↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
106/2559

第百六話、わたくし、ちょい悪令嬢ですの! その4、『死に戻り』②教会での復活。

ちょい悪令嬢「──さて、今日は、聖レーン転生教団聖都ユニセクスにございます、某教会にお邪魔しております!」


アグネス聖下たん「……いや、お邪魔も何も、我が教団の最高機密の秘儀が行われるこの秘密教会に、何で事実上の敵対国であるホワンロン王国の巫女姫である貴様が、当たり前の顔をしてるのじゃ?」


ちょい悪令嬢「細かいことは気にしないでください」


アグネス聖下たん「細かくはないわ、重要案件だわ!」


ちょい悪令嬢「今のわたくしは、ホワンロン王国筆頭公爵家令嬢どころか、『()の巫女姫』でも『悪役令嬢』でもなく、ただの『ちょい悪令嬢』ですので、ノープロブレムです」


アグネス聖下たん「え、そんなんでいいの? そもそも『ちょい悪令嬢』って何?」


ちょい悪令嬢「さあそれでは、解説役に栄えある聖レーン転生教団現教皇であられる、『アグネス聖下たん』をお迎えして、早速今回の『異世界裁判』を開始いたしましょう!」


アグネス聖下たん「だから我のことは『アグネスたん』と呼ぶなと、何度言えばわかるのじゃ! …………ていうか、『異世界裁判』って何?」


ちょい悪令嬢「つまりですね、実はこれは本編ではなく、番外編みたいなものでして、ここで見聞きしたことをホワンロン王国当局に報告したりすることはなく、あくまでも読者の皆様に対する、『設定解説コーナー』みたいなものにすぎませんので、何の心配もいらないのですよ!」


アグネス聖下たん「……またいきなり、メタっぽいことを言い出したのう」


ちょい悪令嬢「番外編ですから」


アグネス聖下たん「番外編だったら、何しても許されるわけじゃないぞ⁉」


ちょい悪令嬢「まあとにかく、今回のお題は、いわゆるRPGゲームなんかでお馴染みの『教会での復活』の、Web小説の異世界転生作品においての実現性についてなんですよ」


アグネス聖下たん「──っ。貴様、どうしてこの教会で行われている、秘儀の具体的内容を知っておるのじゃ⁉」


ちょい悪令嬢「ああ、今回はそういったシリアス展開は要りませんから、軽く流してください」


アグネス聖下たん「か、軽く流せって……」


ちょい悪令嬢「そもそもWeb小説の中で、『教会での復活の儀式』なんかをしようとすること自体が、ゲーム脳そのものじゃないですか?」


アグネス聖下たん「言い方! 何で貴様はいつもいつも、全方面の皆様に対してケンカ腰なんじゃ⁉」


ちょい悪令嬢「いくら剣と魔法のファンタジーワールドといえども、そんな御都合主義的なことが、本当に実現可能なのかを検証するために、こうしてこの秘密教会にお邪魔したって次第なのですよ」


アグネス聖下たん「……ああ、うん、確かにこの教会で行われていることは、ゲームと似たようなものとも言えるがな」


ちょい悪令嬢「というか、そのものズバリでは? やはり転生教団の方も、上層部が『ゲーム脳』であられるとか?」


アグネス聖下たん「だから、言葉を選ばんかい!」


ちょい悪令嬢「つまり『読者サービス』というか、『()()()サービス』を行われておられるのでしょう?」


アグネス聖下たん「……まあな、このようにゲームそのままな体験ができることを『売り文句』にして、『ゲンダイニッポン』から一人でも多くの『転生者』に来てもらうことこそを、目的にしているわけじゃからな」


ちょい悪令嬢「しかし、いくら転生教団さんでも、ゲームのギミックを完全に再現するのは、困難なのでは?」


アグネス聖下たん「ふふん、まさしく()()教団だからこそ、不可能を可能にできるのじゃよ。──いや、それにしても、貴様のほうは、何で今更『教会での復活』なぞという、RPGの初歩の初歩のイベントなんかに注目したわけなのじゃ?」


ちょい悪令嬢「実は現在における『異世界裁判』の審議対象が、いわゆる『死に戻り』なんですが、まさにこの『教会での復活』って、ある意味『死に戻り』の原型のようなものとも言えるではないですか」


アグネス聖下たん「ああ、まあ、そうじゃな。確かに教団における『対処法』も、同じようなものとなっとるしな」


ちょい悪令嬢「……対処法、ですか?」


アグネス聖下たん「まあ、見ていればわかる。──おい、始めるぞ!」




枢機卿全員「「「──はっ、アグネス聖下たんの、仰せのままに!!!」」」




アグネス聖下たん「だから我のことは、『アグネスたん』と呼ぶなと、言っておろうが⁉」




ちょい悪令嬢「まあ、さっきから白いトンガリ帽の全身ローブをまとった、いかにも秘密結社っぽい怪しげな一団がおられるかと思ったら、枢機卿の方々であられたのですか?」


枢機卿全員「「「──もちろん! アグネス聖下たんがおられるところ、()()()()()()、常に我ら枢機卿あり!」」」


アグネス聖下たん「悪質なストーカー集団が、犯行を自供しおった⁉」


ちょい悪令嬢「ほんに聖下は、枢機卿の方々に慕われているのですね。さすがは、ロリアイドル教皇♡」


アグネス聖下たん「何がさすがじゃ! 貴様も我の身になってみろ⁉」


ちょい悪令嬢「……わたくしの取り巻きグループも、同じようなものですよ?」


アグネス聖下たん「そ、そうじゃったな、すまん……」


ちょい悪令嬢「いえいえ、お互い様というものですよ。──さあ、気を取り直して、儀式の具体的な実況に参りましょう!」


アグネス聖下たん「……相変わらず、マイペースなやつじゃな。まあ、これも『ゲンダイニッポン』の『転生者予備軍』に対する宣伝と割り切って、協力してやるか」


ちょい悪令嬢「現在枢機卿の方々がおられる祭壇には、大きな棺が一つだけ置かれていますが、教団が召喚なされた『転生者』の冒険者の方が、この教会からほど近くのダンジョンでお亡くなりになったとの連絡があったのは、ほんのついさっきでしたので、当然中身は空ですよね?」


アグネス聖下たん「まあな、()()()()()()()、と言っておこうか」


ちょい悪令嬢「おっと、さすがは邪教集団の頭目、思わせぶりな台詞が出ました!」


アグネス聖下たん「何が邪教じゃ⁉ れっきとした世界宗教じゃわい!」


ちょい悪令嬢「お、そうこうしているうちに、大勢の方が駆け込んでこられましたよ?」


アグネス聖下たん「あれは、教団が抱えておる、冒険者稼業の信徒たちじゃ」


ちょい悪令嬢「皆さんそれぞれ、結構な大荷物を抱えられていますね。各種の剣等の武器に、各種の鎧等の防具に、後は普通の衣類や食料等の生活用品ですか? まるで冒険者個人の全財産って感じですね」


アグネス聖下たん「まさにそうじゃ。普段身につけている衣類や鎧兜や武器一式に、空間魔法を利用したポータブルの『格納庫』に収納している、予備の鎧兜や武器や生活用品じゃからな」


ちょい悪令嬢「おお、そこら辺もゲーム同様に、便利にできているわけですね? つまりこれら一式は、お亡くなりになった冒険者の所有物ということで?」


アグネス聖下たん「そうじゃ、教団で召喚した冒険者には、もれなく全員にサポートとして、冒険者の教団員がパーティとしてついて回り、不幸にもクエスト途中で亡くなった場合には、こうして装備品を回収してこの教会に届けるシステムとなっておるのじゃ」


ちょい悪令嬢「……何と、ゲームでは一瞬で行われることを、いちいち人手を使って再現しているわけなのですか?」


アグネス聖下たん「まあ、魔法──教団では『法術』と言うのじゃが、それを使ってよりゲームの仕様に似せることもできるのじゃが、人手を使ったほうが取りこぼし等が無く、確実じゃからな」


ちょい悪令嬢「あ、でも、肝心の冒険者のご遺体は、いまだ運び込まれていないようなのですが?」


アグネス聖下たん「まあ、見ておれ、これからが儀式の本番なのじゃ」




ちょい悪令嬢「おおっ、アグネス聖下たんが棺の前に跪き、お祈りを開始しました! 何と尊い! 文字通り尊い! 御年7歳のロリ美少女の聖下が、純白の聖衣に身を包んで瞳を閉じ手を合わせ真摯にお祈りを捧げる様は、まさしく天上の神の御使いが顕現したかのような神々しさ! ──さあ、枢機卿の方々、ご一緒にご唱和を! アグネスたん、ラブラブ♡ アグネスたん、マジ天使♡ ラブラブラブリィ、アグネスたん、ウーアー♡♡♡」




枢機卿全員「「「アグネスたん、ラブラブ♡ アグネスたん、マジ天使♡ ラブラブラブリィ、アグネスたん、ウーアー♡♡♡」」」




アグネス聖下たん「──やかましい! 儀式に集中できぬだろうが⁉」




ちょい悪令嬢&枢機卿全員「「「……怒られちっち」」」




アグネス聖下たん「──よし、儀式は終了じゃ! 目覚めよ、教団が選びし冒険の徒よ!」




ちょい悪令嬢「おおっ、アグネス聖下たんの呼びかけに応じて、空だと思われた棺の蓋が内側から開けられて、何者かが起き上がりました! これは『復活の儀式』成功か⁉」




冒険者(復活)「…………ここは?」




アグネス聖下たん「教団の、いわゆる『復活教会』じゃ。そなたはダンジョン攻略中に魔物に襲われて、命を落としてしまったのだよ」


冒険者(復活)「えっ、俺って死んだの⁉」


アグネス聖下たん「安心せい、それをこの教会で教団の秘儀を使って、生き返らせてやったのじゃ。己の姿を、とくと見てみい」


冒険者(復活)「は? 何で俺、真っ裸なの? ──つうか、女になっているじゃないか⁉ どういうことなんだ、一体!」


アグネス聖下たん「生憎、『受け皿』希望の信者が、その者しかおらなかったのじゃ。おまえとしても、命を取り戻せただけでもめっけものだろうが? 贅沢を言うでない」


冒険者(復活)「……そりゃそうだけどよう。これからは女の身体で、冒険者稼業をやらなければならないのかよ?」


アグネス聖下たん「心配は無用じゃ。その者の剣技は教団指折りじゃし、そなたの前の『憑坐イレモノ』よりも魔導力が強いから、行使できる魔法スキル等も増やせるぞ?」


冒険者(復活)「何だ、それなら話は違うぜ! まあ、女の身体になるのも、たまにはいいだろう。これぞ『TS転生』ってわけだ♡」


アグネス聖下たん「正確には、『()転生』だがな」


冒険者(復活)「この身体ですぐに、ダンジョン潜りなんかはできるのか?」


アグネス聖下たん「いや、新しい身体に感覚を慣れさせるためには、少なくとも四、五日は『慣らし運転』をやっておいたほうがいいじゃろう」


冒険者(復活)「ああ、わかった、そうするよ。いひひ、その間じっくりと、自分の新しい身体を調査しなければなあ♡」


アグネス聖下たん「何でもいいから、とっとと『転生者』用の宿舎に戻って、休むがよい」


冒険者(復活)「へいへい、それで代金として、所持金の半分を収めなきゃならないわけなのか?」


アグネス聖下たん「金に限らずそなたの全財産は、元々教団のほうで支給したものじゃろうが?」


冒険者(復活)「そうでしたそうでした、何から何まで『至れり尽くせり』で、大助かりでございますよ♡」


アグネス聖下たん「それだけそなたたち『転生者』には、期待しているということじゃ。これからも全力をもってクエストに当たるがいい。──『命のスペア』のほうは、心配いらぬからな」


冒険者(復活)「へへっ、頼りにしているぜ、『アグネス聖下たん』♡」


アグネス聖下たん「──っ。こらっ、そなたまで、我のことを、『アグネスたん』呼ぶんじゃない!」


冒険者(復活)「じゃあ、またなあ〜」


アグネス聖下たん「くそっ、どうせ『ゲンダイニッポン』では、ヒキニートの穀潰しじゃったくせに、図に乗りおって」


枢機卿A「しかし聖下、我らの大望を成就させるためには、その『転生者ゴクツブシ』たちの力を借りなくてはならないのですぞ?」


アグネス聖下たん「わかっておる、皆まで言うな!」


枢機卿A「──はっ、出過ぎたまねを!」


ちょい悪令嬢「………あの」


アグネス聖下たん「何じゃ、貴様、まだおったのか?」


ちょい悪令嬢「今のは一体、何なのです?」


アグネス聖下たん「何って、貴様が見たがっていた、『教会での復活』の儀式ではないか?」


ちょい悪令嬢「で、でも、冒険者ご自身のお話では、復活以前とは性別が違っているとか…………これって、別人になってしまったわけですよね? 何で元のご自身の身体で、復活なされないのですか?」




アグネス聖下たん「そりゃそうじゃろう、一度死んだ人間を甦らせることなぞ、魔法を使おうが法術を使おうが、できるわけがないじゃろうが?」




ちょい悪令嬢「えっ⁉ いやでも、それをやるのが、この『復活の儀式』じゃなかったんですか?」


アグネス聖下たん「だから復活させてやったじゃろうが? さっきの儀式は具体的に言うと、ダンジョン内で死んでしまった冒険者の脳みそにインストールされていた、『ゲンダイニッポンからの転生者としての記憶と知識』を、『夢の主体』の代行者である我が、集団的無意識を通じてそっくりそのまま、さっきまで棺の中に収まっていた教団の女性信徒の脳みそに再インストールしたわけなのじゃ。Web小説風に言うと、我の『召喚術士w』としての力を使って、『再転生』させたようなものじゃな」


ちょい悪令嬢「じゃ、じゃあ、それ以前に『転生者』の記憶や知識が宿っていた身体のほうは、どうなさったのです?」


アグネス聖下たん「もちろん今頃ちゃんと回収して、手厚く葬っておることじゃろう」


ちょい悪令嬢「その方も、今の女性の身体の本来の持ち主も、教団の敬虔なる信徒であられるのでしょう? それをあなた方は、教団の都合で、あたかも『ゲームの残機コマ』であるかのように、使い潰しておられるわけですか⁉」


アグネス聖下たん「そうじゃよ? それが何か問題でも?」


ちょい悪令嬢「何か問題って──」




アグネス聖下たん「おいおい、忘れてもらっては困るぞ、我が教団の最大の悲願は、『ゲンダイニッポンからの転生者』とこの世界の人間とを、最も理想的な形で融合させて、『真の勇者』を生み出すことなのじゃ。そのために志を同じくする教団の信徒を何人犠牲にしようが、彼ら自身も本望というものじゃろう」




ちょい悪令嬢「──っ」




アグネス聖下たん「……まあ、そもそも『ゲームのギミック』を、剣と魔法のファンタジーワールドとはいえ、れっきとした現実世界において実現しようとすること自体が、正気の沙汰ではないのだ。どうせ最初から狂っている、ゲーム脳どもから生み出された『異世界転生』物語なら、思う存分狂ってしまおうじゃないか。貴様らホワンロン王国の者たちも、いつまでも意地になって『反異世界転生』活動をするよりも、素直に『Web小説界の現実』を受け容れた方が、よっぽど楽じゃぞ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。