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Ⅱ 神隠しにあった ~丘~


 思わず、三人は目を瞑った。

 死んだと思った。


 顔に、熱を感じる。

 瞼が明るい。


 感覚が鋭く、そして素早くなっているのだと思った。

 だが、耳から入る音は相変わらず、ババババババ、という音が一定に響いているだけだし……

 ババババババ?

 白美は自らの思考に疑問を持ち、顔を上げる。

 そっと瞼を上げ――

 ――カッ。若干黄色が混じった白色の、まぶしい光が、目に入る。

 思わず目を閉じ、手で覆った。

 白美だけでなく、舞子もそうしている。

 こおりだけは平気なようで、光が来る方を見た。

 発生源は、直径25センチはありそうな、体育館などでよく見かける大型の照明用ライト、それの出す光を激しくしたものだ。

 それが正面から5つ、側面から5つと、計10もあり、一人一人ずつ持っている。

 また、持つ人の左右には、戦闘員と思われる、ゴツい体格の者や、銃を抱え迷彩服を着た者、帯刀した者とそれから、黒いローブに杖を持つ者など、様々な人がいる。

 つまりこの場にいるのは、3人を取り囲むのは――合計30人。

 そしてそれだけじゃない。

 ババババババ、という音の正体・丁度真上に存在するヘリ2機の中にも、何人かいるはずだ。

 少なくとも35人弱、といったところか。

 非力な少女、白美・舞子・こおりの3人を取り囲むにしては、充分に多すぎる人数である。

 叫ぶ気力すらなかった。

 もう訳が分からないと放心するしかなかった。

 逆に、この出来事のおかげで、

 放心することしかできなかったおかげで、

 白美は冷静さを取り戻した、と肯定的にも捉えられる。

 どちらにしても、兎に角、どうすればいいかわからなかった。

 微動だにできない。

 と、正面から一人、誰かが歩み寄ってきた。

 細身で、長身長髪の……女剣士。

 すでに抜剣している。

 シンプルな作りのその剣は、しかし長さ、そして大きさで迫力を増している。

 実際、強いのだろう。

 女剣士と、剣は、完全に一体になっている。

 ざ、ざ、ざ。

 近づいてきた女剣士は、白美たちを真っ正面から見据えた。

 剣を上げ、白美たちの首もとに突き出す。

「…………」

 ヘリの音が、意識から消えた。

 背中が凍る。

 無言で、静寂の世界に囚われた。

 その静寂を破ったのは。

「あなたたちに話がある。……質問に答えろ」

 鋭い声だった。

 女剣士が発した、鋭い声。

 なのに、若干の震えが……申し訳ないと思っているのではい……恐怖の震えが、あった。

 2~3秒開けた後、再び女剣士が口を開く……前に。

「……なぜ……私たちはこんな状況に陥った上で……話を聞かなければいけないのでしょう……」

 こおりが言った。

 ほとんどのことに無関心の、その精神が、幸いして、固まっていなかったのだ。それでも、やっとのことで、声を出せた、だが。

 その声に、女剣士は――ッ。さらに目を鋭くする。

 半ば睨むようにこおりを注視して……それでも冷静さは欠かない。

「…………こちらには運命がかかるような状況でな。もしお前たちが質問に答えたら、何でも用意してやる」

「……そう……なら早く質問を……」

「……あ、ああ」

 こおりの切り替えの早さに女剣士は驚きつつも、咳払いを一度して、話を進める。

「こほん……。とりあえず自己紹介をさせてもらう。私は剣士・ローズだ。二つ名は『両手の薔薇』。ナチュラ村守護団代表だ。出身もナチュラ村である。……さて、3人にも自己紹介をしてもらおう」

 一番はじめに目を向けられたのは舞子だ。

「……え、あ、えっと……奈良県椿町が……出身? で……町立椿高校一年の……一年生です。名前は……生、駒、舞子」

 なんども噛みながらも、何とか終える。

 ローズは視線を右へ、白美へとズラした。

「……お、なじく……平城白美……です」

「……こおり……郡山こおり……」

 間髪入れずに、こおりが答える。

「舞子ちゃんと、白美ちゃんと、こおりちゃんか……。その高校ってのは、学校、ってことだよね、つまり」

「……はい……」

「えっと……年齢は?」

「……私は16……残りは15……」

「そう。ところでもう質問は次で最後でいいんだけど……」

 ほかにもいろいろと訊かなければいけないことがあったが、こおりの即答がやりづらく、ローズは端折る。

 端折って、もっとも訊かなければならないこと、究極的に、そこだけ訊いたらいいことを、訊く。

「それより先に言っておくわ。私たちには招きたい客以上に、招かざる客がいる。もしあなたたちが招かざる客の場合、問答無用できるから。悪く思わないでね……私たちナチュラ町民全員の命が掛かっているのだから」

 そう前置きして。

「……率直に問う。あなたたちは、銀河の、どこから着た? 住んでいる惑星の名前、その惑星の公転の中心にある恒星の名前、惑星があるのはどの位置か。すべて詳細に述べて」

 訳の分からない質問だった。

 訳の分からない質問だと思った。

 訳の分からない質問だと思うしか無かった。

 それでも。

 こおりが代表して。

 やはり即答した。

「……直径約10万光年の、銀河系。その中にある太陽を中心とした太陽系。惑星は太陽系にある8つ――内側から水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星のうち、地球……いわゆる、太陽系第三惑星。地球の表面の十分の七は水に覆われていて、一周約四万キロある……」

 一気に、早口で、言い切る。

 目を瞑って、ローズは聞いていた。

 途中で顔を上げた。

 目を見開いた。

 そして――



「ごめんなさい」



 ローズは剣を――



注・奈良県に椿町は存在しません。それから町立の高校なんてあってたまるもんですか、と思いますが、まあそこあたりは端に置いといてください。全くこの設定は、今後生かされない……予定ですので。


予定は未定ですが。



それから、今日からテスト二週間前で、六十点以下で留年が見えてきちゃうような学校に僕は通っているので、勉強を明日から開始します。

もしかするの二日に一回、抜けるかもしれませんが、勘弁ください。

最悪、一~二週間更新なし、という場合もあります。

そのときは次の投稿で一万文字出します。予定は未定


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