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あなたのそばに4

 豊は朝、祐希のベッドの中で目を覚ますと、時計の針が午前九時を回っていた。

 「やばい、今日の撮影、十時半からなんだ。撮影の機材を準備しなくちゃ」とあわてて祐希を起こした。

 「ごめん、二人で寝坊するなんて」と祐希は寝ぼけ顔で、答えた。

 「大丈夫、今から急いで準備すれば、何とか間に合うよ。ここに、優秀なアシスタントがいますから」と寝起きがいい豊はハキハキと答えていた。

 「それに、北原くんは、きっと、もう事務所に来て準備しているよ。でも何を揃えたら良いか分からなくて、焦っているかもしれないけどね」と豊は笑って言った。

 「うん」と祐希は相変わらず寝ぼけ声でいる。

 「じゃあ、俺、先に事務所に行っているね」

 豊は服を素早く着て、もう出勤する準備が出来ていた。祐希は朝が弱く、まだパジャマのままで、もたついていた。

 「ごめん、私も急いで行くから」と玄関に向かう豊に声をかけた。

 「おう」と豊は言うと、足早に出ていった。

 祐希もなんとか、顔を洗って、歯を磨いたら、やっと目が冴えてきた。

 急がなきゃ!

 祐希はクローゼットからホワイトのカットソーとベージュのパンツを引っ張り出して身につけ、黒のジャケットを羽織って、急いでマンションを飛び出した。

ちょうど、そのときだった。マンションの目の前の狭い路地にトラックが走ってきた。そのトラックの前にランドセルを背負った小学生の女の子が飛びだしていくではないか。

 「危ない!」

 祐希はとっさの勢いで、女の子を助けようと路地に飛び出していた。


 気づくと祐希は綺麗な花々が咲き乱れる花畑の中にいた。ピンク、黄色、赤、青。様々な色をした花々。ここはどこかしら?確か、私、女の子を助けようとして。少し、花畑を歩いてみる。祐希が花畑をかきわけ歩いていくと、通りすぎる花々から良い香りが香ってくる。遠くの方から、豊が「祐希!」と呼ぶ声がする。振り返ってみても、豊の姿は見えない。

 もう少し歩いてみると、大きな木がそびえ立っていた。その大きな木の枝に、白い洋服を着た青い瞳の美しい女性がこちらを見ていることに気づいた。

 祐希は彼女に尋ねてみた。

 「あの、ここはどこなんでしょう?」

 「ここは死んだ人が来る場所よ」

 「死んだ?」

 祐希は驚いて声に出した。

 「私、もしかして、トラックにひかれて死んだの?」

 「そうよ」

 「え、そんなあ」と祐希は頭を抱えてうずくまった。これは夢では無いだろうかと思いながら、

 「これは夢かしら?」と独り言を言った。


続く

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