表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手のひらサイズの恋 〜小人と人間のサイズ差ガールズラブストーリー〜  作者: 穂鈴 えい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/107

綾乃の失恋 6

「じゃあ、沙希さんお元気で!」

それぞれ別れの挨拶をしてから、最後にアカリが手を振った。沙希さんも4人に向けて手を振ってくれてから、去っていった。


「沙希さんと暫く会えなくなっちゃうの寂しいですね」

「別に、またわたしたちの夏休みに合わせて帰ってきてくれるし、そこまで悲観しなくても良いんじゃない?」

一番ショックを受けてそうだと思った綾乃さんが一番冷静だった。


「じゃあ、モモカはちょっとリリカちゃんと一緒にモモカの家に寄ってから帰るねぇ!」

「勝手に決めないでよ!」

「嫌だった?」

「嫌じゃないけど!」

そんな会話をしながら2人が去っていくから、綾乃さんもアカリものんびりと見守ってから、ふと気づく。


「ねえ、よく考えたら桃香がいないとアカリが帰れないんじゃないの……?」

「あっ……、そうですね……」

綾乃さんはプティタウンの入館証を持っていなかった。


「仕方がないわね。どこか公園ででも休んでおきましょう」

綾乃さんがため息をついた。


マイペースな桃香たちのせいで取り残されてしまった。のんびりと近くの公園に移動した。綾乃さんはベンチに座ってから、アカリのことを膝の上に置いた手のひらの上に乗せていた。


「最近かなり暑いわね」

綾乃さんが6月に挙式をしていた後の季節は、もうすでに初夏だった。


「手汗大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ。汗かいてないです」

本当はほんのりジメッとしているけれど、気にするほどでもない。


「でも、綾乃さん元気そうでよかったです」

「どういうことかしら?」

「沙希さんが結婚したんで、ショック受けてるのかと思ったので」


「なんだ。そんなこと? 好きな人が好きな人と結ばれたのだから、ショックを受けるわけがないじゃないの」

綾乃さんがどこか遠くの方を見つめながらため息をついていた。無理をしているのがわかりやすかった。


「綾乃さんは強いんですね」

「強がってるみたいに見えてるのかしら?」

「えっと……」

綾乃さんが少しキツイ口調で言ったから、アカリが困惑する。


「まったく……、あなたの視点からだと気持ちを隠すのが楽で良いわね」

ごめんなさい、とアカリが謝ったところで、手のひらの上に水滴が落ちてきた。目の前にボトっと落ちた水滴を見て、一瞬慌ててしまった。


「これって……」

「前言撤回するわ。あなた相手でも感情が隠せないくらい、本当は私の気持ちは荒んでいるみたいね……」


下を向いて、アカリの方を見つめた綾乃さんの瞳が潤んでいる。そして、次々と手のひらに向かって、涙が溢れてきていた。


「綾乃さん、すいません、わたしのほう向いて泣かれたら涙の粒が怖いんですけど……」

コップをひっくり返したときみたいな水の塊が次々とアカリの周囲に降ってきていた。雨というよりも雹みたいなイメージだ。


「そんなこと言われても、知らないわよ。泣かせたのはアカリじゃないのよ!」

「泣かせるつもりは……」

「一緒に沙希を取り合ったあなたに沙希のことを思い出さされたら、いろいろと我慢できなくなっちゃうもの!」


アカリは取り合ったという気持ちはないけれど、泣いている綾乃さんの言葉に水を差す気にもならず、静かに聞いていた。降ってくる涙の塊から身を避けながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ