凛・誘導
……………。
…………。
………。
……。
…。
…どうして。
…。
どうして、あんなことを…。
…。
人は襲わないって、言っていたのに…。
それなのに、どうして…。
どうしてあの三人に危害を加えるような…。
衝撃波を放つなんて、そんなことを…。
…。
…。
…。
あのとき…黒川さんが咄嗟の判断で、その能力を使って。
雷撃を壁のように数本立てて。
私からの衝撃波を防いでくれたから良かったものの…。
もし、その判断があと少し遅れていたら…。
…怖い。
そう…思うと。
そんなことをしてしまった、鬼さんの能力を使えるようになってしまった、自分自身が…とても “怖い” 。
…。
…。
…。
…でも、だからこそ。
気がついて、いる。
分かって、いる。
“この身体はもう、私のモノじゃない”
…と、いうことに。
…。
焼けるように熱い、どす黒い肌に変化してしまった右手と。
その指の爪先から生え伸びた、長く鋭い爪と共に…。
…さっきから、いくら語り掛けても。
鬼さんからの返答は…もう、ない。
…。
私は…。
私はなんてバカだったんだろう…。
鬼さんの甘い言葉に耳を貸さず、座敷牢から外へ出るべきではなかったのに…。
…それなのに。
それなのに…。
…。
…そう、最期のその瞬間がやって来るまで。
誰も傷つけることのないように。
大人しく、そこで静かに過ごしていれば、良かったのに…。
どうして…。
どうして…。
どうして…。
…。
…。
…。
…でも、いくら後悔しても。
今は…今はただ…。
この瞬間に。
私に出来る限りの、ことを…。
だから…お願い…。
急いで…。
急いで…。
私が私で…失くなる前に…。
急いで…。
急いで…。
神社へ…雨宮神社へ…。
急いで…。
急いで…。
…そこに行けば。
おじいちゃんが…。
おじいちゃんがきっと、何とかしてくれる…はず。
急いで…。
急いで…。
お願いだから。
急いで…。
急いで…。
神社へ…雨宮神社へ…。
急いで…。
急いで…。
…どこか薄暗い空間の中で。
急いで…。
急いで…。
雨宮 凛は…瞳を閉じ、まるで赤ちゃんのようにその身体を丸め、両手で優しくそれを抱きしめながら…。
急いで…。
急いで…。
独り懸命に、言うことを聞かなくなった…どこか遠くに感じる自分の外側にあるもう一つの変化してしまったその身体を。
急いで…。
急いで…。
何とか誘導するように、何度も何度も…そう、念じ続ける。
急いで…。
急いで…。
お願いだから。
急いで…。
急いで…。
神社へ…雨宮神社へ…。
急いで…。
急いで…。
私が私で…失くなる前に…。
急いで…。
急いで…。
そのすべてが。
この想いが…そして心が。
急いで…。
急いで…。
消えて失くなって…しまう前に…。
急いで…。
急いで…。
お願いだから。
急いで…。
急いで…。
神社へ…雨宮神社へ…。
急いで…。
急いで…。
私の心が…。
急いで…。
急いで…。
そのすべてが。
この想いが…。
急いで…。
急いで…。
消えて失くなって…しまう前に…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
今の私が…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
今の私で、失くなってしまう前に…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
神社へ…雨宮神社へ…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
急いで…。
…。
雨宮 凛は…瞳を閉じ、まるで赤ちゃんのようにその身体を丸め、両手で優しくそれを抱きしめながら…。
独り懸命に、言うことを聞かなくなった…どこか遠くに感じる自分の外側にある変化してしまったもう一つのその身体を。
何とか誘導するように、何度も何度も…そう、念じ続ける。
…どこか薄暗い空間の中で独り、そう…何度も何度も、繰り返し念じ続ける…。




