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ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

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第21話 カーテンコール

 攻略連合軍が第一層ボス戦に突撃した頃。


 黒いロングコートを羽織った剣士MAOはGAIAに会うためとある喫茶店へ訪れていた。


 ◇◇◇


「いらっしゃーい」


「ガイア、いる?」


「奥の席にいますよー」


「ありがとう」


 店員に案内され、その席に座る。

 尖った赤い髪、同色の瞳が目立つ大剣士、ガイア。


 俺が共に戦う剣士だ。


「よっ、ガイア」


「マオじゃねぇか!」


 先日、ホワイト・ガーデンにフレンドリストを見られたとかで泣きついてきた男だが、実力は保証できる。

 というより、対人よりモンスター相手の方が力を発揮できる男なのだ。


「…………で、どうしたよこんな店に来て」


「ガイア―――行かないか、ボス戦」


「どうしたいきなり。オメェあいつが倒されてもいいつってたじゃねぇか」


「ああ、俺もそう思ってた。でも……さっき、知り合いに言われたんだ」


「知り合い? ああ、前に言ってた女の子か。で?」


 そうだ、俺達はゲーマーだ。


「頑張って楽しめって、さ」


「…………」


 俺達はどうしてこの世界に潜るのだろうか。


 簡単な話だ、この世界が現実より楽しいからに決まっている。


 なら、その楽しみを自ら投げ捨てるというのはいかがなものか。


 真のゲーマーなら、戦いを執るのではなかろうか!


「行こうぜ、リベンジマッチ。

 俺達が一度負けたアイツに、もう一度……。――――――やってやろうぜ、漁夫の利!」


「…………ハッ、そんなに誇れねぇよ。漁夫の利、か。

 なぁ、マオ……俺たちは、プレイヤー……なんだよな」


「そうだな、それは絶対に変わらない」


「プレイヤーの意味は、遊ぶ者っつーらしい。ノッたぜ、マオ。

 サァ、ゲームの時間といこうか!」


「…………おう!」


 遊ぶ心、俺達は大切なものを忘れかけていた。


 俺達はゲーマーで、プレイヤーだ。


 ◇◇◇


「ハガネ!」


「承知した! 剣技、【裂空】!」


 抜刀術。鞘走りによって隠された斬撃は、ボスの指を一本切断した。


「左手……これで盾が持ちにくくなったはず!」


「ポーションはそれぞれあと一回が精々だ!」


「…………これは最悪、特攻しましょうか」


 アリスがそう提案する。

 それはゲームの戦術としてはありきたりで、ありふれたもの。

 誰もがコンティニューを繰り返して戦略を練る――――――。


「だが、それは最後の手段だ」


 しかしこの世界ではまったく意味が異なる。

 リアルな死亡体験は、少なからず精神にダメージを与えるのだ。その状況で合流しても、足手纏いになるのが目に見えている。


「なら、どうしますか……ここで負けて、もう一度やり直しますか⁉」


「…………それは勘弁だな。私たちにも、意地がある。負けたくないんだよ!」


「同じく」


「俺もだぜェ!」


 リーダーたちの意志が今、本当の意味で重なった。


 だが、それで状況が変わるわけではない。この世界はゲームで、あくまで現実の話。


 奇跡など、早々起こるものではないのだ。


 ――――――それでも。


「負けたくないという意志があるなら、まだ戦えます!」


 スノーホワイトの一言が、連合を鼓舞する。それぞれが剣を握り、槍を構え、盾を持つ。


 たとえこの世界が作り物でも。今思うこの気持ちは、決して――――――!


「偽物なんかじゃない……!」


 スノーホワイトの槍がピンクの光を纏った。

 片手槍技、《ヴィクトリー》。勝利の名を冠する一撃は、ボスの盾を貫通した。


「やった……!」


「今だ!」


 その一撃を機に、連合は息を吹き返す。

 

 奇跡は起きなくても、希望ならある。


『グゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――ッッッ!!!!!!!!!』


 だが、《グレイコボルト・アークナイト》もまだ生きている。


 AIによる学習で連合の行動パターンを解析し、より良い動きを取って。


「なんだっ⁉」


咆哮(ハウル)……!」


 しかもそれは、行動制限のデバフを含んでいた。


『グルァアアアア!!!!』


「きゃっ……」


 スノーホワイトに狙いを定めたボスは、まず彼女の槍を吹き飛ばした。


 そして――――――。


「だめっ!」


「こっちだ馬鹿犬!」


「こちらを向け!」


 大剣を両手で構え、最上段へと振り上げたボスを見て、スノーホワイトは僅かに死を実感した。


 本当に死ぬわけではない。


 だが、その恐怖は……リアルだった。


「いやっ…………!」


 思わず目を閉じ、拒絶することしか出来ない。そんな彼女を救う方法は、たった一つ。


『グガっ…………⁉』


「ぇ……?」


「ギリギリセーフ、って感じかな?」


 ハクバノオウジサマの登場だ。

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