最終話 新たな旅立ち
「………」
「………」
俺とグリーは無言のまま、微妙に居心地の悪さを感じながら、待っていた。
「あっ、イリナ!これなんてどう?」
「え、えぇと……あんまり短いのはちょっと……」
「えー!絶対似合うのに!!あ、じゃあこっちは!?」
「……メリス、できればスカートじゃない方がいいんだけど……」
そんなことを知ってか知らずか、女性陣2人は買い物を楽しんでいる。
……たぶん、メリスは気づくどころか、俺達を気にかけてすらないな。
イリナはたまに申し訳なさそうな顔を向けてきてくれてるから、気づいてるだろうけど。
「メリスのやつ、よっぽど女の仲間ができたのが嬉しいんだな……」
思わず小さくため息をつき、今朝のことを思い出す。
『守護の森』を出た後、宿屋に戻った時には3時を過ぎていた。
それから10時頃まで寝て、遅い朝食を食べて、
『服を買いに行こう!!』
20秒で食べ終わったメリスの、朝食後第一声がそれだった。
……もちろん、この時点で俺達はまだ、誰1人朝食を終えてない。
『服って……』
『イリナの服!!昨日ほとんどダメになっちゃったでしょ?』
『あぁ、なるほど』
昨日、『守護の森』にあったイリナの家が崩落してしまい、中にあったイリナの服もほとんどダメになってたんだっけ。
一応、まだ洗えば使えそうな物は持ってきたみたいだけど、せいぜい2、3着しかないって言ってたな。
『というわけで、ハディ、お金ちょうだ……』
『却下』
『早っ!?』
メリスが手を出した瞬間に即答する。
こいつに金を渡したら、絶対に全て使い切るからな。
『大丈夫だよハディ!!イリナだって一緒に行くんだから!』
『あー、まぁ、確かに……』
イリナはそういうのしっかりしてそうだし、それなら大丈夫か……。
『えっと……あの、私、お金の相場とか、よく分からないんだけど……』
『………あ』
イリナの言葉に、はっとする。
そりゃそうか。10年間ずっと森の中にいたんだもんな。
『あれ、じゃあイリナの服ってどうしてたの?
10歳までの服をずっと着てたの?』
『んなわけあるか』
10歳から20歳まで体格変化なしって、普通に考えてありえないだろ。
『私の服はあの人が買ってきてくれてたわ。
成長した時のために、大人用の服もあらかじめ用意してくれてたの』
『あー、だからイリナの服、全部男物だったんだね』
『まぁ、大の大人……じゃなくて老人が、女物の服を買うのはきつそうだもんな』
『一応、女でも着れそうな物を揃えてくれてたけど……完全に女物の服は、子供の頃しか着たことないわ』
少し寂しげな笑みを浮かべるイリナ。
それを見て、メリスは目を光らせる。
『よーし!!任せてイリナ!!私がとってもかわいい服をこーでぃねーとしてあげるから!!』
『えっ!?で、でも、私はもう男物の方が慣れてるし……』
『大丈夫!!この私に全部任せなさい!!』
『え、えぇっと……』
『任せなさい!!』
『……う、うん……』
メリスのものすごい剣幕に、イリナも折れたようだ。
……そんなに仲間の服を買いたいのか、こいつ。
『というわけで、ハディ、お……』
『却下』
『早っ!!さらに早っ!!』
メリスが手を出そうとした瞬間に即答する。
『結局、根本的な問題が解決してないだろ!』
『えぇー……あ、そうだ!』
ぽん、とメリスは手を打つ。
『ハディと兄さんもついてくればいいんだよ!!』
『……え?』
『それならお金の心配はいらないし!2人の意見も聞けて一石……きちょう!!』
『一石二鳥な』
『そうそれ!!一石二鳥!!』
ビシッ!と、得意げな顔でポーズを決めるメリス。
……まぁ、良い考えかもしれないけど。
『ねっ!イリナもどうせならみんなで買い物したいよね!?』
『え……』
イリナはそれを聞き、ちらっとグリーの方へ目を向けた。
『う、うん……』
少しうつむき加減に、呟くように言う。
……気のせいか、顔が微妙に紅潮してるような……?
『ほらっ!イリナも言ってるよ!!』
『そうだな……グリー、お前はどう思う?』
『行くに決まってるじゃないか!!』
『決断早いなおい!!』
しまった。メリスの提案をこいつが断るわけなかった。
『よーし!それじゃあ出発進……』
『俺達が食い終わるまで待て!!』
外へ向かおうとするメリスの襟首をつかんで引き止める。
……そんなこんなで、俺達4人でイリナの服を買いに行くことになったんだけど……。
「……一番楽しんでるのメリスだよな」
いろんな服を引っ掴んではイリナへと持っていく様子を見て、思わず呆れてしまう。
まぁ、楽しむのはもちろん良いことだし、イリナも困惑した様子ではあるけど、本当に嫌がってる訳じゃないだろう。
「イリナ!!これとこれならどっちがいい!?」
「えっと……こっちかな」
「ふむふむ、イリナって黒が好きなの?」
「うーん……言われてみればそうかも……」
「黒もいいけど、もう少し明るい色の服も着てみようよ!」
「う、うん」
「あ、青とか似合うんじゃないかな!?白い服もいいかも!!」
……どうしよう、会話を聞けば聞くほど居心地が悪くなってくる!
俺達なんでここにいるんだっけ!?
「ねー、2人も黙ってないで意見言ってよ!!」
「って、ここで俺達に振るのかよ!?」
……まぁ、居心地が悪い中で黙って待ってるよりはマシか……。
「ってかメリス、お前さっきからスカートとかワンピースばっか勧めてるけどさ」
「うん」
「イリナ、剣士だぞ?」
「……あ」
「……今気づいたか」
純粋な魔法使いのメリスと違って、イリナは戦闘中動き回ることになるからな。
あんまりそういう服は良くないだろ。
「んー、でも!女の子なんだから、お出かけ用の服も少しぐらいあった方がいいでしょ!!」
「まぁそれならいいけど、あんまりそういう服ばっか買うなよ?」
「はーい……で、2人はこれとこれならどっちが良いと思う!?」
そういって青と白のワンピースを見せてくる。
……分かっちゃいたけど、お出かけ用優先か。
「うーん、僕は白の方がいいと思うけど、真っ白よりも少し他の色があった方がいいんじゃないかな」
「……正直、こういうの全然分からないんだけど」
俺はあれば着るぐらいの感覚だし……ここはグリーに任せた方がいいか?
「んー……じゃあ、これかこれかな。
イリナ、どっちがいい!?」
「えっと……」
メリスが持ってきた2つのワンピース。
両方白を基調として、一方は黒、もう一方は青が混ざってる。
イリナは少し迷った後、グリーの方へ目を向けた。
「グリーは、どっちの方がいいと思う……?」
「え?そうだね……」
グリーは少し考えた後、白地に黒のワンピースを指差した。
「イリナになら、こっちの方がいいんじゃないかな?
君の銀髪に合いそうだからね」
「じゃあ、こっちにしようかな……」
グリーがほほ笑みながら意見を言うと、イリナは少し顔を紅潮させて嬉しそうに呟いた。
……うーん……昨日からなんとなくそんな気はしてたけど……。
もしかしてイリナ、グリーのことを……?
「それじゃこれと……あ、あと普段着も買った方がいいよね!
ハディ!私も買いたいんだけ……」
「あ?」
「怖っ!?い、いいでしょ!?私だって最近服買ってないよ!?」
「アクセサリーは買ってるよな?」
「うん!!」
「………」
「………」
言い負かされて、しゅん、とうなだれるメリス。
……しょうがないな。
「まぁ、最近は少し余裕もあるしな……」
「本当!?」
「1着だけだぞ。あと上限は2000Gまで」
「うん!!行こうイリナ!!」
「あ、うん」
嬉しそうにもう一度服を物色し始めるメリス。
……さて、
「グリー、今のはメリスの要望を聞いただけであって、下心はないからな?
メリスのためだからな?」
「ぐっ……!!」
“メリスのため”という言葉を聞き、グリーの銃を抜きかけた手にストップが入る。
危ない危ない、やっぱり銃抜こうとしてたなこいつ。
……というか、店内で銃抜くな。追い出されるぞ。
「そういや服だけど、グリーはいいのか?俺は大丈夫だけど」
「僕もまだ大丈夫だよ。それに、いくら余裕があると言っても、あまり無駄な買い物はできないだろう?
これからイリナの武器も買いに行かなきゃいけないしね」
「あ、そうか」
「……忘れてたのかい。君が真っ二つにしたんだろう」
「ははは……」
そういやさっき、自分でイリナは剣士って言ったばっかだった。
まぁ、イリナは魔力も魔導師級だから、剣なしでも戦えないことはないだろうけど。
「ねぇハディー!これとこれどっちがいいと思うー?」
「って、また俺に聞くのかよ……」
さっき、全然分からないって言ったばっかなんだけど……。
「……何突っ立ってるんだい?早く行きなよ」
「……え?」
「メリスが君を呼んでるんだからね。待たせたら承知しないよ」
「お、おう」
グリーに言われ、俺はメリスの元へと急ぐ。
……どうしたんだ?あいつがあんなこと言うなんて……。
「……そう簡単には、認めないからね」
後ろからグリーの声が聞こえた気がしたけど、うまく聞きとることはできなかった……。
「ありがとうございましたー!」
店員の声を聞きながら、俺達は店を出た。
「悪いな、ただのロングソードで……」
「うぅん、これで十分よ」
イリナは今買ったばかりのロングソードを握りしめる。
結局、服屋でイリナの服を2着、ズボンを1本、メリスの服を1着、スカートを1枚購入し、合計1万G程の支出になってしまったため、イリナの武器は量産品のロングソードということに。
「大丈夫だよイリナ!!またこれからお金をためたら、私達の武器に負けないぐらいすごい武器を買うからね!!」
「いや、これ以上の武器はちょっと無理じゃないか……?」
俺達の武器はラッキーで手に入ったようなもんだしな……。
「さて、これでもう用事は大体終わったか?」
「今日は、ね」
「あ……」
グリーに言われて思い出す。
忘れてた……そういえば明日だった。
「審査の結果発表……」
「あ!!」
俺が呟くと、メリスが大きな声を出す。
……やっぱ、こいつも忘れてたか。
「審査って……冒険者の?」
「そう、『守護の森』に行く前日に受けたんだ。
それで、その結果発表が明日なんだよ」
「そうなんだ……メリスがE級で、ハディとグリーはC級……よね?」
「おう、まぁメリスは合格確定だろうけど、俺とグリーはちょっと分からないな」
「カオスくんは、分かり切ってると言ってたけどね」
「そういやそんなこと言ってたな……」
昨日……じゃなくて、一応今日か。
カオスが去る直前、グリーが審査の結果を見ていかないのかと聞いた時、カオスは結果なんて分かり切ってる、そう言っていた。
「……グリー、自信の程は?」
「……そうだね。まぁ、合格できなくても無理はないとは思うけど」
グリーはフッと笑みを浮かべた。
「合格しててもおかしくないとも、思ってるよ」
「……俺もそんな感じだ」
俺もグリーも、危険度Dの魔物を1人で倒すことができたんだ。
合格してる可能性は、十分あるはず……!
……っていっても、まぁもちろん不安はあるんだけど……。
「それじゃあ今日は合格する前の前祝いってことで、おいしい物を食べよう!!」
「待てメリス、おかしいよな?なんだ合格する前の前祝いって。
それでもし合格してなかったらどうすんだ」
「それはそれで残念でしたってことで、おいしい物を!」
「お前はおいしい物食べたいだけだろ!!」
「うん!!」
「開き直った!?」
メリスと騒いでいると、さっきまで感じていた不安はなくなっていた。
……計算とかなしに、こういうことができるのがすごいよな、こいつは……。
「さて、そろそろお昼にしようか」
「そういや、もうそんな時間だな……」
「私お肉が食べたい!!」
「よしじゃあ肉にしよう」
「早いなおい!!俺達の意見も聞けよ!?」
「あ、私はお肉で構わないけど……」
「イリナ、お前もか!!」
くっ……これじゃあ多数決で肉に決定してしまう……!
「ハディはお肉嫌なの?」
「いや、肉でいいけど」
「なんで反対してたんだい……」
「悪い、ついノリで」
『そっか、じゃあしょうがないね』
「あ、あはは……」
若干俺達のノリについていけないようで、イリナは呆れたように苦笑していた。
「大丈夫だよイリナ!!すぐにこんな感じになれるから!!」
「それはそれで何かやだな、おい」
「……大丈夫。まだ少し慣れてないだけで、嫌なわけじゃないから」
イリナはそう言ってほほ笑んでくれる。
「と、いうわけで!焼き肉屋さんはどこかな!?」
「おいこら、焼き肉は許可してねぇぞ」
「メリス、こっちに地図があるよ」
「わーい!」
「聞け!!」
……ったく、あいつらは……。
まぁ、ふざけてるだけで、ちゃんとわきまえてるだろうけど。
「ふふっ」
そんな2人の様子を見て、イリナは笑顔を浮かべていた。
……やっぱりというか、グリーを見てる時に若干顔が赤くなってる気がするけど……。
「あいつらは大体あんな感じだからな。まぁ、少しずつ慣れてみてくれ」
「うん」
「………」
「……どうかした?」
「いや、間違ってたらあれなんだけど……」
「うん」
ちょっと無神経かもしれないけど……まぁいいや、聞いてみよう。
「ひょっとして、グリーが気になってるとか?」
「えっ!?」
瞬間、イリナの顔が一気に紅潮する。
「き、気になってると、いうか……」
顔を少しうつむかせ、目を泳がせながら言う。
「よく、分からないんだけど……なんだか、グリーを見てると……胸が熱くなって……少し、苦しいんだけど……でも、気づいたら、グリーのことを見てて……」
途中からはほとんど呟きに近いぐらいの声だった。
……10歳からずっと森にいて、交流はたまに来る冒険者ぐらいだった、って言ってたもんな。
もしかしたら、初恋とかだったりするんだろうか……。
……初恋か……初恋が、グリーか……。
「……がんばれ」
「えっ……う、うん」
まずい、思わず憐れみを感じてしまった。
なんだか気まずい雰囲気に……。
「2人ともー!!こっちにおいしいスタミナ丼のお店があるってー!!」
「あ、う、うん!!」
メリスの声が聞こえると、イリナは気恥ずかしさからか、走っていってしまった。
……うーん、やっぱりちょっと無神経だったかな……。
「どうかしたのかい?」
「あ、いや、別に……」
歩いて行くと、すでにメリスとイリナは少し離れた所まで進んでいた。
……ちょっと、グリーにも聞いてみるか。
「グリー、イリナのことどう思う?」
「え?」
……いや、いきなりこんなこと聞くのは変だろ!!バカか俺は!!
「いや、なんというか……ほら、初めて新しい仲間ができた感想?というか」
「………そうだね」
グリーは少し離れた位置でメリスと談笑するイリナを見る。
……そう、メリスと談笑するイリナを……。
「まだ会って2日目なのに、もうあんなに仲良くなっているなんて……!!」
「……おい」
黒いオーラに包まれるグリーに思わず呟く。
……そうだった。こいつはこういう奴だった。
「お前、レイラとか、他の奴にはそんなに嫉妬してなかったろ……」
「それは、そう遠くないうちに別れることが分かってたからだよ……。
だが、イリナはこれからもずっと一緒にいるんだ、ひょっとしたら、僕よりも仲良くなってしまうかもしれない……!!」
「……っていうか、そもそもお前が仲間に誘ったんじゃなかったっけ?」
「勘違いしないでくれ、別にイリナが仲間になったことが嫌なわけじゃない。
もちろん僕だって彼女のことは好きだからね」
しかめっ面を崩さぬままグリーは続ける。
……この“好き”は、当然“仲間として”だろうな。
「だが、それとこれとは話は別……!!
見ただろう!?買い物してる時のメリスの嬉しそうな顔を!!
メリスをあんなに喜ばせることができるなんて!!
無論、メリスが喜ぶのはとてつもなく良いことだが……!!」
「………」
ダメだ……こいつ……。
……初恋か……初恋が、この変態か……。
「……がんばれ、イリナ……」
「……何か言ったかい?」
「いや、別に」
再度憐れみを感じ、俺は思わずため息をついたのだった……。
時間が流れるのは早いもので、それから俺達は昼食、そしてまた出店を見に行き、適当にウィンドウショッピングを楽しんだ後、酒場や冒険者ギルドで依頼を見て回り、日が暮れる頃には宿屋に戻り、夕食を食べた。
……イリナは10年振りのタルト町を楽しんでいたようだ。
もちろん、記憶はそこまで鮮明じゃないだろうし、イリナの記憶にあるような場所は、なくなっている所も多かっただろうけど。
それでも、10年振りに町を自由に歩ける。それだけで、イリナはとても嬉しそうだった。
……そして時は過ぎて……翌日の朝。
俺達は、冒険者ギルドへと赴いていた。
「………」
真剣な顔で、張り紙へ目を向けるメリス。
……合格確定、とは思ってるけど、やっぱり万が一ってことはある。
俺達3人は、固唾を飲んで見守っていた。
「………あ………」
メリスは目を見開く。
そして、俺達の方へ顔を向けると……満面の笑顔で、Vサインを決めたのだった。
それを見て、思わず俺は小さくガッツポーズをとってしまった。
「おめでとうメリス!!」
「ありがとう兄さん!!」
戻ってきたメリスに我先にと駆け寄り、手を握るグリー。
「良かったな、メリス」
「おめでとう!」
「うん!!」
俺とイリナの賞賛を聞き、またも笑顔になるメリス。
確信といっていいほど自信はあったけど、それでも、実際に合格が分かると、嬉しいもんだな。
「それでは、合格者の方は中へとお願いします」
ギルドの職員の声がする。
そうだ、この後腕輪取得と『血の契約』があるんだよな。
「それじゃ、行ってくるね!!」
「ケガをしないようにね!メリス!!」
「落ち着けグリー、『血の契約』だっつーの」
『血の契約』は、ナイフで小指の先を少し切り、血を腕輪に記憶させる。
……正直、ケガとかそんなのじゃないけど、こいつの場合それもケガだと言いそうだ。
「分かってるよハディくん、流石の僕も、そこまで気にしたりしないさ」
「……本当だろうな」
「あぁ」
~10分後~
「ただいまー!!」
「おう、おかえ……」
「ヒール!!」
俺がおかえりと言い切る前に、グリーの治癒魔法によって、メリスの小指の傷が治った。
「大丈夫かいメリス!?跡が残ったりしないよね!?」
「大丈夫だよ、兄さんったらー」
……誰がそこまで気にしないって?
すごい勢いでメリスに駆け寄るグリーを見て、心の中で呟いた。
「くすっ……2人は本当に仲がいいのね」
「イリナ!?お前それでいいの!?」
普通引くと思うんだけど……あばたもえくぼ、ってやつだろうか。
「どうだメリス?腕輪は」
「うーん……」
メリスは左腕につけたアルミ製の腕輪を見る。
「思ったより軽いかなー……と」
「まぁアルミ製だし、俺やグリーの腕輪よりはな」
鉄とアルミなら、そりゃあ鉄の方が重い。
「でも、冒険者になったんだな!って感じ!!」
「……そうか」
冒険者としての自覚が芽生えたんならそれは良いことだ。
今までも『仲間』としては仕事をしてきたけど、正規の冒険者になったんだという意識があると、やっぱりまた違うと思う。
「さて、メリスも無事合格したことだし……」
「次は俺達だな」
C級の結果発表はD級の後だから、まだ少し時間はあるけど……。
……やばい、もう緊張してきた。
「大丈夫だよきっと!!2人とも合格してるって!!」
「グリーもハディも強いから、きっと大丈夫だと思うわ!」
それを察してくれたのか、メリスとイリナが励ましの声を送ってくれる。
「……おう!!」
「ありがとう、2人とも」
俺とグリーがそれに答えた……その時、
「おや」
「……え?」
俺の後ろから、聞いたことのある声が聞こえた。
「あ……シントさん!」
「どうも、ハディさん」
シントさんはにっこりと人当たりの良い笑みを浮かべた。
「ハディ、その人は?」
「シント・ブライトさん。
俺が審査を受けた時、審査官をやってた人だ」
「そうなんだー!メリスです!いつもハディがお世話になってます!!」
「いや、会ったの1回だけだし、そんなことお前に言われる筋合いもないし」
「こちらこそ、ハディさんは本当に素直な良い子で……」
「教師と教え子みたいなノリで返さないで下さいシントさん!!」
「おや、ここは漫才のようなノリで返すのが適切かと思ったのですが……」
「すみませんシントさん、初対面の人間に漫才のノリで返答するのは普通に考えて変です」
「そうですか……まぁ、冗談はさておき」
「冗談……」
冗談だったのか、シントさんそんなに冗談言いそうな人に見えないんだけど……。
「それはハディが冗談が言いやすそうな顔してるからじゃないかな?」
「それで、シントさんはどうしてここに?」
「無視!?」
「うるせーメリス、俺はもうツッコまねーぞ!!」
よし、これで読心の対処は完璧だ!!
「うぅ、兄さん……ハディがツッコんでくれない……」
「ハディくん!!何でツッコまないんだい!!」
「卑怯だぞメリス!!」
しまった!その手があったか!!
くそ、銃を出されたら手も足も出な……、
「っつーか街中で銃出すなグリー!!」
「メリスの味方である限り、僕は正義だ!!」
「何だその独善的過ぎる考え方!?」
言い合いをしていると、そっとグリーの銃に手が添えられた。
「落ち着いてグリー!仲間に銃なんて向けちゃダメ!」
「あ……そ、そうだね」
イリナに注意され、グリーは我に返ったのか、銃を下ろす。
「メリスも、あんまりグリーを焚き付けるようなことは言わないこと。いい?」
「はーい……なんだかイリナ、お姉さんみたい!!」
「え……そ、そう……?」
メリスに言われ、イリナは少し顔を紅潮させた。
確かに、イリナって普段はおとなしいけど、いざって時に動くタイプだよな。
……まぁ、“あの時”はどっちかというと、自暴自棄になってたんだろうけど……。
「こほん、いいでしょうか?」
「え?……あ!す、すみませんシントさん!」
「いえ」
しまった。うっかりシントさんのことを忘れてた。
「私がここに来た理由ですが、もしかしたらあなたに会えるかと思ったからです」
「俺に……?」
「えぇ、1つ伺いたいことがありまして、ね」
シントさんは笑顔のまま続けた。
「……『物語』は、無事終わりましたか?」
「………?何の……」
何の話ですか?そう言いかけて、俺はある言葉を思い出した。
『なかなか楽しめたぜ、お前らの物語』
昨日……正確には今日だけど、カオスは去る直前、そう言った。
そういえば、審査の時にシントさんは俺の剣、夜桜を見て、何かに気づいたような素振りを見せていた。
……もしかして……。
「カオスを、知ってるんですか?」
それを聞き、シントさんはにっこりとほほ笑んだ。
「えぇ……3日前、彼があなた達と一緒にいる所を見ましてね。
驚きましたよ、まさかまた彼に会うとは思っていませんでしたから」
「……また?」
つまり、それ以前からカオスとは面識があったってことだ。
一体……。
「……私が初めて彼に会ったのは、去年の今頃のことです」
目を閉じ、当時を振り返るようにシントさんは話し始めた。
「当時、すでにギルドに所属していた私に接触してきましてね……。
『このギルド内に不穏な動きがある』、と」
「不穏な動き……?」
「はい、ギルド所属の冒険者数人が、町の中へ盗賊が侵入する手助けをしようとしていました」
「はぁっ!?」
驚きのあまり大きな声が出てしまった。
冒険者……それもギルドに所属してる冒険者が、盗賊の手助けって……!!
「盗賊の規模は40~50人前後でしたが、一般人からすれば十分脅威です。
計画としては、冒険者達が内側から盗賊達を招き入れ、裕福な家を中心に多数の家を襲い、金品を根こそぎ奪うつもりだったようです。……もちろん、抵抗する者は皆殺しです」
「っ……そ、それで?」
「もちろん、他のギルド職員に知らせようとしましたが、犯人が全員分かっているわけではないから、本当に信用できる奴以外には言わない方がいいと言われましてね……」
シントさんは小さく嘆息した。
「結局、私を含めた数人で解決することになりました。もちろん、カオスさんの助けも借りましたがね」
「えっ!?どうやって……」
「そう難しいことではありませんでしたよ。
冒険者達が盗賊を招き入れる直前に全員倒してしまい、後は門の前で立ち往生している盗賊達を一網打尽にするだけ。
集まる場所、時間、人数など、必要な情報は全てカオスさんが揃えてくれました」
「……流石」
あいつならやりそうだ……全部片手間で。
「といっても、戦闘は全て私達に任されたので、それは大変でしたが……」
「え!?」
「やってやれないことはないものです。冒険者は全員E級でしたし、盗賊は数だけでしたから。
それに、私はカオスさんからとっておきの技を教えてもらってましたからね」
「……あ、もしかして……」
「そう、『光芒斬』です」
なるほど、あんなもの見せられたら、そりゃ戦意なんて失せるだろうな……。
「事件を解決した直後、彼はどこかに行ってしまい、結局手柄は全て私達の物になりました。
その一件で、当時D級冒険者になりたてだった私は、いきなりC級の審査を受ける権利を得ました」
「そりゃ、そんな大事件を未然に、それもたった数人で防いだんですもんね……」
冒険者としての実力を示すには十分だ。
何より、人々への貢献度がとんでもないからな。
「審査の後に彼に会いましてね、今度はあなた達を『主人公』にするつもりだと聞きましたから」
「『主人公』って……まぁ、そうですね。
大丈夫です、こっちもちゃんと解決しましたから」
「それは良かった」
安心した様子で微笑むシントさん。
……にしても……、
「俺達の時はまだ理由がありましたけど……シントさんの時は、それこそカオスが出ればそれで終わりだったんじゃないですか?」
「あぁ……私もそう思い、事件の前に聞きましたよ。なぜ自分でやらないのかと」
「……それで?」
「曰く、『自分でやるより他人にやらせた方が面白い』、だそうです」
「……あの野郎……」
そういや、『守護の森』に行く前にそう言ってたな……。
「本当に、はた迷惑というか、なんというか……」
「そうですね……ですが、もし彼が私に盗賊のことを教えてくれなければ、多数の被害者が出ていたでしょう。
……あなた方の場合も、そうだったのではありませんか?」
「あ……」
『願いの珠』……いや、『殺戮の神』。
もしカオスが気づかず、あれがこの町に来ていたら……。
「それに、骨折り損のくたびれ儲け、というわけでもありませんでしたからね」
シントさんは左腕の、銅製の腕輪へ目を向ける。
「絶望を乗り越えた者には、それ相応の代価が得られる、とでもいいましょうか。
私はC級冒険者という『地位』と、光芒斬という『力』を手に入れました。
……もちろん正確には、手に入れるチャンスを得た、ですが。
あなた方は、どうでしたか?」
「………」
今回の事件で俺達が得たもの……それは。
新しい『武器』と、イリナという『仲間』。
俺の心情を察したのか、シントさんは満足げに微笑んだ。
「まぁもっとも、厄介であることには変わりないので、あまり進んで関わりたいとは思いませんが」
「あ、それは同感です」
即答すると、シントさんは楽しげに笑った。
「それでは、また。
……縁があれば、会いましょう」
「……はい」
いたずらっぽく笑い、シントさんは去っていった。
……去り際のセリフがカオスに似てたんだけど、たぶん、わざとだろうなぁ……。
「シントさんもカオスと会ってたとはなぁ……」
確かに初めに会った時、なんか様子が変だとは思ったけど。
「彼が、君が戦った人かい?」
「おう、意外といろんな人と関わってるんだな、カオスのやつ」
「確かにね……『絶望』の噂なんてほとんど聞かないから、もっと極秘に生きてるかと思っていたけど」
「まぁ、事件を解決したらすぐ姿を消してるからな……」
「しかも、事件解決を他人に任せてるからね。当人が解決していれば、もっと噂に出てくるだろうけどね」
「あー、なるほど」
シントさんがカオスのことを隠して手柄を取ろうとした、とは思えないけど、実際その時にはカオスがいなくなってるから、周りの人達も本当にカオスがいたか信じてくれないかもしれないしな。
俺達に至っては、事件のことすら公になってない。
「そういえば修行してた時、『必要以上の名誉や地位なんて願い下げ』と言ってたよ」
「……なんじゃそりゃ」
「『面倒』なんだってさ」
「………」
そんな理由で名誉や地位を拒否するか?普通……。
「まぁ、一応人を助けてることには変わりないんだ。批判する必要はないんじゃないかい?」
「まーな。にしても、人を平気で巻き込むのはどうかと思うけど」
そんなことを言いつつ、あいつを嫌いになれないのは、やっぱりどこかで信用しているだろうか。
『死が嫌い』だと言った、あいつを。
他人に嘲笑を向けたり、手の平の上で操ったり、正直むかつく所が多いけど……あいつが誰かを『犠牲』にする所は、ちょっと想像できなかった……。
「………」
「………」
目の前に張られた紙に、俺とグリーは注視していた。
メリスは祈るように手を合わせ、イリナも緊張した面持ちだ。
……って、C級は合格者がかなり少なくてすぐ探し終わったから、そんなに緊張の間はないんだけど……。
「メリス」
俺が呼ぶと、メリスは慌てて顔を上げる。
「ど、どうだった?どうだった!?」
俺はそれに答えず、手で紙を指し示す。
そこには、十数人の名前が書かれていた。
……その、下から二番目と、一番下に、書かれた名前。
ハディ・トレイト
グルード・テーナス
そこには、間違いなく俺達の名前が書かれていた。
……つまり、
「……合、格……?」
「……おう」
少し間を空けて、俺達は飛び上がった。
「やったあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「よっしゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ふ、2人とも……」
と、イリナの声に、はっと我に返る。
いけないいけない、この場であんまり盛り上がるのはまずいよな。
周りから感じる視線に、少し気まずくなる。
と、ぽん、と肩を叩かれた。
「良かったな、ボーズ」
「え……あ、ありがとう、ございます」
30代ぐらいの男性にいわれ、俺はほとんど条件反射でお礼を言った。
と、その冒険者の仲間らしき人がやってきた。
「気を落とすなよ、次があるだろ」
「おうよ!!次こそは合格してやるぜ!!」
わっはっは、と男気のある笑い声を上げながら、2人の冒険者は去っていった。
「……ありがとうございます」
俺はその男性に、もう一度お礼を言った。
……合格者はたった十数人、それ以外の人は不合格だったんだ。
合格した自分に、誇りを持たなきゃな。
「それでは、合格者の方は中へとお願いします」
ギルド職員の声に、俺とグリーはギルドの中へと入っていった。
案内されるままに進み、1つの部屋へと通される。
「それではこれより、腕輪の進呈と返却、そして『血の契約』を行います」
1人ずつ、名前を呼ばれ、D級冒険者の証である鉄製の腕輪を返却。
そして、C級冒険者の証である銅製の腕輪を受け取り、その場で『血の契約』を行っていく。
「次、ハディ・トレイト」
「は、はい!!」
緊張のあまり、声が上ずりそうになってしまう。
3回目なのに、ここの雰囲気は慣れないな……。
「お願いします」
「はい」
左腕から鉄製の腕輪を外し、ギルドの職員へ渡す。
そして、新たに銅製の腕輪を受けとり、手持ちのナイフで小指を小さく切る。
傷から流れた血が銅製の腕輪に当たると、一瞬、腕輪が赤く光った。
「はい、どうぞ」
「は、はい……」
ゆっくりと持ち上げ……左腕へとはめる。
鉄の腕輪よりも少し重い、銅の腕輪。その重さが、変わったんだということを証明してくれたように思えた。
「これであなたも、C級冒険者です。
その誇りを持ち、日々仕事に励んで下さい」
「は……はい!!」
俺は大きく一礼をして、部屋から出ようとした。
その時、
「ほら、ハディくん」
「え?」
いつの間にか近くに来ていたグリーから、絆創膏を差し出された。
「まぁ、これぐらいはね」
「……メリスは治癒魔法で、俺は絆創膏かよ」
「不満かい?」
「……いーや」
正直、全く不満がないわけではないけど……こいつは、こういう奴だしな。
「ありがとな」
素直にお礼を言い、もらっておく。
「次、グルード・テーナス」
「はい」
グリーの名前が呼ばれる。
「じゃ、先出てるな」
「あぁ」
一足先にギルドから出て、待っている2人の元へと戻る。
「ハディ!!ちゃんと腕輪もらえた!?」
「当たり前だろ……ほら」
駆け寄ってきたメリスに、銅の腕輪を見せる。
「えへへ……なんだかおそろいみたいだね!!」
「いや、なんでだよ……」
材質違うし……そもそもアクセサリーじゃなくて、冒険者の証だし。
「はぁ……乙女心が分かってない!!」
「……乙女?」
「何その『お前のどこが乙女なんだ』みたいな目!?」
「乙女は20秒で卵ご飯、味噌汁、サラダ、おまけにデザートまで食べ終わらないと思う」
「ひどいよハディ!大食い差別!!」
「いや、どっちかっていうと早食いだろ……早食いなんてレベルじゃないけど」
「早食い差別!!」
「差別っつーか……」
「でもメリス、あんまり早く食べると体にあまり良くないと……」
「イリナ、それグリーが何回か言ってる」
「そっかー……」
「いや、今初めて聞いたみたいな反応すんな!!」
実際、こいつは忘れてそうだけど……。
「お待たせ」
「おう、グリー」
と、グリーが戻ってきた。
その腕にはもちろん、銅製の腕輪が輝いている。
「さて、全員無事合格したし、合格祝いでもしたいのはやまやまなんだけど……」
俺は3人に語りかけるように言い……小さくため息をついた。
「……金が……ちょっとな……」
『………』
なんだか暗い雰囲気になってしまう。
くそっ!最近余裕があるからって楽観的に考え過ぎた!!
港町ヨーグルトでだいぶ稼いだけど、思えばそれ以降、一度も依頼を受けてない!!
「あはは……貧乏に逆戻り?」
「別にそんな裕福になってたわけじゃないけどな。
そしてもう1つ……」
これはみんな分かってるだろうけど……確認のために言っておくことにした。
「この町……今、依頼がない」
『………』
昨日、酒場や冒険者ギルドで見た時はまだ少しあったけど……今日の朝、ギルドに来る途中で酒場を見たら、ものの見事になくなっていた。
ちなみに、今日は試験や審査の結果発表の後にもいろいろ忙しいらしく、ギルドでは依頼を受けることができない。
……となると、答えは1つ。
「旅立ちだ」
「あはは……」
「仕方ないね」
「………」
全員少し呆れたような顔になる。
「まだこの町来たばっかりなのにー……」
「まぁいいだろ。結構そういうこと多いし……」
「けど……イリナはいいの?10年振りに来たばっかりだったのに……」
「……名残惜しくない、って言ったらウソになるけど……」
心配そうなメリスに、イリナは微笑みを向ける。
「でもそれより、せっかく自由になれたんだから、もっと他の場所へ行ってみたいって思ってるの。
この町へは、またいつでも来れるから」
「イリナ……うん!!」
微笑むイリナに、メリスも微笑みを返す。
意見がまとまったのを見て、グリーが口を開いた。
「この町を出て南に行けば、途中に『狩人の庭』がある。
森を抜けてさらに南へ約2時間行けば、狩人の町『キャラメル町』に着くよ」
「『狩人の庭』で狩りをして、そのまま『キャラメル町』へ、って所か?」
「そう、ただ、1つ問題があってね……。
『キャラメル町』には、冒険者ギルドがないんだよ」
「……あー……」
というか、最近ずっと冒険者ギルドがある町ばっか来てたけど……そもそも冒険者ギルドって、1つの国に4~6つしかないもんな。ちなみに、この国には6つある。
「となると、その町で商人やら業者やらに売り込むしかないか」
「まぁ、そんなに難しいとは思わないけどね。
『キャラメル町』は狩りで取れた戦利品の加工業が有名な町みたいだし」
「需要はしっかりある、と」
「それと、こういう言い方はなんだけど、冒険者ギルドがないってことは、ギルド所属の冒険者がいないってこと。
つまり、依頼は全部旅の冒険者へ回るってことになる。
この町みたいにギルド所属の冒険者が多いと、どうしても旅の冒険者への依頼が少なくなるからね」
「プラムさんの所は、人数少なかったから大丈夫だったけどな……。
つまり、依頼も期待できる、と」
「そういうこと」
「よし……じゃあ、決定だな」
俺はみんなの顔へ目を向ける。
メリス、グリー、イリナ。3人の俺の仲間達へ。
「目指すは『狩人の庭』、そして『キャラメル町』!!」
「うん!!」
「行こうか」
「外へ……!!」
こうして、俺達は旅立つ。
何度でも、また新たな場所を目指して!
「出発だ!!」
どうも皆様、『冒険者ライフ!』を書かせて頂きました、作者Xです。
この最終話をもちまして、『冒険者ライフ!』は終了となります。
といっても、前回の次回予告でハディ達が言っていた通り、彼らの『物語』はこれから先も続いていくことでしょう。
ではここから少し長くなるかもしれませんが、『冒険者ライフ!』を書き終えた後書きを書かせて頂きます。
まず……予想外のことが多すぎました。
そもそも短編で書くつもりだったのについ連載にしてしまい、第1章で短く終えるはずが思いつきで第3章、さらに第5章と長くなっていき、それでも1年あれば終わるだろうと思っていたのに、連載開始から早1年8カ月と半月です。
肝心の物語も途中までプロットを一切書いてなかったり、プロットを書き始めてからも途中で何度も変更があったり矛盾点を見つけたりと、自分の実力不足を思い知りました。
それでも、こうして1つの連載を終えることができたことは誇りに思います。
そして、それを支えて下さった読者の皆様にはとても感謝しています!
特にこの作品をお気に入り登録してくれた方々、文章やストーリーを評価してくれた方々、そして感想をくれた方々には、いくら感謝しても足りません。
長くなりましたが、最後に一言。
『冒険者ライフ!』を最後までお読み下さり、本当にありがとうございました!!
……と、最後の最後になんですが、この後に『蛇足』なんてものがあったりします。
良ければ読んでやって下さい。
それでは!!