プティタウンを探せ! 2
「で、今日はわたしの住んでたプティタウンを探してくれるっていうことでいいのよね?」
「もちろんだよぉ!」
お手洗いから戻ってきた桃香がスマホを使って調べてくれていた。
「あ、リリカちゃん、見てぇ! これ美味しそうだよぉ!」
「はぁ? 美味しそうって……。だから、プリンじゃなくて、プティだってば!!」
桃香の見せてくれたスマホの画面には美味しそうなプリンの写真がズラリと並んでいる。
「あ、そうだったぁ……」
慌てて桃香がスマホの画面で検索をかけ直してくれている。
「でも、リリカちゃんが無事にお家に帰れたら、さっきのプリン一緒に食べに行こうよぉ」
元々甘い話し方なのに、普段よりもさらに甘えるように言ってくる。
「……悪いけど、今は家に帰ることしか考えられないから」
「そっかぁ」と桃香がスマホの画面を見ながらガッカリした声を出していた。
普段なら人間と一緒にプリンを食べに行くなんて、悩む間も無く断るのに、なんだかちょっとだけ魅力的な提案に聞こえてしまった。きっとさっきのプリンの画像がとても美味しそうだったからに違いない、と自分に言い聞かせる。
「ねえ、リリカちゃん、プティタウンで合ってるんだよね?」
「そうよ、プリンじゃないわよ?」
「プリンじゃないのはわかったんだけどぉ……」
リリカの方に見せた画面の検索画面にはたしかにプティタウンとなっている。だけど、そこにリリカたち小人が住んでいる町としてのプティタウンの情報は何も載っていなかった。
「10ページくらい見てみたけど、何も情報がないやぁ……」
「そ、そんな分けないでしょ……。ねえ、もっとしっかり探してよ!」
うん、と桃香は頷いてから、リリカと話し合いながら検索ワードを出してどんどん打ち込んでもらう。
「プティタウンとは」とか「プティタウン 場所」とか「プティタウン 行き方」とか「プティタウン 小人」とか「プティタウン プリン」とか、とにかく思いつく色々な単語を入れてみたけれど、まったく情報が掴めそうにはなかった。
「うーん、ダメだぁ」
桃香がガッカリしたように机に突っ伏して、耳を机に引っ付けながら顔を横にしたから、リリカとの視線の距離が近くなる。呼吸でワンピースが揺れてしまいそうなくらい近くにいる桃香の整った顔を見て、思わずドキリとしてしまう。
遠くから見ても可愛らしかったけれど、近くで見ると、それぞれのパーツが綺麗なことにも気がつく。近くで見ても、産毛もない手入れされた肌とか、リリカの腕くらい長い睫毛とか、潤った唇とか、細かいところまで手入れが行き届いている。そんなことを考えしまっていると、桃香も同じようなことを言う。
「リリカちゃんのこといつもよりもしっかり見えるけど、やっぱり可愛いよねぇ。本物のお人形さんが動いてるみたいで、全然飽きないよぉ」
桃香が微笑みながら大きな人差し指でそっとリリカの前髪を持ち上げた。
「今度虫眼鏡でお顔しっかり見てもいいかなぁ?」
「や、やめてよね。恥ずかしいから!」
レンズ越しにギョロリと動く大きな瞳を想像したら、たとえ桃香相手でも多分恐ろしいだろうから、できればご遠慮したい。




