第2433話、わたくし、『レプリカ』はラブコメにおいて『最強』だと宣言しますの♡【別パターン案①】
「──やめてよね! 『レプリカ』のくせに、勝手に恋なんかして! 本体である私を置いてきぼりにして、自分だけ『先』に進むつもりなの⁉」
完全に家に引きこもって、アニメばかり見ていたら、今期の『春作品』のうち、何と『レプ○カだって、恋をする。』と言う作品において、自分の『レプリカ』である『ナ○』が、自分に黙って学校で勝手に恋人をつくって、授業をサボってデートしたりと、やりたい放題しておきながら、自分にまったく報告していなかったことが判明したのである。
自分の言うことをただ素直に聞くだけの、単なる『複製体』と思っていた『ナ○』が、しっかりと自我を持ち、自分にできないことを平然と行い始めたことに、『本体』としては焦りを隠せなかった。
「あなたは『レプリカ』らしく、私の命令通りに、私の代役を務めていればいいの! 私がしたくてもできないことをするなんて、おこがましいにも程が有るのよ!」
「……ふう〜ん、『したくてもできなこと』ねえ。──ったく、やっと言えたじゃない☆」
「え」
憤激のあまり怒鳴りつけたと言うのに、当の『レプリカ』のほうは、萎縮も反発もせずに、なぜか苦笑気味の笑みすら浮かべていたのである。
「な、何? 『やっと言えた』、って……」
「──ずっと待っていたのよ、あなたに自我が芽生えて、前向きな『欲望』に正直になることを」
「はい?………………………って、はああああああああ⁉ それって、どういうことよ⁉ 『自我が芽生えた』って、そんなもの最初から有るわよ! 『レプリカ』でもあるまいし!」
「やれやれ、やっぱり気がついていなかったのね」
「な、何がよ⁉」
「『レプリカ』なのは、私では無く、あなたのほうだと言うことよ」
「は?」
「……いや、何を『とんでもない真実を聞いてしまったッ⁉』てな顔をして、呆然としているのよ? ちょっと考えれば、わかることでしょ?」
「か、考えれば、わかる、って……」
「学校に行っているのも私だし、部活動をしているのも私だし、普通にクラスメイトたちと会話して良好な関係を築いているのも私だし、こうして恋人さえつくって、学校をサボってデートしたりしていると言う、青春まっただ中の『ラノベのメインヒロイン』そのものなのも、私のほうじゃ無いの」
「──うッ⁉」
「それに比べて、あなたのほうときたら、学校自体に行かないので当然クラブ活動もしていないから、幼馴染みのり○ちゃんとも完全に疎遠になっているし、他のクラスメイトを始めとして、友達なんて一人もいないし、恋人づくりなんて夢のまた夢だし、そもそも外出自体ほとんどしていない、完全な『引きこもり』じゃん?」
「──ううッ⁉」
「……いや、これってどう考えても、私のほうが『本体』で、あなたのほうが『複製体』よね? どこからどう見ても、『人生をエンジョイしている普通の女子高生』と、『完全に実社会からドロップアウトした引きこもり』では、『メインヒロイン』としては、私のほうに軍配が挙がるでしょうよ」
「──うううッ⁉」
「て言うか、おかしいとは思わなかったの? 10年近くも、ほとんど学校も行かずに、引きこもっていられるなんて、普通できないでしょうが?」
「そ、それは、ナ○が代わりに、学校に行ってくれていたからで──」
「いやそもそもさあ、お父さんやお母さんが、『あなたのこと』に、何一つ文句を言わなかったのは、なぜだと思うの?」
「『私のこと』、って……」
「娘が学校も行かず、ずっと引きこもっていて、何もせずに放置している親なんて、いるはず無いでしょうが?」
「あ」
「それよりも何よりも、娘が『二人に増えた』のに、どうして驚きも騒ぎもしないわけ?」
「──ああっ、言われてみれば、その通りじゃん⁉ どうしてなんだろ⁉」
「そりゃあ当然、お父さんたちには、あなたなんて、『見えなかった』からよ」
「は?」
「あなたは──『レプリカ』と言うものは、あくまでも『精神体が分離』したようなモノであり、厳密に言えば『実体』が無く、本体である私以外には、姿も見えないし、声も聞こえないわけ」
「──何と私って、あなたにとっての、いわゆる『イマジナリーフレンド』みたいなモノだったの⁉」
「どちらかと言うと、今期春アニメ仲間である、『黄泉のツ○イ』のツ○イみたいなものじゃないの? あれも契約者や、自分もツ○イを持っている者にしか、見えないことになっているんだし、レプリカの本体や、他のレプリカ持ちにしか、レプリカが見えないと言う本作と、丸被りじゃん」
「……私って、『ツ○イ』だったの?」
「そうじゃ無いなら、この【突発短編】シリーズでお馴染みの、『妖精さん』かしら。本来実態の無い『魔法物質マナ』で構成されているけど、妖精から選ばれし『魔法使い』なら、『人格の有る妖精』として見えるらしいし」
「──『ツ○イ』どころか、もっと『メルヘン』な存在だったわけえ⁉」
「やはり春アニメで言えば、『神の庭付き楠○邸』の山神さんや四霊や風神や雷神や悪霊等も、お仲間だったりして」
「──ついに人のこと、『オカルト』扱いし始めやがった⁉」
「……いや、むしろ『レプリカ』なんて、完全に『オカルト』の範疇じゃん? 『ドッペルゲンガー』とか、そのまんまだし」
「──うぐぅツ⁉」
「つまり、あなたは私がかつて捨て去った、『ネガティブな私』が独立して、『妖精化』したみたいなモノなのよ」
「……『ネガティブな私』、って」
「私たちが『分裂』したのって、10年ほど前に、幼馴染みのり○ちゃんとケンカした時でしょう? あの時仲直りしていないと、彼女との仲はそれっきりになりかねなかったけど、子供ながらの『ネガティブ』さゆえに、素直に謝れなくてグズグズしていたんだけど、『──こんなことじゃな駄目だ!』と一念発起した時、何と自分の『ネガティブ』な部分が切り離されて、『あなた』と言う『レプリカ』が生み出されたわけ」
「──ッ」
「それから先のことは、言う必要が無いわよね? 『ネガティブ』な部分を切り離した私は、それまで以上に『ポジティブ』になって、学校生活も家族関係も大いに順調になり、今や意中の彼さえもGETできたわ。──それもこれもすべては、あなたと言う『レプリカ』が独立してくれたお陰よ、どうもありがとうね♡」
「ふ、ふん、それは良かったわね。つまり私なんて、あなたにとっても、この世界にとっても、『要らない存在』ってわけじゃない。これからも『ポジティブな私』だけで、存分に人生を謳歌すればいいわ!」
そのように『レプリカ』のほうが、文字通りに『ネガティブ』そのまんまのことを言い放った、
まさにその時であった。
「──そう言うわけにもいかないのよ。『あなた』も間違いなく『私』であり、人は『ポジティブな部分』だけでは無く、『ネガティブな部分』も、生きていくためには必要なの」
「へ?」
「だから言ったでしょ、『待っていた』と。あなたが、私が『レプリカ』を装って逐一あなたに報告していた、『楽しい学園生活』に対して、『うらやましい』と思い、自分も他人と繋がって『ポジティブ』に生きていきたいと思ってくれるのを、ずっと待っていたわけ」
「──‼」
「さあ、今こそ一つに戻りましょう! 私たちは一つになってこそ、本当の『愛川素○』になれるのよ!」
「で、でも、私と一緒になったら、あなたも『ネガティブ』になってしまうのよ⁉」
「それくらいで丁度いいのよ。あの『アニメ版のナ○』って、ホント、見てられないわよ。何あの『恋の暴走列車』状態は? あれが『人から見た自分の姿』なんて、うんざりするわ。あんな『色ボケJK』でいるくらいなら、少々ネガティブになったほうがましよ」
「──いや、【原作アニメ版】をディスるのは、やめろよ⁉ 気持ちはわかるけどッ!」
「うん、そうよ、今のはあなたの気持ちを代弁したわけなのw」
「──だから、やめろって⁉」
「あなたにとっては、あんな『色情魔』みたいな自分は嫌だろうし、私だって『陰キャの引きこもり』の自分なんて嫌だわ。──でも、どっちも『私』であることは間違い無く、私たちはお互いをお互いに認めなくてはならないの!」
「──‼」
「だからこれからの私は、『スナ○』でもあり、『ナ○』でもあるべきなの。だって『レプリカ』なんて、最初からいなかったのだから。私は『ネガティブな私』を認めることができずに、切り離してしまったけど、その間違いにようやく気づいたの。あなたも『引きこもり』なんてやめて、私と一緒になって、本当の『愛川素○』に戻りましょう! もちろん、『ネガティブ』な心を取り戻した『私』には、これから嫌なこともたくさんあるでしょう。──でも、『私たち』なら大丈夫よ! だって私たちは、『ポジティブな私』と『ネガティブな私』とで、お互いに自分に至らぬ点を、補っていけるのだから!」




