第200話 萱津の戦い④
【萱津の戦い】
〜織田軍•左翼〜
前田利家は戦いが始まってすぐにある異変を感じ取る。
「おい!!敵兵が中央に移動していくぞ!?」
「ハァ…お前…まさか話を聞いてなかったのか?敵が動いたと言う事は信長様が囮となって敵を惹きつけてるんだよ!!これで今よりこの戦いは俺達両翼の結果が勝敗に直結する事になった。」
心太は溜息を付きながら呆れた表情で利家にも分かるように伝える。
「ん!?つまり…やられる前にやればいいんだな!?」
「そうだ!!その考えで合ってるよ!!信長様がやられるとは思えないけど、出来る限り早くここを突破して敵本陣の横っ腹を叩く!!」
柴田軍が強いのは相手も分かっている。だから柴田軍のいる右翼の方に戦力を残していると考えれば左翼の動きが重要になるだろう。
「それじゃもう出ていいんだな!?」
「許可は事前に信長様にも前田利昌様にも貰っている。伊東流槍術を使う俺達とお前を含めた三十人はこれより遊軍の形を取る。」
「つまり!?」
「自由に動いていいって事だ!!お前達もいくぞ!!伊東流槍術の力を見せてやれ!!」
特殊な槍、管槍を使う伊東流槍術。信長のもとで道場を開き二年、門下生も増えて基本の動きを習得した者なら多数いる。
ーーー螺旋突き!!
かつて槍術の大会を開いた時、腕に覚えがある者でも苦戦した技。初見ではまず対応は難しい。
「なんだあの槍は!?」
「見たことない動きをしやがる!!」
ーーー俺もいるぞ!!
「なんて大男。使う槍も見た事ない長さだ!!」
「槍も鎧も真っ二つだ。なんだあの馬鹿力は!?」
「アイツの槍は受けては駄目だ!!気をつけろ!!」
個の力では圧倒的な伊東流槍術に、前田利家を含めた攻撃力、突破力に全振りしたような部隊。
「利家!!あの旗が見えるか!?」
「ああ。あそこに左翼側の指揮官がいるんだな?」
「お前でも無限に体力がある訳じゃない。少し下がって休んどけ!!取るんだろ?大将首?あそこまで俺達が連れていってやるからよ。」
伊東流槍術の師範、心介と心太の動きだけが他とは明らかに違う。
「兄者!!」
「ああ!!やるぞ!!」
ーーー伊東流槍術•五行之型『金』
螺旋の動きを最小限に留めその場で高速回転する事により突きの貫通力を最も高めた型の一つ。
ーーーギュルルン!!
「スゲェー。道が…出来た!!」
「進め!!利家!!」
「おう!!」
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その日、前田利家は初陣にして首級を上げる手柄を立てる。
派手な色の鎧を好み、三間半の長く派手な造りの槍を持ち歩き、当時にしてはかなり恵まれた体格(およそ180cm)から繰り出される剛槍は敵兵を恐れさせ、いつの間にか「槍の又左」との異名で呼ばれることになる。
そして信長はこの利家の活躍に対し、初陣にして有言実行を成し遂げたその度胸と勇気に「肝に毛が生えておるわ」と笑いながら賞賛した。
「よっしゃぁ!!この前田利家が大将首をとったぞぉ!!」
織田軍•左翼はこの勢いをそのままに敵軍の本陣に突撃をかけていく。
ここで小話。
今回は戦国時代の身長について。
戦国時代の男性の平均身長は150後半、女性は140後半ぐらいと言われてます。
そこで本文にあるように前田利家は180前半の身長があり当時にしてはかなりの大柄でした。
ちなみに織田信長も170以上あったとされているので信長も当時にしてはデカい部類だったんですよね。
徳川家康が160ぐらい(平均)
豊臣秀吉が150なかったので華奢な体格をしていたとか…
低い理由は戦国時代と言う時代背景も影響していると思います。栄養不足もありますし、朝と夕の二食の食生活が基本で体格に直結していました。それに身分の差でも体格が違ったらしいですね。
そして話は変わりますが、なんとこの話で!!200話到達です!!
ここまで作品を読んで下さった方、本当にありがとうございます。尾張統一編まだまだ続きますので引き続き読んで頂けると嬉しいです。
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