ノルディックの休日 6-1
第六話スタートです。
1.降って湧いた妹?
「お・に・い・ち・ゃ・ん♪」
突然、女の子がノルディックに両腕を絡めてくる。
誰?
見た目は十歳くらいだろうか、まったく見知らぬ子だった。
身長はノルディックの胸元くらいか。肩まで伸びたプラチナブロンドの髪はサラサラしていてきれいで、くりくりとしたブラウンの大きな瞳が宝石のように輝いている。白のフリルとリボンだらけのロリータ服が似合いすぎる少女だった。
「会いたかったよ♪」
周囲を警戒していたわけではないが、ここまで懐に潜り込まれるとは思わなかったノルディックである。
「人違いだろう?」
「違うよ。お兄ちゃんはノルディック・ドリスデンでしょう?」
「何で知っている」
「秘密♪」歯を見せ微笑む。かわいらしさのアピールがすさまじすぎた。
「オレはお前を知らないぞ」
「こうして会うのは初めてだもん。でも本当に会いたかったんだよお兄ちゃん」
嬉しそうに腕に頬を寄せてくる。
「オレは会いたくなかったぞ」周囲からよからぬ気配がし漂ってくる。「お前さんのお迎えじゃないのか?」
シークレットサービス風のマフィアにも見える男女がノルディックを取り囲むようにやって来るのが見えた。どう見ても面倒事がやって来ている。
「ちぇぇ。もう見つかっちゃった」残念そうに言う。「あの人たちに捕まったら、わたし連れ戻されて監禁されちゃうの。助けて、お兄ちゃん」
少女はギュッと腕にしがみついてくる。
「穏やかじゃないが、オレを担いでいるとかじゃないよな?」
「本当よ。やっと逃げ出してきたんだから」
必至に言う少女は、嘘はついていないようにも見える。
人が一杯いる宇宙港のロビーで騒ぎも起こしたくはなかった。
「仕方がない。とりあえず話は聞いてやる。あとはそれからだ」
「ありがとう。お兄ちゃん」
「ちゃんとしがみついとけよ」
ノルディックは軽々と片手で少女を担ぎ上げる。
軽いな。軽すぎて四十キロもないんじゃないかと思ってしまうほどだ。線も細すぎる。手足を握りしめたら粉々になりそうだった。
首にしがみついているのを確認するとノルディックは男女の集団とは反対側の空白地帯を見つけてダッシュする。巨体に似合わないそのスピードはシークレットサービス達を驚愕させた。
閉まろうとしていたエレベーターを見つけそれに飛び込むと、エアタクシー乗り場を目指すのだった。
正義感からという訳ではない。ただ本当に少女の言っていたことが正しかったとしたら寝覚めが悪いという理由からである。
ただそれだけだったが、波乱含みの休日が始まった。
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