからない。まあいい。
どうせ終わるんだ。
着水した。痛い。けどそれは一瞬だった。俺は死んだかもしれない。
そのまま、ゆっくりと意識が遠のいて....
「え?」
不思議なことに生きている。傷のひとつもない。なんでだろう。そして....何も変わってない街も...川も...橋も。空に街があること以外は........。




