第2話・黒猫からの招待状 Bパート
[中央飛行場地下・第2エレベーター内]
[ホイールの回転音]
谷岡「回収したリアクターを用意しておいてくれ。彼らはそれ以外に用が無いはずだ」
携帯電話を耳に当てる谷岡はエレベーター側面の厚いガラスに手をかけて下を見る。
エレベーターのガラス越しに見下ろす地下は深く、巨大な穴の暗闇が遥か下に見える広場の照明まで続く。
エレベーターの天井から広がる光が谷岡を照らす。
谷岡「大丈夫、防群には僕から言っておくから。うん、頼んだよ」
手元の端末には人物の写真と情報が表示されている。
写真には女の顔が写っており、写真の上には「機密手配」と表示されている。
[電話を切る音]
谷岡「ハァー、トラブルは重なるねぇ」
携帯電話を閉じ、ポケットに入れる。
谷岡は天井の蛍光灯を見上げ、端末を持った手を下に垂らす。
天井には四角い蛍光灯が付き、内壁側にあるパネルは各階を表示していない。
パネル上部の電光掲示には「特1階」と表示されている。
谷岡「・・・・2年ぶり、か」
[中央飛行場地下・倉庫室前]
[端末の電子音]
黒い装備に身を包んだ兵士達と一人の女がドアの前で立っている。
女と兵士達の左右にはコンクリートで覆われた廊下が続く。
廊下の天井には赤い蛍光灯が吊るされ、蛍光灯から伸びた配線が廊下の壁面を辿っている。
蛍光灯の赤い光で照らされる女は頭に黒い頭陀袋を被せられている。
女の頭部に端末を向ける兵士の一人が端末からの電子音を聞き、端末を女から離す。
兵士1「(英語で)汚染無し。ドアを開けろ」
[ドアが開く音]
ドアが開き、室内の白い光が廊下に広がる。
女は兵士二人に手を引かれ、中に入る。
白い光が天井から照らす部屋には二つの椅子と一つの机があり、机を挟んで椅子が向かい合っている。
天井の四隅にはカメラが設置され、兵士達と女を捉えている。
兵士1「(英語で)拘束解除。目を離すな」
[足枷を外す音]
枷を外された女は二人の兵士に椅子に座らせられる。
兵士の一人は端末を脚のホルスターに入れると、ドアに向かって歩き、廊下に出ていく。
もう一人の兵士が後に続き、廊下に出るとドアの取っ手を後ろ手に閉める。
[ドアが閉まる音]
兵士の一人がドア横の壁に寄りかかり、無線を入れる。
廊下には配管から出る音が響く。
兵士1「(英語で)3-1から2-1へ。目標を確保。次の指示を請う」
兵士を赤い光が照らす。
無線の声1「(英語で)2-1了解。チーム1が責任者と面会中。女の担当者がそちらに向かっている。待機せよ」
脇に下げた自動小銃の弾倉には黒い一本線が入っている。
兵士1「(英語で)担当者?」
[中央飛行場地下・CCA共同施設・第一会議室]
壁の中央に大きな一枚のガラス張った会議室には、背広を着た人間達が机越しに向かい合って座っている。
人間達が座る椅子は横に長い楕円状の机に沿って配置され、脚部に付いたキャスターが床に敷かれたマットに少し沈む。
ガラスの近くに立っている背広を着た男が壁に付いているスイッチの一つに指を置く。
ガラス側に座っている背広の男はメガネをかけており、正面に座る背広を着た初老の女と向かい合って座る。
メガネの男は両手に持って開いたホルダーを見つめ、中に収められている書類を目で追っている。
初老の女の両側には制服を着た男二人が座っている。
メガネの男は手に持って開いたホルダーに目を落とし、眉をひそめる。
初老の女「(英語で)なにか、気になるところはあるかしら?」
話しかけられたメガネの男は目線を上げ、閉じたホルダーを机の上に置く。
ホルダーの表紙には翼を広げた鳩が印字されており、その下に「Approve:C.U.Peace.Council(承認:連合平和理事会)」と書き込まれている。
メガネの男「(英語で)いえ、これで大丈夫です」
メガネの男の横に座る背広を着た男は膝の上に置いた黒いカバンから箱を取り出し、メガネの男の右横になるように机の上に置く。
初老の女の横に座る制服の男の一人が椅子の横に置いたアタッシュケースから箱を取り出し、初老の女の右横になるように机の上に置く。
メガネの男「閉めてくれ」
[カチカチという連続音]
ガラス窓の内側に付けられたブラインドが動き、外から差し込む陽を遮る。
机の天井に付けられた照明が両者を照らす。
[箱を開ける音]
メガネの男が箱を開け、ペンを取り出してホルダーの横に置く。
初老の女「(英語で)・・・・あぁ、ごめんなさい。二人とも、外して」
[椅子を動かす音・足音]
メガネの男「(英語で)ありがとうございます」
メガネの男はペンを持つと、ホルダーを開く。
開いたホルダーの片面に留められた書類の一番上の紙には下線が引かれた空欄が二ヶ所あり、男はペンで空欄にサインをする。
[ペンで書く音]
初老の女はサインする男を見つめる。
[ペンを置く音]
メガネの男はペンを置くと、開いたホルダーの向きを変え、初老の女の方にやる。
初老の女は自分の右に置かれたケースからペンを取ると、下の空欄にサインする。
初老の女「(英語で)良かったわ。早目に知らせてくれて」
[ペンを置く音]
初老の女はホルダーを再度回転させ、メガネの男の方に返す。
男は箱から印鑑を取り出し、朱肉に付けると紙を片手で抑えて空欄に押し付ける。
印鑑をゆっくりと上に離すと、空欄には「CCA長官」の印影が押されている。
初老の女の後ろに下がっていた制服の男二人が机の近くまで歩き、ホルダーの方を見る。
一番上の紙には二つのサインと一つの印影がある。
制服の男1「(英語で)確認した」
初老の女「(英語で)手続き完了。パイロットに連絡しろ」
制服の男2「(英語で)了解」
[足音・ドアを開ける音]
制服の男二人はドアを開けて会議室を出ていく。
初老の女は椅子から立つと、机の上のホルダーを閉じる。
[椅子を下げる音・足音]
メガネの男は印鑑とペンを箱にしまうと、隣の男に渡す。
その表情は固く、机に目線を落としたままでいる。
初老の女「(英語で)・・・・怖い顔しないで。愛想良くするのもあなたの仕事よ」
ホルダーを手に持つと、足元のアタッシュケースを開いて中に入れ、ケースを持ち上げる。
メガネの男「(英語で)・・・・すみません」
ブラインドの両端から微かに漏れる陽が会議室の壁に光の線を入れる。
初老の女「(英語で)・・・・もう一年、かしら」
メガネの男「(英語で)はい」
初老の女「(英語で)歳は取りたくないものね。お互いに」
メガネの男は椅子から立つと、初老の女を見る。
初老の女「(英語で)じゃ、お疲れ様」
初老の女はそう言うと、後ろを振り向いてドアに向かう。
女はドアを開け、廊下に出る。
廊下に出た女はドアの側面を掴み、顔を覗かせて会議室のドア横を見る。
初老の女「(英語で)?。ほら、行くわよ」
[電子音・何かが擦れる音]
ドア横の空間が歪み、灰色の迷彩を着た兵士が現れる。
兵士は目出し帽を被り、背中に機械を背負っている。
機械からは棒状のアンテナが伸び、機械上部のモニターには数字が表示されている。
迷彩の兵士「(英語で)了解」
[足音]
兵士はドアから廊下に出て、初老の女に背を向ける。
初老の女は兵士から目線を外すと、会議室にいるメガネの男を再度見る。
初老の女「Hey、タケ」
メガネの男は前を向き、初老の女を真っ直ぐ見る。
初老の女「グッドラック」
[ドアが閉まる音]
[中央飛行場・倉庫室前]
[廊下に響く足音]
赤い蛍光灯が照らす廊下に兵士二人が立ち、足音の方向を見る。
赤い光に照らされた廊下から一つの人影が兵士達に近づき、兵士達の前で止まる。
[カバンを置く音]
兵士1「(英語で) ・・・フン、お前が担当者か」
兵士の頭部に付いた装置のレンズが赤い光に照らされた人影を見つめる。
兵士の前で止まる影が帽子を取り、一歩踏み出す。
谷岡「やぁ、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
影は兵士達の前で赤い光に照らされ谷岡となる。
兵士1「(英語で) もうすぐ上で話が付く。お前の出る幕は無い。消えろ」
谷岡は床に置いたカバンを開いて中から書類の入ったホルダーを取り出す。
[無線が入る音]
「(英語で) 2-1から3-1へ。チーム1の面会が終了。目標が変移した。新たな目標の情報を転送する。チーム3は現目標を担当者に引き継ぎ、回収に向かえ。」
兵士は肩上のボタンを押し、谷岡から目線を逸らす。
兵士1「(英語で) ネガティブだ。我々は交渉をしにきたんじゃない。女の確保が先のハズだ。」
兵士の頭部の装置には側面に丸い円盤状の機械が付いており、微かな音を鳴らしながらゆっくりと回転している。
「(英語で) ・・・違う女だ。情報に不調があり修正が間に合わない。担当者から書類を受け取れ」
兵士は無線の声を聞き、再び谷岡に目線を戻す。
天井の赤い照明が照らす谷岡の顔は明暗が濃く分かれており、薄い笑みを浮かべている。
[ホルダーを取る「パシッ」という音]
兵士は谷岡の手からホルダーを取り、ドア前の兵士に手で合図する。
合図されたもう一人の兵士は肩上のボタンを押す。
兵士2「(英語で) 3-2からチームへ。目標が変移した。これより回収に向かう。その女は用無しだ。外に出ろ」
無線の声「(英語で) 3-3了解」
[ドアが開く音]
黒い装備に身を包んだ兵士達が開いたドアから廊下に出る。
頭部の装置が谷岡を見つけると兵士達はドアを閉めて背を向ける。
[ドアが閉まる音]
兵士3「・・・タニオカ」
谷岡「やぁ、君も来てたのかい?」
ドアに向かう谷岡を背中に兵士の一人が渡されたホルダーを開く。
兵士1「(英語で) ・・・これは」
兵士はホルダーの中の書類の一枚に目を止める。
側頭部の円盤状の機械の回転が止まり、その後すぐに顔を上げる。
谷岡はカバンのファスナーを閉め、片手で持ち上げると、帽子を被り直す。
兵士達の背中のバッグは赤い照明に照らされ、多数の影が重なっている。
谷岡「君達の探し物だ。お互い今回はこれで手打ちにしよう」
兵士1「・・・」
ドアの前で立つ谷岡が横目に兵士達を見る。
ホルダーを持つ兵士と周りの兵士達は立ち止まってホルダーを見つめている。
谷岡は目線を目の前のドアに戻す。
谷岡「人生の中で大切にできるものは限られている。僕達はそれを学ぶ為に生きているんだ。」
兵士がホルダーを閉じ、床にかがむと背負っていたバッグを前に持ってきてファスナーを下げる。
[ファスナーが動く音]
ホルダーをバッグの中に入れ、ファスナー上げ、バッグを後ろに戻して背負い直す。
谷岡「君達だって例外じゃない」
側頭部の機械の回転速度が戻り、スリングを引いて自動小銃を体の前に垂らし直す。
兵士1「(英語で) 行くぞ」
[複数の足音]
兵士達は谷岡に背を向けたまま廊下を歩き始め、離れていく。
谷岡は離れていく兵士達を横目に見ると、再び目線を目の前のドアに戻し、取っ手を掴んで開ける。
[倉庫室内]
部屋に入り、頭陀袋を被せられた女を見つけた谷岡は、女が座っている反対側の椅子を引き、自分側の机の上に書類の入ったケースを置く。
[机にケースを置く音]
女は目の前の机に目線を少し落としたまま黙っている。
谷岡「彼等もひどい事をするね。まるで処刑されるみたいじゃないか」
女「・・・」
谷岡は女の後ろに回り、女の頭陀袋の上の部分を摘まむと、静かに持ち上げて頭陀袋を取る。
頭陀袋によって持ち上げられていた髪の毛が前に垂れ、女の顔正面を覆う。
女は顔を動かして目の前に垂れた髪の毛を後ろにはける。
谷岡はそれを見ると手に取った頭陀袋を机の上に置き、女の右後ろから自分の椅子の方に戻り、自分の椅子に座る。
谷岡「初めまして、僕は谷岡。保全群の谷岡だ」
女は顔を上げ、谷岡の顔を見る。女は若く、力強い二重の目が谷岡を睨みつけている。閉じた口は下唇が微かに上がっており、肩に少しかかる黒い髪の毛がそれらを囲う。
女「・・・」
谷岡は睨まれていることに気付くと、女から目線を逸らす。自分の前にある書類を手に取り、机の上に広げはじめる。その間も女は谷岡を睨み、黙っている。
谷岡「・・・会えて本当に良かった」
[紙のページをめくる音]
女「・・・」
谷岡「・・・お互い初対面だと緊張するね。何か飲むかい?」
谷岡「ヒメちゃん」
女は谷岡の言った名前に反応したのか、目線を谷岡の手元に落とす。
ヒメ「あんた誰よ」
谷岡「谷岡だ。君の味方だよ」
天井のカメラが二人を見つめている。
ヒメ「なんで私の名前を」
谷岡「ずっと探していたからね。良い名前だ」
ヒメ「・・・」
書類を探す手が止まり、一枚の紙を手に取った谷岡は、ヒメの前にその紙を置く。
紙にはヒメの顔写真と情報が印刷されており、ヒメはそれに目を通す。
ヒメ「・・・変態が私に何の用?」
谷岡「ユーザーIDはakahebi2017。登録日は2017年の10月25日。2019年4月17日に連合陸軍にスカウトされ入隊。大戦中は連合陸軍の第一沿線空挺師団に在籍。作戦参加記録は削除済。除隊は終戦直前の2021年3月8日。理由も削除済。その後は個人の傭兵として活動。2時間前にCCAのイベント領域で保全令違反をし、一緒に活動していたパートナーは現在保全群が拘束中。そして君も拘束され、今に至る、か・・・」
ヒメ「・・・」
谷岡「君は先の違反の時に800メートル以上先の移動標的を調整無しで当てている。こんな記録は防衛群にも中々無い」
谷岡は紙に書かれた内容を読み上げると、椅子に座りなおし、ヒメの方を見る。
谷岡「まぁ、こんなことはどうでもいい。よくあることだよ」
ヒメ「要件を言って」
ヒメは谷岡を遮るように話すと、自分を見る谷岡を睨む。
谷岡「・・・いいだろう」
谷岡はカメラの方に手で合図する。カメラは合図からしばらくして録画を示す赤い点を消し、頭を回して二人に背を向ける。
谷岡「さて、君はこのままだと追放処分だ。追放されれば二度とここには戻ってこれない。外の世界ではさっきの兵士達が君のような傭兵を消して回っている。そうすれば君は終わりだ」
ヒメ「・・・そうね」
谷岡「・・・僕はね、君にはそうなってほしくないんだ」
谷岡はヒメの目の前に置いた紙を取り、書類の中に戻す。
[書類をまとめる音]
書類をまとめ、机の脇に寄せると、両肘を机の上に立てて顎の下で手を組む。
谷岡「ヒメちゃん。僕のチームで狙撃手をしてくれないかな?」
ヒメは目線を落とさず、谷岡の顔を睨んだままでいる。谷岡はヒメから目線を逸らして机の方を見ている。
ヒメ「・・・チーム?」
谷岡「非公開かつ秘密のチームだ。少数で動き、敵を早期に排除する」
ヒメ「いきなりで何がなんだ」
谷岡「君は、タケさんに会いに来たんだろう?」
谷岡は上目遣いでヒメを睨み返し、目線を逸らさない。ヒメは少し後ろにのけぞると、目を開いてもう一度谷岡の顔をよく見る。
谷岡の線のような目が微かに開き、黒い瞳の奥に自分の顔が見える。
ヒメ「・・・あなた、誰・・・?」
谷岡「・・・谷岡だよ」
谷岡はヒメが上半身を後ろに引いて椅子に座り直したのを見ると、話を続ける。
谷岡「現在、我々は三人。近距離が二人、中距離の僕が一人で三人だ」
谷岡「つまり、遠距離がいないんだ。そこで君に・・・というわけさ」
ヒメ「なぜ、私に?」
谷岡「君が優秀なスナイパーかつ傭兵で、CCAにゆかりのある人間だからだよ。君以上の適任はいない」
ヒメは谷岡から目線を外すと、何かを思い出すように机に目線を落とす。そのヒメを見ている谷岡は目線を外さずにさらに続ける。
谷岡「戦後、このコミュニティは窮地に立たされている。数少ない収入源の半分を占めるこの領域を、国際条約によって十分に管理できていない。このままでは経済的な自立はおろか、安全保障も立ち行かなくなるだろう。そうすれば商社や連合、第3勢力に従属してしまうことになりかねない」
谷岡「それを避けるため、生まれたのがここ、CCAだ。タケさんを長官としてこのコミュニティを保護し、存続させるために日々動いている」
谷岡「しかし、国際条約は絶対。つまり、CCAとしてできる事も決まっている」
谷岡「それでは、守れないものがある」
ヒメが谷岡の顔に目線を上げる。
谷岡「今のタケさんは、君にしか救えない」
谷岡は自分の前で組んだ両手を見つめる。
谷岡「・・・君が必要だ。君が思う以上に」
谷岡の顔は、相変わらず何が狙いなのか分からない。ヒメは少しの間目を瞑り、ゆっくりと眉をひそめる。
自分の置かれた状況と、この男から感じる、底の見えない胡散臭さとを天秤にかけ、こう答える。
ヒメ「報酬は、必ずゲームごとに払って」
返事を聞いた谷岡は、その目を開き、すぐに閉じて笑みを浮かべる。
谷岡「もちろん、約束だ!」
そう言うと、右肘を机の上に乗せ、握手の片手を作ってヒメの前に差し出す。
この片手との握手を前に、彼女の頭はいくつもの警告と少しの観念で満たされようとしていた。
[パシッという短い握手の音]
谷岡の右手には彼女の葛藤と体温が、ヒメの右手には皮を被った機械のような冷たい感触が一瞬だけ伝わる。
そうして、この180秒間もの不気味で、しかしやり直しができない会話は終わった。
谷岡「さて、今日はあともう1ゲームあるんだ。実地訓練といこう」
未だに胡散臭さを放つこの谷岡は、彼の閉ざされた眼の中にある、何かの片鱗を感じさせるような高揚した足取りで出口に向かい、扉を開ける。
[ドアの開く音]
ヒメ「・・・」
開いたドアの下に足を差し、ヒメが出てくるのを待つ谷岡の視線は、何故か外の暗いトンネルに向かっている。
ヒメは頭の中で未だ響く言語化できない警告を聞きながら、ドアに向かって歩き、はじめて観るトンネルの暗がりにその一歩を踏み出した。
[第2話・黒猫からの招待状 終]
[ドアの閉まる音]




