その4
別の恭平が疑問に思うのも無理はない。
不満に思っているのがありありと伝わってくる。
「それは……」
自分の初めては『本物の恭平』に貰って欲しい……真奈は心をありのままに話した。
「そうか。ニセモノにはツラい話だな」
真奈は申し訳ない気持ちになる。
自分の浅はかな行動が生んだ「もう一人の恭平」。
彼の存在理由を否定しても本物の恭平への想いを捨てきれない自分が惨めで滑稽に思える。
「俺も恭平の事なら少しはわかる。コイツ、もうアンタの妹と寝たぜ?」
「……知ってるわ」
「ほぉ?」
別の恭平は意外という表情を浮かべる。
「腹いせにあなたに抱かれる事も考えたわよ。だけど……」
その事を知った時の悔しさや悲しさが真奈の心の中で一気に沸き上がり、涙となって溢れた。
その姿を見た今の恭平は慌てて真奈を抱きしめる。
「余計な事を言った。悪かった」
自分の迂闊さを責めながら、真奈の髪を優しく撫で慰める。
「アンタの恭平への強い想いから俺は生まれた。生みの親を泣かせてすまなかった。罪滅ぼしをさせてくれないか?」
そこで別の恭平が持ち出したのが件の『セフレ計画』だった。
「筋書きは任せろ。俺は恭平の中にいるから気質や考え方はだいたいわかっている。アンタの願いが叶うように力を貸してやるよ」
真奈は涙を拭う。
目の前の彼が急に頼もしく見えた。
「ありがとう、恭平」
「その呼び方は……まあいい。確かに間違ってはいないしな」




