1.二人の始まり
全80話程の作品です。
楽しんでいただけると嬉しいです。
「……それでさ、リリアナをデートに誘うのに
どう伝えようかと…」
ウィルは、連日ヘレナに恋愛相談を持ちかけていた。
リリアナのことを全く知りもしないヘレナに、恋愛相談をするようになって数ヶ月
彼女の明るく前向きなアドバイスで、もう少しでうまくいきそうだった。
「うーん。わざわざデートって言わなくても、
時々、帰りに誘ってくれる方が楽しみになるかも」
恋バナを他の人に聞かれたくなくて、いつも人気のない場所を選んで二人きり。
「そうか…丸一日は、気を使うしな。」
彼女も人の恋の行方が気になるらしく、
いつも前のめりに話を聞いてくれる。
「そ~でしょ?相手もそのほうが身構えなくて付き合ってくれると思う」
いいアイデアだ!と自画自賛するヘレナの
満足げな笑顔。少し可愛いと思ってしまう。
いやいや、僕はいま恋愛相談中だ。
「リリアナは家が厳しいからな…図書館帰りを狙うか…それとも——」
「じゃあ頑張ってね!またその後、教えてね!」
ヘレナは、あっさりと友達の輪に戻ろうと
歩き始めていた。
「いやいや、ちょっと待ってよ、もう少し話聞いてよ」
「え〜。じゃ何か奢って貰おかな(笑)」
「もちろん!じゃ…カフェに…」
「え?私と行くの?リリアナに勘違いされたらどうするの?」
「あ——、大丈夫。リリアナはカフェとかに来ない。」
「そうなの??」
この頃から、恋愛相談でヘレナに話を聞いてもらう
事が一番満足な時間になりつつあった。
僕の話を興味津々に聞いている顔。表情。
なんだか最近、ヘレナの顔を見て話をしたいって
思う自分がいることに、気づき始めていた。
数日後、
「で、1回くらいうまくいった?」
帰宅途中のデートを、提案していたヘレナは
自分のアドバイスに自信を持っていた。
「あ…いやそれがさ、なんか他に気になる様な子が居
てさ…」
「え…ウィル最悪。早くない?」
ドキ。嫌われたらどうしよう?
「ま、いーけど。もうすぐ叶いそうな恋って、
キュンキュンしたいだけだった!って事もあるもん
ね!」
——結構…前向きだな。
「で?今度は私が知ってる人??」
あ、ヤバイもうバレそうだ。
「あ…そうだ…ね。一応」
「え!本当?ん〜当てられるかな〜」
自分の友達の中から、好みそうな女子を思い巡らせ
ている様子。
そんな表情もとてもかわいい彼女。
いや、そもそも彼女は…
「わかんなーい。だって、そもそもリリアナの顔も知らないわけだし…好みのタイプなんて当たるわけないよ。うん。」
「そ…だね。」
ヘレナがリリアナを知らなくて良かったと
心から思った。
「ね、教えて!また相談乗るから!」
ドキドキが、止まらない。もう、友達でもいられなくなったらどうしようか——
「それは——」
ウィルは、ぎゅっと目をつむりながら…
彼女、ヘレナを指差し出した。
「——へ?私?」
——それが、二人の始まりだった。




