第2話・黒猫からの招待状 Aパート
[ヘリコプターのローター音]
[ゲーム内・CCAイベント領域・中央飛行場]
海に向かって開けた場所に舗装された広大なコンクリート面が広がる。
飛行場の外側にはいくつかの建物があり、中央の滑走路では輸送機が3機並んでいる。
[複数の足音]
飛行場の端に近い建物から10人の兵士が走り、兵士達の先では青く塗装されたヘリコプターがローターを回している。
ヘリから兵士達に向かう風が、防護服を揺らす。
兵士達は車輪付きの装置2つを5人ずつ片手で押し、ヘリの後部ハッチに向かう。
装置は荷台部分に仰向けの人間を乗せ、透明のビニールで荷台と人間を覆う。
荷台とビニールに隙間は無く、直方体に展開したビニールが荷台に乗った人間を外部から密閉している。
装置に横付けされた機械にはビニールの側面から延びるホースが取り付けられており、機械の後部には格子状の穴がある。
[強い風の音・ローター音]
装置の後部に取り付けられたカプセル状の容器に兵士の一人が手元の端末を向け、ガスマスク越しに端末の表示を見る。
兵士1「瑕疵の増殖が早い。入れたらすぐに出発だ」
兵士達「了解」
ハッチに近づき、先頭の5人と装置が中にヘリの後部に入る。
続いて後続の5人と装置が入り、兵士達が床のフタを外す。
フタの中には床に付いている金属製の半円状の輪とその輪を通っている帯状のゴムがある。
[ゴムと金属の擦れる音]
帯状のゴムを引っ張ると、結束部分のテープを剥がす。
ゴムを装置の脚部に巻くと再度テープで結束部分を繋げる。
兵士2「固定完了」
兵士1「離陸しろ」
[イベント領域近海・海上]
[CCA防衛群航空科・TH-01]
ヘリ機内の後部には二つの装置に10人の兵士が向き合っている。
ヘリの後部は縦に長い空間になっており、天井の蛍光灯が隊員達と装置を照らす。
[電子音]
後ろの装置の心音計が音を鳴らし始める。
兵士3「対象07、意識回復しました」
装置の中で目を開けた女が自分の前方にある装置を見る。
プレイヤー1「・・・・」
[足音]
兵士の一人が女の入っている装置に向かい、ビニール越しに女を見る。
兵士1「防衛群です。現在治療施設まであなた達を搬送しています」
プレイヤー1「・・・・分隊長は?」
兵士は女が見ていた前方の装置を見る。
兵士1「生きています。大丈夫です」
プレイヤー1「それって・・・・」
兵士1「有害物質が体内に入っていますが、このまま搬送して治療すれば問題はありません」
プレイヤー1「砲弾は?」
兵士1「処理されました。あなた達のおかげです」
プレイヤー1「・・・・」
兵士の防護服が天井の照明に照らされる。
兵士1「ありがとうございます」
前方の装置の後部に取り付けられたカプセルの中では、筒状の物体が右端から赤と黒の模様に浸食されている。
[カプセルの中で呼応する甲高い奇声]
無線1「前方より友軍機が接近中。揺れに備えろ」
兵士1「揺れに注意。アイソレーターを離すな」
女と話していた兵士はビニールから顔を離すと、装置の後ろ側に回る。
兵士達が装置の持ち手部分を片手で掴み、もう片方の手で天井の掴みを握る。
[風圧で機体が震える音・外から響くローター音]
側壁の丸窓から差し込む陽が一瞬遮られ、外から響くローター音が遠ざかっていく。
兵士の一人が丸窓から後方を覗く。
兵士4「なんだあの機体、、、防群の色じゃない」
兵士1「SD弾が見つかったからな。検討はつく」
[ローター音・ブレードの回転音]
黒塗りのティルトローター機は、後方に飛んでいく青いヘリコプターを尻目に海上を進む。
機体の両端に着いたブレードは力強く回転し、ブレードの後部からはエンジンの音が響く。
ティルトローター機無線1「(英語で)2-1からチーム3へ。着陸用意。目標は飛行場地下施設にて拘束中。確保した後は指示があるまで待機せよ」
ティルトローター機無線2「(英語で)3-1了解」
[5分後・中央飛行場]
飛行場の中央には10機のヘリコプターが並び、エンジンを切って後部ハッチを開けている。
ヘリからは武装したプレイヤー達が列を組んで飛行場中央の施設まで歩いている。
それぞれヘリの側面には作業着を着た整備員が行き交い、ヘリの近くに停車された車両からホースを伸ばしている。
車両は後部の荷台に燃料タンクを積み、タンクの後ろには装置を取り付けている。
整備員の持つホースは装置の穴と連結されている。
[外から響くポンプの作動音・足音]
後部ハッチから帽子を被った男が携帯電話を耳に当てて地面に降りる。
谷岡「うん、それで大丈夫。後はこっちでやっとくから、先に着替えといて」
ハッチから降りて飛行場を歩く谷岡は銃のスリングを肩にかけ、前方を歩くプレイヤー達の集団を見つめる。
携帯電話を耳に当てている谷岡は、少し聞くと飛行場の端の方を振り向く。
谷岡「え!」
飛行場の端には黒塗りのティルトローター機が一機停められている。
黒塗りの機体に印字された鳩のシルエットが陽に照らされる。
谷岡「もう来たの?!」
[中央飛行場地下・保全群特別施設]
「・・・・ハッ」
女が装置の中で目を開ける。
装置は女を包み込むようにコンクリートの外壁で囲み、装置の上部が分厚い覗き窓になっている。
[機械の作動音]
装置からは無数の配線が伸び、赤い照明で照らされた部屋にはその配線と繋がる無数の機械が置かれている。
女は覗き窓から部屋の赤い天井を見つめ、息を吐く。
[ドアが開く音・複数の足音]
黒い装備に身を包んだ兵士5人が部屋に入り、女が入った装置を囲む。
兵士は頭部にヘルメットを被り、ヘルメットの正面に付いた装置で顔を覆っている。
装置の赤く丸い光が覗き窓越しに女の顔を捉える。
兵士1「(英語で)おはよう、お嬢さん」
[ドアの閉まる音]




