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みじけーです
小雨が降ってきた。雨粒が肩や頭に当たる。森の中をアシュリィちゃんが住んでいるという村に向かって二人で歩いている。アシュリィちゃんは俺に興味津々のようだった。
「ねね、お姉ちゃんが住んでいる国ってどんなとこ?」
アシュリィちゃんはそわそわしているように見えた。理由を尋ねると、他国の人と会ったのは初めてだと言う。
「私はね、この国を出ていくことが夢なんだー!」
アシュリィちゃんははしゃぎながら、んふふふ、と笑う。
「ここは…お、私みたいな外国人って珍しいの? …かしら?」
俺は一人称や口調に気を付けて発言する。
「島国だからね、この国は。海は危険な竜とかが住み着いてるし。大陸への移動手段も限られてるんだよね。今は北の方で飢饉が起こっているんだけど、知ってる?」
「竜…いや…」
「お姉ちゃんは一人で来たの?」
アシュリィちゃんは質問してきた時、目の前に男が現れた。
「あ、村長!お疲れ様です」
エメラルドの髪を持つ青年はアシュリィちゃんを見るなり、頭を下げた。彼もポンチョを着ている。
「え、村長?」
「んふふふ、びっくりした?お姉ちゃん。ここが私の村だよ!」
視界が開けた。切り立った崖から下を見下ろすと、屋根と畑が広がっているのが分かる。
「いや、どう降りるんだよッ!!」
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