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美沙 ⑦

“チョキン、チョキン”


髪にハサミを入れる度に、バスルームにその音が響き渡る…。


“チョキン、チョキン”


色々な想いを、消してしまうんだ…。


“チョキン、チョキン”


バスルームの床に散らばる、黒い髪の残骸達。


“チョキン、チョキン”


後…二年、高校は寮のある所に、行けば…いい。


“チョキン、チョキン”


生まれて来てはいけなかったあたしの、せめてもの…。


“チョキン、チョキン”


ごめんね、ごめんね…美玖。


“チョキン、チョキン”


ごめんなさい、ごめんなさい…お父様、お母様。


“チョキン、チョキン”


…ダメだ。

考えては、いけない。


“チョキン、チョキン”


あたしにはもう、家族も何も…無いのだから。


“チョキン、チョキン”


ショートカットになる頃には、きっと…新しい自分に生まれ変われて、いる…はず。


“チョキン、チョキン”


…そう、新しい自分に、きっと…。


“チョキン、チョキン”


…。


“チリリリリン♪ チリリリリン♪”


…。


“チョキン、チョキン”


…。


“チリリリリン♪ チリリリリン♪”


“チリリリリン♪ チリリリリン♪”


…制服の上着の左ポケットの中から鳴り響く、携帯の着信メールのその音に、美沙はハッとして。

“一卵性双生児の優劣性” …そう開かれていたページから目を離し、硬直していた身体をほぐすようにして首を左右に小さくかしげてから、ポケットの中で鳴り響く携帯を取り出しては、急いでそれを…開く。

…。

そこに書かれていたのは…。


To:囁聞くん,美沙ちゃん

件名:凛ちゃんに動きあり!です

本文:今からすぐに校門前に集合ぅ~!

From:みうう推し 摸


摸からのそのメールに目を通した美沙は


「…そんな、解決策も見つからない内に、凛さんにもう動きが…」


小さくそう呟いてから、目の前に開かれていた“一卵性双生児の優劣性”…と書かれたページを一瞬だけ見つめて…。

…次の瞬間、静かにそれを閉じると、急いで図書室から飛び出して行った。

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