第百五話、わたくし、ちょい悪令嬢ですの! その3、『死に戻り』①駄目なやつ。
ちょい悪令嬢「──さあ、久方ぶりに、『異世界裁判』のお時間がやってまいりました! もちろん、いつもの量子魔導チャットルームより、いつものメンバーでお送りしておりますけれど、自ら『裁判』を名乗るだけあって、いつもの『反省会』や『座談会』とは、ひと味違いますよ!」
かませ犬「え、これって、前々回あたりから新たに始まったこの、作中作的ショートショート連作形式の、『ちょい悪令嬢』シリーズ内でも行うの?」
ちょい悪令嬢「もちろんです! むしろ本編とは別枠扱いだからこそ、こういった『裁判』コーナーも、思う存分やれるというものですよ!」
メイ道「……いや、こんないかにも危なげなコーナーで張り切って、あえて敵を作らなくても」
ちょい悪令嬢「誰かが、言うべきことを言わなければ、Web小説界は、どんどん堕落していくばかりなのです!」
真王子様「何かいかにも志の高いことを言っているけど、色物コーナーとしか思えないんだよなあ……」
ちょい悪令嬢「色物で、大いに結構! それで読者の皆様がお楽しみくだされば、作り手として本望です!」
ジミー「色物であることを肯定するなんて、公爵令嬢としては、どうなのよ?」
ちょい悪令嬢「今の私は、『公爵令嬢』どころか『悪役令嬢』でもなく、この作中作的ショートショート連作における主人公、『ちょい悪令嬢』に過ぎないから、いいのです!」
妹プリンセス「……それで、肝心の今回の『お題』は、何なのです?」
ちょい悪令嬢「そのものズバリ、『果たして異世界転生系のWeb小説は、このままゲーム脳だけで創り続けてもいいのだろうか?』、です!」
ちょい悪令嬢以外の全員「「「──いやいやいやいや、ちょっと待って⁉」」」
かませ犬「何でいきなり、そんなヤバいネタを取り上げるんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「……え、でも、異世界を舞台にしたWeb作品のほとんど全部が、それぞれの作者様の『ゲーム脳』のみで作成されているのは、『隠しようのない事実』ではありませんか?」
メイ道「そうかも知れなくても! たとえそうであっても! せめて『言い方』くらいは、もう少し考えましょうよ⁉」
ちょい悪令嬢「……う〜ん、例えば、どんなふうに?」
真王子様「そこはやはり、『ゲームのような異世界は、本当に実現可能か?』とか、『ゲームにおける各種ギミックは、異世界において魔法等で再現可能か?』とかだよ!」
ちょい悪令嬢「……ああ、まあ、それでも別に、いいですけど」
ジミー「なんで若干、不服そうなのよ?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、別に私はそれで構いませんよ? 『お題目』がどうあれ、私の『容赦なきツッコミ気質』が変わるわけではありませんから」
妹プリンセス「いや、むしろまずそこを変えましょうよ⁉ ……まあ、それはともかくとして、一口にゲーム的ギミックと言っても、いろいろとありますけど、今回は特に何を取り上げるおつもりで?」
ちょい悪令嬢「ええ、実は以前も何度か話題に上がったことのある、皆さんよくご存じの『死に戻り』について、今回改めて語り合っていきたいかと思っております♡」
ちょい悪令嬢以外の全員「「「──よりによって、それかよ⁉」」」
かませ犬「……いやまあ、おまえがどうしてもそれにしたいって言うんなら、これ以上とやかく言っても、話が進まないだけだから、文句はつけないがよ、あくまでも『質問』という意味において、俺からも聞きたいことがあるんだけど?」
ちょい悪令嬢「はあ、何でしょう?」
かませ犬「『死に戻り』についてのこれまでの見解としては、例の『カミカゼアタック』のケースのように、『ゲンダイニッポン人の精神』が憑依する異世界人を、『死に戻る』つどに文字通り『ゲームの残機』のようにどんどんと使い潰していく、『無限再転生』方式と、まさに本家本元の『リゼ○』類似のケースにおいては、本当に世界が丸ごとループしたりはしておらず、 あくまでも集合的無意識を介して『失敗して命を落とす未来』の映像を、全パターンすべて脳みそに刷り込まれることによって、実際に命を落とすことなく、一度で目的を達成するという、『未来の記憶によるリスク回避』方式の、二つを挙げていたよなあ?」
ちょい悪令嬢「ええ、そうですけど」
かませ犬「だけどこれって、第三の方式も考えられないか?」
ちょい悪令嬢「はい?」
かませ犬「いやね、このSS連作と同じように番外編的に、第92話であったじゃないか、やはり無限に異世界転生を繰り返すことによって、事実上『世界をやり直す』って、やつが」
ちょい悪令嬢「ああ、ありましたねえ」
かませ犬「これって、別に『死に戻り』を主題にしたものではなかったけど、作中にも『主人公自身が死んでも、世界をやり直せば生き返ることができる』とか何とかいった記述もあったことだし、むしろこのやり方でこそ、『リゼ○』のような本家本元の『死に戻り』のやり方を再現できるんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「う〜ん、確かに『世界そのもののやり直し』という意味では、同じようなものなんですけどねえ……」
かませ犬「何だ、何か問題でもあるのか?」
ちょい悪令嬢「ぶっちゃけて言うと、両作品においては、肝心の『主人公の在り方』というものが、正反対と言っていいほど、異なっているのですよ」
かませ犬「へ? そんなに違ったっけ」
ちょい悪令嬢「『リゼ○』の主人公さんて、本作の考え方とは大きく異なるとはいえ、それこそ実際に世界をやり直して、実際に自分の身で失敗を繰り返して、命をなくし続けることによって、反省して、学んでいって、努力して、失敗を克服して、最後の最後に勝利をつかみ取っておられるではありませんか?」
かませ犬「ああうん、それが実際に可能かどうかは別だけどな?」
ちょい悪令嬢「可能ですよ? それこそが本作における、『未来の記憶によるリスク回避』方式なのですし。確かにこちらは物理法則上、本当に『死に戻った』わけでも世界をやり直したわけでもありませんが、同じ経験を直接脳みそに刷り込んでいるのですから、実際に体験したのも同然なのです」
かませ犬「……何か、改めて聞いたら、『仮想現実的体験』と言えば聞こえがいいけど、いわゆる一種の『洗脳』とも言えるな、それって」
ちょい悪令嬢「否定はしませんわ♡」
かませ犬「いや、そこは否定しろよ⁉ ──それで、第92話のほうの『世界そのもののやり直し』方式のほうは、どう違うって言うんだよ?」
ちょい悪令嬢「違うどころか、むしろ『正反対』ではないですか? とにかく『甘い』んですよ、そっちのほうは」
かませ犬「……甘い、って?」
ちょい悪令嬢「そちらの主人公は、失敗から何ら学ぶことなく、それゆえまったく努力することもなく、ただ単に一晩眠るだけで、世界のほうが勝手に思い通りになってくれているではありませんか?」
ちょい悪令嬢以外の全員「「「あー」」」
かませ犬「た、確かに、そうだよな」
ちょい悪令嬢「そんなふうに、世界の変化に任せっきりであったからこそ、いつの間にか世界そのものが非現実的なものに変質していることに気づきもせず、自分自身も夢や妄想の存在と成り果ててしまったわけなのですよ」
メイ道「……そりゃあ、何から何まで願望通りの世界なんて、まさしく小説のような創作物以外だったら、夢か妄想の中にしかあり得ませんからね」
ちょい悪令嬢「ええ、世界や女神様なぞといった、超常的存在の『他力本願』にすがり続けていたからこそ、報いを受けたわけなのです」
真王子様「それに比べて、いくらすごいチート能力を与えられたからって、けしてそれに甘んじることなく、自ら努力し続ける『ス○ル君』は、本当にすごいよな」
ちょい悪令嬢「まさに『死に戻り』作品における、理想的主人公と言えるでしょう。さすがはオリジナル♡」
ジミー「……何か今回はやけに、既存の作品全肯定路線だよねえ」
ちょい悪令嬢「別にこの作品は闇雲に、他人様の作品をディスっているわけではないです! 以前にも申しましたけど、たとえ本作と考え方が大きく異なろうとも、その『考え方』におけるオリジナル作品や、革新的切り口を見せて大勢の読者様に認められて大ヒットした作品に対しては、ちゃんと一目置いているのです!」
妹プリンセス「だったら、常日頃からもう少し、当たり障りのない言動をなさっていれば、よろしいのに……」
ちょい悪令嬢「いえいえ、そんな弱腰では、『悪役令嬢』でも『ちょい悪令嬢』でもございません! これからも言うべき事は、けして臆することなく、バンバンと申して参りますよ!」
かませ犬「……いやあ、それに関しては、もう止めるつもりはないけど、結局のところ『死に戻り』に対する裁判は、これで討論終了でいいのか?」
ちょい悪令嬢「あくまでも今回は、かませ犬さんのご質問にお答えしただけですので、むしろ本番はこれからです」
メイ道「とすると、次回は、何を?」
ちょい悪令嬢「そうですね、『死に戻り』における基本中の基本である、『教会での復活』の実現性でも取り上げますか」
真王子様「ああ、なるほど!」
ジミー「確かに主人公が教会で復活するのも、『死に戻り』の一種と言えるわね。……所持金の半分を取られるところとかが、やけに現実じみて、世知辛いけど」
妹プリンセス「まあ、『セーブシステム』だけが、『死に戻り』の原点ではなかったのですね」
ちょい悪令嬢「と言うわけですので、次回の『異世界裁判』は、『教会での復活』について詳細に討議していく予定ですので、読者の皆様におかれましては、どうぞお楽しみに♡」




