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25わ

警戒していなかった子供の足音。

人間と同じような皮膚に紫色の目をした彼は、頭に生えている角を帽子で隠していた。


敵対している魔人の子だ、とレアは気づいた。


向こうの、何も知らない子どもだ。


「レアッ!」


どん、と男は彼女を突き飛ばし。


「なっ」


行き場を失ったナイフは、ずぶり、と男の肉体を貫き、侵入していく。


「お前……」


魔人の少年は、慣れた手つきで突き刺したナイフを逆手に持ち変えて、そのまま力一杯、薙ぎ払った。


仕留めた、と判断したか、魔人はニヤリと笑みを浮かべた。


「……やりやがったな、このガキ」


魔人の笑みは、一睨みの殺気で消え失せた。


「…ひっ」


小さく悲鳴を上げて、魔人がそこから離れようと飛び下がる。


その上に覆い被さるように、少女は距離を詰めた。

握り拳を作り、それを魔人へと、力一杯振りかぶる。


「待っ……」


大人たちとの訓練に慣れていた魔族の少年は、待って、と言いそうになり、途中で止めた。

待ってもらえるわけがない。


せめて両腕で、情けなくも顔を庇い、ぎゅっと目を瞑る。


「…クソが」


鉄拳が少年を襲った。

少年は弾けるように地面を転がり、瓦礫の山に身を打ちつける。


「はぁ、はぁ……っ!」


手から血が溢れるほど強く拳を握りしめ、レアは少年へ殺意を剥き出しにした目を向ける。


少年はぐったりとして、立ち上がらない。


「おい、しっかりしろ、おい!」


近くにいた人たちが、男を手当てしようとしていた。

しかし、手の施しようがないと見て取れる。


「はぁ、はぁっ、はっ……っ」


レアは混乱していた。

男の腹は裂かれている。

胴体が、曲がってはいけない方向に捻れている。


助かるわけがない、のに。


「回復魔法は、なぁ。回復魔法をかけてやってくれよ」


彼女は傷の癒やし方を、人に頼むことでしか知らない。


「誰でもいからさぁ……頼むよ」


しかし、周りにいる人々は、一斉に首を横に振る。


歯を食いしばり、少女は天に向かってこう叫ぶ。


「誰か!誰か白魔道士は、白魔道士はいないのかー!」

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