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ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

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第46話 妖精の妹(……え?)

「ふぅー……はーっ……」


「……何をしているんです?」


 ゲートの前で俺は深呼吸をしていた。

 俺は人生で一番緊張していたのだ。当然だろう、今まで女子を家に連れてきたこと何て無かったんだから。


 落ち着け、落ち着くんだ俺。


 何もやましいことはないぞ、うん、そうだ。


 よし、いくぞ。ファイ、オー!


「……じゃ、いくか」


「は、はい」


 白亜のゲートに飛び込み、着いたのは自宅の自室。

 出発したのがここだから、自動的に帰還先もここになったのだろう。


 だが、今だけはそれがマズい方に働いた。


「って、ええ⁉ 兄さん⁉」


「ゆ、優也⁉ お前、俺の部屋で何して――――――」


「掃除してたんだよ! 丸一日帰ってこなかったんだから……ていうかその穴? なに⁉ いったいどうなってんの⁉」


「いやぁ、説明にはちーと時間がかかるんだ。ちょいと待っててくれ」


「うん……うん?」


 ゲートの先にいた優也は俺の部屋を掃除してくれていたようだ、本当に出来た弟である。

 まあ、ゲートに驚くのは当然か。


 ……こっからどーやって説明しよっかなぁー。


「あ、あの……もう出ていいですか?」


「へっ」


「え、誰この声……女子?」


「あ、ちょ、待ってフィリア! 今出てくるとややこい! 物凄くややこしくなる!」


「はい?」


「おっとっと⁉」


 遅かった。


 軽快に飛び出してくるフィリアを受け止め、ダラダラと流れてくる汗を感じながら弟の方を見ると――――――。


「え、あ、うん? 兄さん、と女子が、抱き合って、え? うん? ……ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーーっっ⁉」


「う、うるさ! 優也落ち着け、頼むから落ち着いてくれ!」


「み、耳がキーンとします……」


 優也の声は家中に響き渡った。ああ、母さんも来そう。


 地獄。説明地獄。


「わ、悪いなフィリア……」


「いえっ、大丈夫ですよ……」


 耳を抑える妖精の顔はどこか赤かった。エルフの耳は良さそうだからな、人間より繊細なのだろう。


 まったく、どうしてこうなった。


 ≫……ちっ。


 ◇◇◇


「それで? 説明してくれるかしら?」


「あの、えっと……そのですね」


「説明してもらうよ兄さん!」


 俺は今、リビングで尋問されています。

 正座させられて足が痺れそうです、というかもう痺れてます!


 優也にリビングへと連行され、母さんも参戦してきたんだ。


 二対一……無理じゃん。


「じ、実は――――――」


 モノスンゴイ眼で睨まれ、結局素直に全部話すことにした。


 怖いって、ホントに。オーガかよ。


「……ということがありまして」


 話終わり二人の顔を窺うと……?


「「はぁーっ……」」


 さっすが親子!


 息ぴったりだねぇ!


「まーた兄さんが面倒引っ張ってきたよ」


「ホントにねぇ、多いのよ玲真は」


「いやー、それほどでも」


「「褒めてない!」」


 おっと、お決まりのツッコミいただきました。


「それで、ダンジョンやらボスやらを攻略したら異世界に着いて、フィリアと出会って助けて帰ってきたというワケですよぉ~」


「なにがそれでとワケなのかサッパリ分かんない! 何だよゲートとかダンジョンとか……ファンタジーじゃん!」


「魔法時代にそれを言う?」


「そうだけどさ! モンスターとかは意味分かんない!」


 まあ優也の言い分はもっともである。本当にごもっとも。

 俺だって結構焦って、死にかけて、気が付いたらああなってた。


 どうなってんだよ。


「……それに、僕が一番怒ってるのはそこじゃなくて」


「そうね、私のそっちで怒ってるわ」


「えっ、何?」


「「なんでそんな危ないとこに一人で行ってる!」」


「あ」


 これはマズい。これは土下座案件だわ。


「……ごめん」


「「分かればよろしい」」


「……」


 ホントに似てるなぁ。今まで散々優也は母さん似だと思ってきたが、ここまでとはな。


 フィリアなんかこの状況を見て唖然としちゃってるよ。


「……ま、それは置いといて」


「……フィリアちゃん、だったわね」


「は、はいっ!」


 二人はフィリアの方を見る。

 彼女は俺の隣でちょこんと座っていた。可愛らしいことだが、最低でも百歳以上なんだよなこの人。


 うん、エルフすげー。


「事情は大体分かったわ。……よく頑張ったわね」


 母さんがそう言って頭を撫でると、フィリアはポタポタと涙を流した。

 俺の時とは違う。これは、母さんの優しさに触れたから出てきたんだろう。


 やっぱり、会わせたのは間違いなんかじゃなかった。


「う、うぅっ……」


「いいのよ、いっぱい泣いて。私が受けとめてあげるから」


「うっ、ぐすっ……うぅっ……」


「……兄さん」


「あ?」


 優也が小声で耳打ちしてきたのは、俺も考えていた内容。


「この人、百歳超えてるんだよね?」


「……らしい」


「だけど、さ……僕にはどうしても、ユナと重なって見えちゃうんだよね」


「……!」


 やっぱり、双子だなぁ。

 見た目や性格が似てなくても、こういうとこはおんなじだ。


 ……そうだよな。


「……ああ、俺もそう思ってた」


「やっぱり?」


「年上の妹みたいだよな」


「たしかに!」



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