七話め ヤウザ士官学校です!
私は新しい制服があんまり好きじゃない。
内務局の制服も、事務所で着るくらいだったのだが、あれも頑張って慣らした。
今着ている赤軍の制服も慣らそうと思ったのだが、皴を作っちゃいけないらしい。
さて、私は今赤軍の制服を着ている。
深く被った帽子のつばの先には、同様の制服を着ている人たちが数えきれないほどだ。
襟章の赤が目にちらつく。これは歩兵科を意味している。
寮からここまでで砲兵科と工兵科の襟章も見た。
そう現在ヤウザ士官学校の入学式が行われている。
「プレブレーニエが生まれて約十年、ここが生まれ変わってからはもう五年も経った。皇帝の支配を終わらせたのは我々人民の軍であった。そして諸君らはその軍に籍を置くことになる。人民と豊かなプレブレーニエの土地を守るのだ」
校長の長い言葉というのは、どうやら定番らしい。
私は初めての学校であるからそれが確かかは知らない。
ところで、私は今校長の姿を見れていない。
というのも、周りの人たちの身長が高いのである。
彼らは一七か、それ以上だろう。
一二歳になったばかりの私とは遠く離れている。
やっと校長の話が終わったところで、また別な声が聞こえてきた。
宣誓と叫ぶ声は優秀生徒のものだろう。
試験自体は中々簡単なものだった。
しかし、どうやら満点は逃したらしい。
それにしても退屈だった。
長々とした宣誓は、最初は面白くても飽きてきてしまう。
制帽の先では、これから同輩になる人達が興味深そうに聞いている。
しかし、この中に何人敵がいるのだろうと思う。
ヤウザ士官学校には党の敵がいる。このように語ったのはカレーニンさんだった。
どうやら他国と通じているか、通じる可能性のある分子が多いそうだ。
これから士官になって偉い立場になるというのに、本当に愚かだと思う。
汚い人は排除されてしかるべきだろう。
*
第一学年の教室は幾つかあるようで、私は第一組に振り分けられた。
この組が小隊に相当すると言ったのはルーム教官だった。
密かに周りを見渡すと、やっぱり知らない人ばかりだ。
早く馴染めるように努力を要するだろう。
でないと仕事が完遂できないのだ。
「アンナ・ヴロンスキーです。よろしくお願いします!」
やっと色んなことが終わり、分隊で集まったところで元気を振り絞った。
第二分隊の隊員は私を含めて五名である。
少ないように思われるが、そもそもが幹部候補生だから総数が少ないらしい。
「マルファ・ブルドフです。よろしくね」
このように返したのはもう一人の女性だった。
彼女はとてもふわふわとした印象を受けた。
いうなれば新雪みたいな感じである。
他の男衆一人を除いては何だか胡乱な目を向けてくる。
慣れあうつもりはないという様子だ。
「ぼくはケーレル・イヴォルギンだよ」
これは胡乱な目を向けてこなかった男性である。
私よりも幾分も高い身長の彼は、楽し気に握手を求めてきた。
「いやあ、中々驚きだよ。君みたいな小さな子が受かるなんてね」
「そうですかね。頑張った甲斐かもです」
というのも、入学成績としては成績優秀者の一人だと聞いてる。
筆記試験は記憶の彼に頼ったりもしたが、体力試験は実力である。
これもカレーニンさんのおかげだ。
……ふと思ったが、この優秀さをアピールしたら褒めて貰えるかもしれない。
「君って学力試験が良かった口?」
「学力の方はどうでしょうかね。満点は逃しちゃいましたし」
そう話しているうちに、残りの二人の人たちは帰ってしまったようだ。
もう初日は終わったが、いささか性急なことである。
彼らが私達と関わるつもりがないのか、あるいは何かやましいことがあるのか。
「満点取れそうだったの? 凄いね、ヴロンスキーちゃん」
「あんまりですよ。あっ、あとアンナで大丈夫です」
「じゃあ私もマルファって呼んでね」
はい、と頷きながらも今後のことを考えていた。
一先ず私はここで立場を確保しないといけない、と。
連載再開というわけではないですが、ストックを吐きます。
少々時間がなくて、できてる分は出しておこうという気になりました。




