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殺戮男  作者: 結城 からく


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第1話

●夜の電車


満員電車の中。

露出の多い若い女が、冴えないスーツの男・佐藤の腕を掴んで叫ぶ。


女「この人、痴漢です!」


周囲の客が注目してざわつく。

佐藤は動じることなく反論する。


佐藤「俺は触っていない」

男「俺は見たぞ! 尻を揉んでたんだ!」


浅黒い肌のヤンキー男が割り込んで主張する。

男、電車が次の駅に停まったタイミングで、佐藤を無理やり引っ張っていく。


男「来い! このクソ痴漢野郎!」


男、佐藤を掴んで駅のホームに降りる。

痴漢を訴えた女もついてくる。

佐藤、毅然と主張を繰り返す。


佐藤「俺は痴漢をしていない。冤罪だ」

男「勝手に言っとけよ、ボケ」

女「ねぇ、オッサン。人生壊されたくないでしょ。示談でいいからお金ちょうだい」


女は悪意に満ちた目でニヤニヤと笑う。

それを見た佐藤、冷淡な目で二人に問う。


佐藤「お前達、グルか」

男「何言ってんの? ユカとは初対面でーす」

女「ちょっと! 名前言っちゃったじゃん!」

男「やべ、口が滑った」


二人はケラケラと愉快そうに笑う。

その後、男は佐藤の耳元で囁いて脅す。


男「でもさ、冤罪とか誰にもわかんねえだろ? ユカが泣き叫べば、お前の人生はゲームオーバーだ。どうする?」

佐藤「…………」


真顔で黙り込む佐藤、やがて勝手に歩き出す。

男、怒鳴りながら追いかける。


男「おい! 逃げんなって!」

佐藤「違う。示談金を下ろしに行く。ついてこい」

男「へえ、物分かりがいいじゃん」

女「やった! 何買おっかなぁ」


男と女、浮かれながら佐藤についていく。


●路地裏


佐藤と男女、薄暗い路地に踏み込む。

男、不機嫌そうに佐藤の肩を掴んで止める。


男「金下ろすんだろ。コンビニならあっちに――」

佐藤「示談金を下ろすと言ったのは嘘だ。お前達をおびき寄せるのが目的だった」

男「はぁ? 何言ってんの」

佐藤「お前達は罪を犯した。ならば相応の罰を受けるべきだろう」


振り返った佐藤、隠し持っていたナイフで男の腹を刺す。

連続で刺された男、きょとんとした顔で固まる。


男「……え?」

女「ひっ」


怯える女、後ずさって逃げようとする。

佐藤、素早く近づいて女の喉を殴る。

女、涙を流して崩れ落ちて悶絶する。


女「~~~~っ!」

佐藤「そこで大人しくしていろ」


佐藤、ナイフを持って再び男に近付く。

男、出血する腹を押さえて懇願する。


男「す、すみません……調子に乗っちゃって……だ、だから……救急車……」

佐藤「助かると思うな」


佐藤の突き出したナイフが男の片目に命中する。

ナイフが引き抜かれると、男が倒れて絶命する。

佐藤、女を一瞥して冷徹に告げる。


佐藤「次はお前だ」

女「ッ!!」


女、必死に逃げようとする。

そこに佐藤が襲いかかる。


場面が暗転し、路地裏には男女の死体が倒れている。

佐藤、平然と路地裏から立ち去る。

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