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5.生徒会って夢の国でしたっけ

珀玲学園生徒会。


学園の華とも呼ばれている生徒会。今の時点では、会長、副会長、会計、書記の4人で構成されています。


珀玲学園の生徒会役員は、超ハイスペックな方たちの集まりとしても有名です。


4人とも全員それぞれに長けた部分を持っており、それゆえ全生徒の憧れの的でもあります。


この学校をまとめ上げ、常に先頭に立つ。


そんな、誰もが羨むようなその生徒会。


……というのは前置きであり、今回大事なのはそこではありません。


そう、皆さん、お気付きではないでしょうか。


一般的な生徒会は会長、副会長、会計、書記、広報、庶務の主に6つの役職で構成されます。


ですが現生徒会は4人、つまり広報と庶務に空きが出ているというわけです。


つまり現状、この学園の生徒会には人数的にはふたり足りていないということになります。


人手が足りていないその理由は明確にはわかりませんが……。


ここからが本題なのですが、


……なぜ目の前には生徒会役員フルメンバーがいて、


なぜ私と刻都くんは生徒会室に連れ込まれたのでしょうか?


____________________


時は数分前に遡ります。


学園祭準備のために必要なものを取りに刻都くんと生徒会室の隣にある部屋へ行き、物を回収していた時。



「うーん、これは必要でしょうか?」

「これはいらないんじゃないか?とりあえず今必要なものはもう揃ってるし」



刻都くんが言うなら大丈夫そうですね。


戦利品を手に持って脚立を降りようとすると、不意に足元がぐらつく。



「わっ」

「おいっ」



咄嗟に刻都くんが支えてくれて、特に怪我などはなかったのですが…。


(え?なんで今いわゆる「ラブコメイベント」とやらが起きたのでしょう?)


この状況に出来事に思わずそんなことを考えてしまいます。


私って意外とオタクなんでしょうね……。



「危ないな、気をつけろ」

「そうですね、気を付けます……。ありがとうございます」

「ん」



結局ラブコメなのかいまいちわからないですけどね。


そんなこんなで用事を済ませ、最後に確認をする。


ここに来る前に書いた要るものリストを見ながら、手に持っているものをチェックする。



「うん、全部揃っています。問題ないですね」

「はいよ」



動かしたものをテキパキと片し、部屋を出ようとする……と。



「ふたりともなかなか手際が良いですね〜」

「「?!」」



いつの間にか開いていたドアの方から声がし、ぱっと振り向くと、



「憂衣のわりにはちゃんとした方を見つけたじゃないですか」

「もうっ、失礼ね〜!私だってちゃんと仕事してるわよ〜!」

「生徒会長と副会長は本当に仲良しだね……」

「とりあえず戻りましょうよ皆さん……」



続々と表したその面子は、


生徒会長、神楽憂衣(かぐらうれい)、


副会長、紫苑菜琉(しおんなる)、


書記、水瀬(みなせ)ういな、


会計、水瀬(みなせ)ると、


豪華すぎる生徒会メンバーです。


……うん、なぜここにいるのでしょう?


生徒会室の隣の部屋だから仕方ないのかもしれませんが……。


「はい、憂衣、本題。早く言わないと逃げられますよ」

「あっ、そうでした〜。では、おふたりさん。生徒会に入っていただけませんか?」

「……え?」



____________________


そして今に至ります。


生徒会メンバーに会ったと思えば勧誘、ですか。


まさかの事態です。


流石に想像はできませんね。


……ええ、それくらい混乱しているのです。



「えっと、順序立てて話していただけますか?」

「あら、そうでした〜。確かにこんなふうに言われても混乱しちゃうわよね〜」

「とりあえず生徒会室に戻りましょうってば……だから言ったでしょうに」

「ると、ありがとう。はあ……生徒会長がこんなんでいいんですか?あ、おふたりさんも、ぜひ生徒会室に」



呆れたように言う水瀬さん……の、るとと呼ばれた男子の方と、副会長がそう言います。


少し困ったような刻都くんと顔を見合わせ、


「「わかりました」」



____________________


生徒会室。



「ちょっと待ってね〜、今お茶を淹れるから」

「あっありがとうございます、わざわざ」



しばらくすると、生徒会室の一角にある小さなキッチンから、ふんわりと紅茶のいい香りが部屋中に広がってきました。


ふむふむ、生徒会ではお茶も嗜むようですね。なんて素晴らしい!


部屋を見渡すと、きっちりと棚に物が揃えられている……横に、可愛らしいぬいぐるみが。


それも、ところどころに。



「生徒会室にはぬいぐるみがたくさん置いてあるんですね」

「ああ、これは憂衣……生徒会長の趣味で。なにかと出掛けては、その度にこういったぬいぐるみを買ってくるんです」

「夢の国かここは」



刻都くんが心からといったようにぽつりと漏らす。


ふふっ、確かに夢の国みたいです。


そうこうしている間に、生徒会長が淹れた紅茶が出来上がる。



「はい、どうぞ〜」

「「ありがとうございます」」



カップを手に取り、紅茶をいただく。


お、これはまさに絶品。


生徒会長は紅茶を淹れるのも得意なようです。



「じゃあ、本題に入りますが……。直球に言うと、今は知っての通り生徒会のメンバーが足りていない状態なんです。今まではこれでも普通に回せていたのですが、学園祭期間に入るにあたって人員が足りなくなりそうなんです」

「そうそう、そうなのよ〜。だけど、足りないからと言って簡単に人を入れるわけにもいかないでしょう?」



確かに足りないからと適当に人を入れていては、生徒会が崩壊しかねないですもんね。


それで……



「私と刻都くんに白羽の矢が立った、と」

「そういうこと!ふたりは学年でも成績がトップクラスだし、クラスや先生からの信頼もある。そこで生徒会に入っていただけないかなと思ったのよ〜」

「なるほど」

「さっき見ていたけれど、仕事の手際もとても良いようだしね〜」



さらりと出てくる褒め言葉になんだかむず痒い気がしつつ、紅茶にまたひとくち。


ちらっと刻都くんを見ると、目が合う。


私と刻都くんが今思っているのは……。


((この状況をどう断れと?))


やんわりと誘っているように見せて、実はしっかりとドアの施錠をしていたりする。


(これは完全に逃がす気がないですね……逃げようという気は毛頭ないですけれど)


このお誘いを受ける理由もないし、かと言って断る理由もないわけで。


うーん、どうするべきなのでしょう?



「全然無理にやらせる気はないですが、こうやって誘っているのもふたりの力量を見てのことですから。それにこの生徒会もなかなか面白いですよ」



そういう副会長の目がすいーっと移動。


その先では、



「あれっそういや会長、この前の学園祭使用費帳簿確認したらかなり大幅に使える費用を増やしてたけど、あんなに増やしてどうするの?」

「そんなの決まってるじゃない、もっともっと楽しい学園祭にするために、イベントや食事の屋台を増やすのよ〜!どーんとね!」

「いやいや会長、それやったら普通に予算オーバーだからね? うちの金庫を破壊する気?僕そんなことで先生とやり合いたくないからね!?」

「はいは〜い」



……。



「……こんな感じだから。まあ、その分苦労は多いけどね……」

「た、大変ですね……」

「生徒会のイメージがかなり、違う、けど」



刻都くんが驚き半分疑問半分な様子。


うん、それに関しては私も同感です。


でも、やってみたら意外と楽しいかもしれません。



「わかりました。私はお誘いを受けようと思います」

「……俺も受けます。悪くはないかなと思ったので」

「わあっ、ふたりともありがとう……!じゃあ早速だけど、委嘱状に書き込みをお願い」

「「了解です」」



……うん、案外さらっと終わりましたね。


こうやってすぐに人の懐に入り込めるのもこの生徒会の強みなのかもしれないです。



第5話(終)

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