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第49話 カミングアウトしちゃえ

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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 今日1日、朝から夜までずっと歩き続けた。

 足がひどく痛むが、野宿なので休んでいる時も靴を脱げない。

 ウィルは「ヴィヴィ、靴を脱いでもいいですよ」と言うけど、すぐ動けないのは不安だもん。

 朝から夜までの間、何回か休憩を挟み、そのたびに靴を脱いでHP回復ポーションで疲労と靴擦れを治しながら歩いてきた。

 このHP回復ポーションはLV2と教えてもらった。

 レンギア城で神斗に使った物より色が薄い。


「なるほど。色の濃淡で見極めるのか!」

「ヴィヴィは、詐欺に引っかかりそうですね。魔法を使うようになったら大丈夫でしょうが……」

「魔法……」


 MPたんまりあるのに使えないやつ……。


 濃淡で見極めてはいかないHP回復ポーションで治し、だましだまし歩き続けてきた!

 過酷!!


 この数日間、様々な出来事がありすぎた。

 どうなるか不安だったけど、昼間の穏やかさに心が癒され、逃亡はもう頭の隅に追いやられてしまった。

 今の状況が実は一番望んでいた形になってるんじゃないだろうか。

 

「これは、旅!!」


 私は腕を広げて、満天の星が輝く夜空を見上げながら叫んだ。


「どうしたの? ヴィヴィオラ。何? 旅って。ンフフ」

「考えてみてよ! 遠征中に逃げることを考えていたけどさ。実際ウィルから逃げれると思ってた? あ、その時はロング副団長ね」

「逃がしませんけどね」

「怖っ……確かに無理だったよなぁ」


 肩をすくめた神斗は、焚火の炎をじっと見つめている。

 夕食の片づけを終えた私たちは、焚火の前でゆったりとしたひとときを過ごしていた。

 炎がぱちぱちと心地よい音を立て、温かい光がみんなの顔を照らす。

 ちなみに夕食は、香ばしいチキンチキンのソテー・チーズがけと新鮮なサラダ、パンとワイン。

 香ばしい香りとジューシーな肉がたまらなく美味しかった!

 あれ? 神斗は何歳だっけ?

 召喚されたときにステータス確認したよね……確か17歳だったかな。

 この世界では、飲酒の年齢ってどうなってるんだろう。

 城の中でもみんな飲んでいたから、飲酒しても良い年齢なんだと思うけど。

 ウィルは何も言わないし……。


「そうだ、ウィルと神斗。ちょっと話したいことがあるんだ」


 真剣な表情で、私は二人の方に向き直った。

 歩きながら、配信スキルについて話そうと決心していた。

 もう何日も配信をやっていない!

 今日で5日目!

 下手したら、死んだと思われちゃう。

 リスナーに心配をかけていると思うと、胸が痛む。


 焚火に向かって、私は枝をひとつ投げ込んだ。

 枝がパチンと音を立てて燃え上がる。


 配信スキルって、どうやって説明すれば伝わるのかな?

 神斗はともかく、ウィルは理解できないと思う。

 

「実は、私ね、前の世界、日本との関わりが少し今もあって……」


「「……」」


 その言葉に、森の中が一瞬静寂に包まれた。

 やだ、静か!

 ウィルは黙って聞いており、神斗は頭を掻きながら考え込んでいる。


「ヴィヴィオラ、もうちょっと具体的に」

「うん、実はね。私、日本では配信者だったの。有名じゃなかったんだけど……この世界に来るときに、配信を続けたいって神様にお願いしたの。それからもう一つお願いしたんだけど、それは置いといて」

「配信者だったの!? 〖ゲーム実況〗とか? 〖雑談〗とか? 〖歌ってみた〗とか?」


 神斗は興味津々に尋ね、目を輝かせている。

 この反応、さては、誰かの熱心なリスナーだな?


「……」


 ウィルはやはり理解ができないのだろうなぁ、困惑した表情を浮かべ、手を組んでじっと動きを止めている。

 何か言いたげだが、言葉が見つからない様子だ。


「うん、難しいよね。う~ん、この世界にも劇、オペラとかお芝居、そんなものないかな? 私がやっていたのはそれと少し違うんだけど、娯楽を提供する人だったわけ」


 この世界にありそうなものを想像しながら、なんとか説明しようと試みた。


「オペラ、演劇ありますよ」

「へぇ~、観たい!」

「落ち着いたら一緒に観に行きましょう」


 どんなオペラが上演されているんだろう。

 あぁ……話が脱線してしまった。

 ふと我に返り、元の話題に戻す。


「その観客の前で話をしたり、朗読劇をしていたと思ってもらって」

「歌を歌ってたのですか?」

「私は歌うのは無理だよ。恥ずかしいじゃん」


 私は照れ笑いを浮かべながら言った。


「人前で話してたんでしょ? 恥ずかしいわけないじゃん」


 神斗は悪戯っぽく茶化してくる。

 さては配信者の多くは、陽キャだと思ってるな?


「う……もう! それでね、本当に配信ができるの!」

「ちゃんと願いを聞いてくれたんだね」

「まぁ、ちょっと脅してお願いしたんだけどね」


 ハハハ……と笑う。

 神斗はさすがに理解が早かった。

 そんなこと出来るわけないと否定しないのは、若さゆえの柔軟さかもしれない。


「もしかして、城で姿を消したのはそれが関係してたの?」

「ご名答だよ! あの時は助かりました」


 ウィルはしばらく考え込んでいたが話し始めた。


「それは固有スキルの1種ですね。大概、ジョブに紐づけられてます」

「そーなんだ。私、〖ジョブ???〗なんだよね。そのジョブの固有スキルが〖配信〗となるのか。神斗は固有スキルあるの?」

「うん、あるよ。〖勇者の慈悲〗ってスキル」

「慈悲……。慈悲を与えるようなスキルかぁ。想像もつかない! 悪を見逃すとか?」

「見逃しちゃダメでしょ。でも、あまり使う状況になりたくないスキルだよ」


 神斗が苦笑いする。

 あれ? 神斗はどうして固有スキルがわかるのだろう。

 訓練担当の人に教えてもらったのかな?


「神斗はどうして自分が固有スキルを持ってるって分かったの?」


 神斗は「え?」と驚いた表情で呟き、ウィルの方を見つめた。

 そんなに驚くようなことなの?

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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