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百妖の桜巫女 ~神宿し乙女は、愛を知る~  作者: 今際ゆき
春、初恋が舞い落ちる

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妖怪の頂点

地獄の最下層・阿鼻地獄。

そこに聳え立つ、闇を纏った緋色の神殿――閻魔殿。

その一室で、最上位に君臨する妖怪たちが座卓を取り囲んで何やら話をしている。


「八岐大蛇やられちゃったの~?それも女のコ一人に」

「是非一対一で力比べをしたい!なあ良いだろ、酒呑童子しゅてんどうし

「ちょっと牛鬼ぎゅうき。暑苦しいから声量下げてくんない?」


皆の中心に佇んでいるのは、所々が破れた薄茶色の着物を羽織った童顔の男。

軽薄な印象を与える若草色の短髪と、幼子のような丸い瞳が何とも言えない不気味さを演出している。

背丈は一般的な成人男性よりも少し小柄で、話し方も小学生のようだ。

彼の名は(しゅ)(てん)(どう)()

千年以上の時を生き続けているが、貫禄も威厳も感じられない。

一方で、その瞳は底なしの好奇心と狂気を飼っており、彼の傍には常に刀身が紅に染まった大鉈が置かれている。


「怖いどすなあ~その女子。八岐大蛇さんは五百年負け知らずでいらっしゃったのに。茨木童子いばらきどうしとしての腕の見せ所が来たようで、めでたいですわー」

温羅うら、負けてしまうかも……ああ…⋯怖い……痛いのやだ……鬼童丸きどうまるどうしよ」

「まあまあ温羅さん。酒呑童子様のお話をよく聞きましょうよ」


四メートルを優に超える巨体に牛の顔を持つ戦闘狂の(ぎゅう)()、京都弁を話す(おい)(らん)のような装いの強かな女鬼・(いばら)()(どう)()はどちらも、無敗だった八岐大蛇を倒した美影に興味津津だ。


一方で、ぼうぼうに荒れた髪と蒼黒い血が滴る双眸が特徴的な()()は、見かけによらず自信なさ気だ。


そして、老紳士のような外見の鬼童丸は、最も落ち着きがあり、話し方も非常に丁寧な話し方をしている。


妖怪達の強さというのは、深い地獄へ行けば行くほど増す。日本の地獄――畜生地獄は罪が軽い順に等活、黒縄、衆合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱、阿鼻の八つに分けられ、それぞれの場所に適した力を持つ妖怪が番人をしている。


等活地獄や黒縄地獄にいる河童、ぬらりひょん、ろくろ首、座敷わらしなどが現世へ降り立ったとしても、軽い悪戯をする程度なので、大した脅威ではない。

美影のせいで霞んでしまうが、叫喚地獄の番人だった八岐大蛇はかなり強力な妖怪に分類される。


その中でも最下層・阿鼻地獄の門番である鬼の脅威は、大災害をも凌ぐとされている。何万人もの犠牲者を出した災害の裏には彼らが居たのだと、神在の間で代々伝わる歴史書に記されている。



「あのさ~ボクに行かしてくんない?ついでに零君も始末してくるからさあ」



酒呑童子が丸い目を子供のように輝かせながら、意気揚々と告げる。


「良いどすなあ。桜刃の当主が消えてくれたら好きなように動けますし。あ、その代わりに、どれくらいイケメンやったか教えて下さいね」

「チッ。癪だが、まあ今回はお前に譲っといてやるか」

「良かった。温羅じゃ負けちゃうかもだし……」

「健闘を祈りますよ」


茨木童子、牛鬼、温羅、鬼道丸の後押しを受けた酒呑童子は声高らかに「ボク、頑張っちゃいまーす!」と返事をして立ち上がると、スキップで閻魔殿を後にした。そして、去り際に不敵な笑みを浮かべながら呟いた。



「待っててよ、美影ちゃん」




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