第10話「さぁ、旅に出よう」
「死者の森ですか?あそこに何かあるのでありますか?」
「いやな、さっきギルドで冒険者が噂話をしていてよ。それで死者の森のなんつったかな、何とかの館に言った奴らが帰ってこねーんだってよ」
「それでご主人様はその如何にも危険の匂いがする所に向かうと?」
「だってよ、冒険者が帰って来ないんだぜ?気になるだろ。しかもGランクより強いって言うクランまでもが帰ってこないんだぜ。これは俺が行くしかないよな」
「何故、ご主人様行かなければならないのでありますか。これは冒険者にまだ数日経験も浅いご主人様の仕事ではないはずです。ゴブリン程度には遅れを取らない事はこの数日で分かりましたが、まだ、クランを組むご様子もありませんし一人で行くと言うなら尚更、反対であります」
いいですかと話を続けるネクロ。
「冒険者とは常日頃から命を落としてもおかしく無い職業であります。なるべく危険を犯さず慎重に行動をとるものです。それを野次馬根性で行くなど愚行です」
厳しいなぁ~。確かに危険だろう、まだ知らない危険がこの世界には幾つもあるはずだ、それを知らない内に軽はずみな行動は確かに愚行だろう。だけどこれを解決出来れば一気に上のランクに昇れるはずだ。好奇心が無い事は否定はしないが大きな利益を得るならばそれなりの危険があるのは必然だ。ランクが上がれば受けられられるクエストも増えるし、報奨金も跳ね上がるだろう、そして強い敵とも合うだろう。もしかしたら仲間も出来るかもしれない。
さてどう説得させようか?
「いいかネクロ、俺は別に好奇心だけで言ってる訳じゃない。俺は早く強くなりたいんだ。ランクも上がればそれだけの強敵が現れるだろう。更に報奨金も増える。バンバンザイだ。大きな成果を得るには危険が伴う事は俺でも知ってる。ネクロの気持ちを分かる。だけど……行きてぇんだ」
早く戦いたいんだよあの竜神王と。
「ふぅ~、我儘なご主人様を持つと気苦労が絶えませんな。宜しいであります。そこまで言うならお教え致しましょう。ですが、しっかりと準備をして下さると約束をしてくださいであります」
ありがとう、ネクロ感謝するぜ。
「約束する」
そしてその夜は死者の森について詳しく説明してもらった。棺の館――名前を思い出したについてわ情報が無いと言っていた。
✵
次の日の朝、俺は街へ出て買い物に出かけた。死者の森に入る至って準備するもんが結構あった。ネルゴンの街はギルド中心に円型を描いた様に街が造られている。俺が泊まっている宿は北側にありこちらは専ら、宿や飲食店が多かった。ギルドの入口側つまり南側にはアイテムや武器や防具の店が並んでいた。たぶんこれから街の外に出てひと稼ぎしようとする冒険者を誘いやすくする為だろう。この前靴を買った道具に来ていた。店の中は色んな道具が置いてあり。これに何に使うんだ?と言う物から傷を回復させるお馴染みのポーション等が置いてあった。
俺はカウンターにいるオッサンに欲しい物を言っていく。
「えーと、解毒薬に、ポーションを三つくれ後それ入れるホルスターもだ。後はバックパックに何か火を付ける奴をくれ」
「おいおいどんだけ買って行くんだ?この前は靴1足だけだったのに。迷宮にでも潜るみたいな準備の仕方だな。まぁこちらとしても店のもんが売れるのには構わねえんだが」
「この前とは違って金があるんでな。これからもう少し奥に行ってみるつもりなんだよもしかしたら迷った時の為にな」
ま、用心は大切だよなとオッサン。
「はいよ、これで全部だ他には何か無いのか?」
「そうだな~保存の効く食材を売ってるとこ知らないか?」
「それなら、アルタイルに行ってみるといい」
買った荷物をバックパックに入れポーション等をホルスターにしまいながら話を効く。
「アルタイル?」
クソッ、ホルスター五つしか空いてねぇよ。仕方ねぇ、「黒水槽」入れとくか。
「そうだ、ギルドの西側にあって、そこでまた聞いてみるといい」
「分かった。助かったぜオッサン」
カウンターに置いてある魔導器に手を翳しながら礼を言った。この魔導器はギルドカードから金を勘定してくれるらしい。便利だ。
「おう、気をつけろよ。あと、オッサンはやめろ」
そんなやり取りしながら店を出て西側にあるアルタイルに向かった。
数人に店の場所を聞きながら店に着く。雰囲気的にはさっきの道具屋と変わらないが並んでいる商品が違う。干し肉や黒パン等が並んでいる。さすがオッサンいい店知ってるぜ。店の中に入り店員を呼ぶと奥から恰幅の良いおばちゃんが来た。
「いらしゃい。何にするんだい?」
おばちゃんの元気の良い声を聞きながら悩む。あんた真っ黒だねぇとか眼つき悪いねぇとか言ってくるが気にしない。
「うーん、干し肉を4つ、黒パンも4つだ後、塩漬けにした魚も4つくれ」
「はいよ、今日から遠出でもするのかい?」
「まぁな、そこまで遠くないからあれだけど念のためな」
「そうかい、はいよこれで全部だね」
「ありがとよ、おば……お姉さん」
なに言ってんだいこの子はと俺の背中を叩くおばちゃんもといお姉さん。おばちゃんと言いかけたところ殺気がしたので緊急回避をした。危なかった。つかー叩く力入れすぎ。
「毎度あり~」
ふぅ~全く大した力だよ。おばちゃんパワー底知らず。まぁいい次だ次。次はそうギルドに行って死者の森の地図を買わなければ。さてここで困った事になりやがった。エリナに見つかったら直ぐにどやされるだろう。ネクロは何とか説得できたが、アイツは多分、テコでも動かねぇ気がする。
とまぁどうすればいいか考えてたらギルドについてしまった。手が無い事も無いがやっぱりやめとくか。いやでも…………。あーうだうだ考えのって面倒くさ、阿呆くさ。まぁなるようになるだろ。
中に入ってみると意外や意外、エリナに会う事無く買ってくることが出来た。一応クエストボード見てきたけど死者の森に関するクエストは無かった。多分ギルドが原因を突き止めるまで出さないつもりだろうか。そんな事は考えていても仕方がねぇ。
行くか死者の森、ワクワクして来た。死者の森はネクロに聞くとここから歩いて一日の所にあるらしい。馬車で半日掛かるかそれ以下らしい。ボードを使えば馬車の速度よりも早く行ける気がする。俺は魔力も多いし少し飛ばしても大丈夫だろう。
とまぁそんな訳でもう少しで朝の10時頃だろうか?俺はネクロに聞くと10時半だらしい。ネクロは時計を仕込んである方位磁針もあるなんて便利屋さんなんだ。この世界でも時間とかあまり地球と変わり無いらしかった。まぁ太陽あるしな。
ボードでかなり飛ばしながら死者の森に行く、途中、ゴブリンとかゴブリンとかゴブリンとかてかゴブリン多すぎだろ。そいつらを相手にせず先を急ぎ他の魔物に遭わずに死者の森に着いた。
✵
死者の森はネルゴンの北東に位置するだろうか?公道と呼べるどうか知らないがそこを北に向かい途中右に曲がりその奥に進んだ。
「これが死者の森」
そこはその名に恥じない場所であると言える。目の前に広がる光景は異様とも言える。生気の感じられない枯れ木、来たもの惑わす様にかかっている深い霧、五メートル位しか先が見えない。だが、ある一線から結界が張られている様にこちらには出てこない。
ホラー映画の撮影場所には持って来いだなこりゃ。なんだこりゃ?
近くに立っていた立札に気づく。木で出来ていてかなり腐っていた。
「えーと、何々この先ランクGの指定危険区域の為、一般人は侵入を禁ずか」
まぁ、喜んで入る奴なんていないだろうけどな。
「口角が上がっているでありますぞご主人様」
「い、行くか」
知らない内に笑っていたらしい、まぁワクワクしてんのは否定しないが。折角だからボードはやめとくか。やっぱりこうゆうのは自分の足で行くから良いんだ。
入って行くと更に恐怖を煽られる、霧が濃く光が届かない。警戒を怠らず前に進む、道は人が4、5人歩ける程の広さでゆったりとしている。
何も起こらないなぁと思っていると、道の脇から青い肌をした犬の顔ゴブリンより少し大きい体で腰に皮を巻いている魔物が飛び出して来た。
「コボルトでありますご主人様!」
「了解!来い、「雅狼!」
声に反応するように剣が影から出てくる、鞘から剣を抜き取り構える。
「2体か」
「グルルル」
喉を鳴らしながジワジワ近づいてくるコボルト手には斧を持っている。
片方が走り出し迫って来る。身体強化をして駆け出す。轟と音を鳴ら斧、黒剣でそれを受け止め弾く、斧を弾かれバランスを崩すコボルトの顔に横薙ぎに一閃、俺は絶命したコボルトの斧を手に取り後ろにいた二匹目のコボルトに投げつける身体強化しているためかなりのスピードがでる、反応しきれず脳天に辺り絶命。剣に着いた血を払い鞘に戻す。ナイフを取り出し魔石を剥ぎ取る作業に移る。
「コボルトの皮は素材として売れるであります」
「そうなのか?でも俺皮を剥ぐとかやった事ないんだけど」
「私が手順をお教え致しますので言った通りに作業を行うであります」
「分かったよ」
苦戦しながらも皮を剥ぎ取り、コボルトの持っていた斧も一応貰っておく。しかし、魔物を殺す事に俺は最初から躊躇しなかったな、なんでだ?まぁいいか別に犯罪で捕まるわけじゃないしな。その後もコボルトに数回エンカウントしたが討伐しちゃんと剥ぎ取った。コボルトはIランクでゴブリンと同じランクだ。
「別れ道か」
さて、ここで地図の出番か。俺は地図を出し広げる。この地図ではこの迷宮の全域がマップされており、棺の館の他にも血の沼や、紅の墓など書いてあるが今は棺の館だ。地図通り右に進む。暫くしてまた茂みから何か出てきた。コボルトかと思いきや、骨だったそいつらはカタカタと顎をも鳴らしながらこちらに向かって来る。武器は確認出来なかった。
「スケルトンであります。頭を砕くか左胸に浮いている魔石を破壊すれば倒せるであります」
「3体だな。確かこいつらHランクだったな」
昨日、この迷宮に出てくる魔物をネクロに教えて貰った。
影から黒剣を引き抜き、更に先ほど手に入れた斧を取り出す、「黒漆」をしているためかなり丈夫になっている。身体強化を腕の部分だけ行ない振りかぶり1体のスケルトンの投げつける、綺麗な直線を描き頭に直撃――投げる才能あるかも俺。頭が砕き割れ糸が切れたように首から下が地面に落ちる。地面を蹴り駆ける足には身体強化が掛かっている。その勢いに任せ上段に構えた剣を振り下ろす頭から股までスパっと斬れ絶命――もう死んでるけど。最後の1人?がこちらに向かって襲いかかろうと駆け出した刹那、頭に黒い何かが被弾、そのまま頭が砕け亡骸となった――元からそんな感じだけど。最後の黒い何かは「黒漆」した斧で1体目のスケルトンを倒した時にボードと同じ様に操り頭に被弾させたと言う訳だ。すげ~便利。
「ふぅ~片付いたな」
スケルトンの魔石を集めながら今何時かネクロに聞く。午後の6時頃か着いたのが3時頃だったから結構たったな、そろそろ野営の準備でもしていい頃かもしれない。俺は道から外れた一番近くの枯れ木に腰を下ろし魔法を使う。
「黒箱」
俺の周りから黒い靄が出始め数分後には2メートル四方に壁が作り上げられる上と下には張らずしておく。これは小屋から出た後開発した魔法だ。これならばかなり安心して寝られる強度もかなりあるし攻撃を食らっても一撃で吹き飛ぶ事もない。壁に寄りかかり影から炎を出す魔導器を出し道で拾って置いた枯れ木の枝を積み上げ火を灯す。赤とオレンジの炎が出始める。外套のお陰で寒いとはならないがやはり火があると落ち着く。
3時間歩いて半分まで来たな結構早く付きそうだなこりゃ。後出てもGランクのモスラルていう毒の鱗粉を撒き散らす魔物だけなはずだ他のエリアに行くならまだ他の魔物出るらしいけど俺の目的はあくまでも棺の館だ。さて何があるのやら。
俺は黒パンと干し肉をかじりながら考えた。飲み物が無いと……。
己の失態に落ち込みながら霧が埋め尽くす森の中での一夜を過ごした。




