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あなたのそばに5

 「夢ではないわ、本当に貴方は死んでしまったのよ」と彼女が答えた。

 「あなたは生前にやり残したことがあるの?」と白い服の彼女が尋ねてきた。

 「あるわ、いっぱい」と祐希は叫ぶように答えた。

 「そんなことないでしょう。若くしてカメラマンとして、成功して、有名になって、いろんな賞も貰ったでしょう。十分じゃない」

 「それはそうだけど…、豊…、恋人に伝えられなかったことがあるの。だから、助けて、生き返らせて」と祐希は涙ながらに訴えた。

 「残念だけど、あなたの体はもう、使いものにならないわ」

 「でも、何も言わずに、伝えられずに、豊と別れてしまうの?あんまりだわ」

 「あなたの体はもう存在しないの、でも魂がまだ残っているわ。もしかしたら、あなたの魂が彼に伝えることが出来るかもしれない。でも体はないから喋れないし、触れることもできないのよ、それでも良ければ、あなたを現世に戻してあげる」

 「良くわからないけど…、お願いします」

 「ただし、あなたの想いが叶ったら、もう現世には戻れないわ」

 「ええ…」

 もう、どうにでもなれと祐希は思って相槌をうった。

 「それと、この世界と現世は時間の流れがちょっと異なるの。今、戻ったら、貴方の死後の十ヶ月後になっているわ」

 「わかりました」

 「じゃあ、いってらっしゃい」と木の上の女性は、枝から木の葉を一枚むしり取ると、手のひらにその木の葉を乗せ、フウッと息を吹きかけた。木の葉はひらひらと宙に舞った。祐希は本能的に必死で木の葉を追った。祐希が手のひらに木の葉を掴んだ瞬間、祐希の魂は、現世に戻った。


続く

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