第20話ゴブリンゴッド
こんにちは、トニーひろしです。
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掃討大会開始から12時間後。
ウィヌ達の前には7体のゴブリンがいた。
「これで最後だ! がんばるぞー」
ウィヌが息を切らしながら言う。しかしそこにはいつもの覇気がない。
疲労が色濃く出ているのは12時間ほぼ休み無しに戦っていたからだろう。
ゴブリン達とも剣を打ち合う拮抗した戦闘になる事も多くなってきたような気がする。
回復装置で回復できる体力は精神的な疲労まではカバーしていない。終盤に差し掛かって、ウィヌ達のペースは確実に落ちていた。
「そうね行くわよ! ユナ」
「待ってよー、サナー」
サナがユナに喝を入れる。
ユナは特に疲労困憊で、今にも崩れ落ちそうな動きをしている。
ユナのスキルである喜怒哀楽はステータスに補正をかける特性上、ウィヌ達よりも疲れやすいのだ。
ユナだけでなくウィヌとサナもそれは薄々察してはいる。影魔法を操れるサナは自分の敵だけでなく、ユナのフォローにまわる事が多くなってきた。
サナはウィヌとユナの様子を見て、最善手を考える。
「ウィヌ、下がって! 本気を出すわ!」
サナが濃密な魔力をまとう。
ウィヌとユナは驚いた様子を見せたが、サナの言う通りゴブリン達から距離をとる。
サナはラストバトルだからか影魔法の中でも上位の魔法を行使した。
周囲の影がサナに集まっていく。
やがてサナの頭上に集まった巨大な常闇の影がピンポン玉ほどの球体に分断した。そしてそれらの形も変化し、ナイフの形に変化して行く。やがて竜巻のように渦を巻いた黒いそれは天をつき、ゴブリンの方に移動して行く。
影魔法ブラックディザスター。圧倒的な漆黒の災害がゴブリン達を襲う。
「グッ、グギャ!」
「ガガガ!」
「グギャ、グッg」
ゴブリン達は恐怖でその場にヘタリ込む。そして漆黒の災害にのみこまれていった。
周りはもう暗く、夜を迎えていた。
ゴブリン掃討大会はこうして終わりを迎えたのだった。
だが⋯⋯ウィヌ達にはまだ無事に町に帰るという最大の試練が残っていた。
***
ウィヌ達は夜道をひたすら歩いていた。
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
3人とも体力の限界なのかひたすらに無言である。
しかし、ウィヌ達は焦っていた。
夜の森は昼よりも強い魔物が多く、しかも隠密性に優れた魔物が多い。ウィヌ達がスキを突かれてやられる可能性だってゼロではないのだ!
ゴブリンとの戦闘で大量消費した回復の紙が残り少ないのもウィヌ達からすれば不安の種であった。
こういう悪い事は大抵、立て続けにやってくる。
ウィヌ達に試練が訪れようとしていた。
***
暫く歩くと、ひらけた場所が見えて来た。
小さな澄んだ小川が流れるそこは月明かりがしっかり届いており、幻想的な空間となっていた。
ユナがそれを見て目を輝かせる。
「うわぁー、すごい!」
「ここで一旦休憩しましょ!」
「まあ、ひらけた場所の方が奇襲はされにくいだろうしな」
「そうじゃないでしょ!」
「そうよねー」
「こういう景色見ると冒険者やっててよかったって思えるわよねー」
「そうよねー」
サナとユナはうっとりしていた。
サナに至っては途中から"そうよねー"としか言ってない。
その様子を見て、ウィヌは溜息をつくのだった。
「そうだ! 今の間に結果がどうなったか見よう!」
ウィヌはゴブリン掃討大会の結果を確認しようと冒険者カードを取り出す。新技術の回復装置を使っているだけあって、恐らく大丈夫だろうがそれでも心配になるのは人情だ。
ゴグリ!
ウィヌは生唾を飲み込む。
冒険者カードにはこう書かれていた。
優勝:代表者ウィヌのパーティー
代表者ウィヌのパーティーはギルドに訪れること。ウィールス装備店の装備提供は後日とする。
ふーーーぅ。
長く息を吐いた。
ウィヌの顔には安堵の表情が浮かんでいる。
今回のためにウィヌは金貨1枚も投資しているのだ。当たり前であろう。
「何あれ!」
ウィヌの幸せムードをぶち壊すかの様なタイミングでサナは叫ぶ。
そこには4メートルほどの巨大なゴブリンが佇んでいたのだった。
ガキン!
剣と剣が衝突する音が響く。
しかし、それは拮抗したものではなかった。
ズサササササッ!
ウィヌが押し負けて、後ろに飛ばされる。
「つ、強いっ!」
「ハァハァ」
ユナの息は上がっており、とてもしんどそうだ。
「シャドウスピア!」
腕を上げ、サナが叫ぶ。
魔物の影が一瞬で細長い槍に変化し、後ろから魔物を貫かんとする。
しかし、攻撃が通らない。魔法のキレもいつもより悪いようにウィヌは感じていた。
実は、それは正解だったりする。
影魔法は昼間の晴れている時の方が強いのだ。
考えて見てほしい。昼間の晴天の時の影は月明かりがある夜や曇っている昼間に比べ、影がはっきりとしている。濃い影と薄い影のどちらが強い魔法を作り出せるのかは火を見るより明らかである。
その後も、シャドウバインドやシャドウマッドといった妨害系の魔法を使うがすぐに抜け出されてしまう。
「うまく行かないわ!」
サナは夜の戦闘が苦手だ。ウィヌとユナが頼りなのだ。
ウィヌとユナも休息時間で回復しているのだが、いかんせん相手が強い。並の魔物を一瞬で倒してしまうような冒険者2人を軽く相手をしている。
巨大なゴブリンが腕を上げた時、二の腕によくわからない記号のようなものがユナには見えた。
ユナが目を見開く。
「まさかゴブリンの称号持ち!? 私達が苦戦するとなると⋯⋯ゴッドか!」
「何っ!?」
「ホントなの?」
ウィヌとサナも驚きの表情を浮かべる。
魔物の中で稀に種族を束ねる圧倒的な変異種が生まれてくることがある。それらは種族名の後にジェネラルやキング、そしてゴッドなどの称号をつけた形の種族名で生まれてくるそうだ。
そいつらの特徴は体のどこかに紋章があることである。魔物の生態系がよくわからないため未だにそれが何なのかは分かっていない。
そいつら変異種の中で最強なのが種族名の後にゴッドの称号を持つ魔物である。
ゴッドの称号持ちは知性を持ち、そのステータスは元の種族のステータスの20から100倍と言われている。種族によっては魔族をも打ち倒すことが可能なのである。
そして称号持ちの最も厄介な所は種族をまとめ、行動する点である。集団の大きさは種族や周囲の環境などによって変わってくるらしい。
ウィヌ達はゴブリン達が大量発生したのはこいつのせいかも知れないと思うのであった。
魔物が唐突に口を開く。
「ハッハッハ! バレテ、シマッタカ。ワレハ、ゴブリンタチヲ、スベルカミ、ワレニカテルトハ、オモワナイコト、ダナ!」
ゴブリンゴッドが大声で笑う。
明らかにこちらを見下したような視線は今まで負けた事のない圧倒的自信から来ているのであろう。
実際に強い。
ウィヌ達は今までの疲労とこの魔物に勝てるのかという不安で一瞬身体が硬直してしまった。
「スキアリッ!」
そう言ってゴブリンゴッドがウィヌとの距離を一瞬で詰める。
「――ッ!?」
声にならない叫び声をウィヌがあげ、間一髪で剣を自分と迫り来る大剣の間に滑り込ませる。
しかし、迫り来る嵐のような勢いを消す事は出来ない。
そのまま後ろに吹っ飛ばされ、意識を失ったのだった。
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