怠惰VS傲慢VS強欲...?
お久しぶりに投稿!
「之で全員だよね?」
僕の目の前には氷漬けにされている十一人の人間が置かれていた。
全員が恐怖を表したような顔で凍っているのは何とも言えないが。ラッキーだね少女、君は縛られているだけで。
『みんなぁ!』
「ヴァイス、拘束温すぎないか?私みたいに氷漬けにした方が安全だぞ」
「Ahahaha、ナイスジョークだよオール。彼等にお前をを害する事なんて出来るわけないよね。もっと穏やかに捕まえようよ!
それにズィルバア、君明らかに意味もなく魔法使ったよね!そのせいでバレたし、一般人に被害がでてきたし。
後数分後には最寄りの勇者達やら機関の人間が来るってブースから情報がきたから逃げるよ。
【補助魔法・集団転移】」
さて、話し合いと名の尋問でもしようか。
「・・・よ、はやく起きなさいよ!」
未だに意識がある朧気な俺はジェシカの声で目を開ける。どうやら俺は仰向けになって寝かさ倒されてうで世界遺産にでも登録されそうな美しい壁画が目に映る。
首を少し動かせば俺と同じように仰向けになっている仲間の姿が映る。何人かは俺と同じように意識があるあるらしい。
そして、俺のすぐ横には茶色の髪の男っぽい顔の少女ジェシカがいた。普段は活力あるその茶色い瞳は憔悴した感がいとめない。
「ここは何処だ?俺は確か氷の魔法使いに倒された筈だ」
赤い髪の少女に俺達はあっさりと氷漬けにされた。炎ですら凍らしたあの魔法の強力さは七勇者、いやそれ以上の力量を表しているだろう。
『おや?やっと、起きたんだ。
本当にオールとズィルバアのせいで余計な仕事が増えたものだよ』
『五月蝿い!怠け者が。
こんな時くらい付き合え』
『そうだぞ引きこもりニートが!
俺達の暇潰しにも少しは付き合え』
『失礼な!僕はちゃんとダンジョンの外に出ているから引きこもりじゃないんだもんね~だ』
そこにいるだけで押し潰されそうな程の威圧感を出している謎の三人が来た。
黒髪のけだるそうな顔をしている少年は自虐的な笑を浮かべてニートを否定し、神々しい金色の髪をした少年と赤い髪をした俺達を捕まえた少女がそれを責める。
そして、金髪の少年と赤い髪の少女の顔を俺達は、いや全人類で知っているだろう。
【傲慢の魔王】ズィルバアに【強欲の魔王】オールである。
もう一人は誰だ?魔王、その中でも魔王達を統べる七大魔王と軽口が出来る。
『あぁ、この二人の事は分かるのかい。まぁ、当然だろうね。
それじゃあ僕だけ自己紹介をしようか。
僕は怠惰の魔王ヴァイスだよ』
その目は何処までも無透明だった。まるで何か大事な物をどこかに置いてきたとでも言うように。
そして、俺は直感で悟った。勝てないと。
「単独直入に言うがお前達には二つの選択肢がある。
俺達に服従するか、そのまま殺されるかだ」
うわぁ、本当に単独直入だね。ズィルバアは、何処までも貶したような目で彼等を見る。
まぁ、実際にそうなんだけどね。
『おっ、』
「【呪魔法・口閉】
あぁ、喋ったら面倒くさくなるだけだから喋らないでね」
自身の髪の毛の先っぽが燃えるのがうっすら見える。
ナイスホロー、自分で自画自賛する。そもそも、之は話し合いなんてやわなものでは無い。
話し合いや対話は力が同じでないと成立しないのにね。
因みにこの魔法は呪魔法は、何かを犠牲にする事で成立する一風変わった魔法だ。効果は余程の事が無い限り成功する。
「詳しい話しはヴァイスがする」
「あっ?
何でかな?君が話す雰囲気だったよね今!というより、君がここ指揮ってますよオーラ出してよね!?」
「うるせぇ!
そもそも、この中でお前が一番強いだろうが!」
「おや?認めるのかな、君が僕に負けたのを認めるのかな?
傲慢の魔王が笑わせますねぇ」
「あぁ?やるか、お前。
今ここでやるのか?俺はいいぞ?」
よっしゃ!どうにか誘導出来た。今ここで、ズィルバアと模擬戦(ほぼ殺し合い)するよりも之からの処遇を話す方が面倒くさい。
「面白そうだ!私も入るぞ」
そして、ここでオールが入るのも予測済みだ。すると、僕達の周りが光り出す。
「【補助魔法・集団転移】」
「うぅ、寒い。【補助魔法・体温調節】
【補助魔法・空中散歩】
って、やべ【補助魔法・空中補強】
【防御魔法・守護結界】」
そこは、大空であった。叡智之管理者によると此処は大西洋上空らしい。そして、周りにはズィルバアとオールがいた。
あぁ彼等はあんな所にいるのか、落下していたので魔法で足場を作って巻き込まれない様に防御魔法を彼等の周りにかける。
「早速始めようぜ!」
「何処からでも来るがいい!」
「元気がいいのはいい事ですね〜【補助魔法・亜空間倉庫】」
僕は、美しい愛用の杖を取り出す。既に二人はそれぞれの神器を手に持っている。
「【補助魔法・連続転移】」
僕は短距離を連続で転移する。僕の戦闘スタイルは取り敢えず魔法を使いながら相手の攻撃から逃げるだ。
「【召喚魔法・地獄之門】、悪魔達ヴァイスの動きを止めろ!」
ズィルバアが血のような赤と奈落の底の様な黒が混ざった渦を創り出し、悪魔達を召喚する。
この悪魔達はズィルバアの魔王としての悪魔ではない。ズィルバアの戦い方は肉壁を盾に炎魔法や銃での攻撃が主である。
「私を無視するとはいい度胸だな!
【氷武魔法・氷女王国】」
辺りが更に冷える。それに比例して、例えるならばオールの魔力に染まっていると言えばいいだろう。
オールの荒々しい山脈の様な魔力が可視化できる程にオールの魔力が濃い空間に変わる。
この空間内では氷魔法が最も使いやすい、つまりオールが有利な空間である。
之をどれ程維持できる、また魔法が解ける一時間以内に敵を倒せるか、それがオールの戦略だ。
「【攻撃魔法・十頭星龍】【攻撃魔法・十頭魔龍】」
愛用の魔法、十頭龍を使う。狙いは、星龍で悪魔を殺し、魔龍でこの空間のオールの魔力を狂わせ出来るだけ魔法を使いにくくする。
「【炎獄魔法・地獄炎獣】」
それをドス黒い炎で出来た獅子で対処する。その獅子は禍々しい黒い牙で星龍を達を食い殺す。
「死ねええええ!」
「っ!面倒くさくいなぁ」
それを転移しながら見ていた僕をオールが大剣で攻撃する。
転移の移動の魔力で転移場所を予想していたらしい。普通は無理だがこの空間は既にオールの空間に等しいため可能だろう。
大きく横に振られたそれは風圧だけで人を吹き飛ばすだろう。
だから、
「【補助魔法・体重軽量】
ありがとう、飛ばしてくれて!」
「しまった!」
僕は魔法で身体を軽くして、それはもう塵のように軽くして遠くに飛ぶ。
そのまま、転移で移動。
「【召喚魔法・増殖飢鉄】」
「邪魔だ!」
召喚魔法で毎度お馴染みの鉄球達を出してオールに向かわせる。
しかし、鉄球達は一瞬で真っ二つになる。そして、切られた所から凍っていき最後には下に落ちていった。
「【氷武魔法・万舞氷剣】」
「【防御魔法・溶岩流盾】」
煌めく氷の剣たちが現れる。あれ全て、気体を凍らせて作ってんだよね。
それを僕は、溶岩で出来た球状のドームに入りやり過ごす。
暑さはとかは大丈夫なのかと思えるが、最初に使った【補助魔法・体温調節】って何気に第十三階位のレベルの高い魔法で、どんな温度でも火傷もしない優れ魔法だ(魔力の量や操作が少々めんどくさいが)
氷の刃が盾につきき刺さる。その間に僕は再び転移で移動する。
「【反転】【攻撃魔法・溶岩千槍】」
そして、置き土産として溶岩で出来た千本の槍を辺りに撒き散らす。
そして、僕の注意はズィルバアに戻る。
「ありゃ、遅かったかも」
「...傲慢であるからこそ王」
ズィルバアはこの隙に傲慢之管理者の力を使うらしい。それがどんな物か知らないが厄介なのは変わらない。
それを僕は止めるのが遅かった為にズィルバアはにやり顔で僕とオールを見る。
「残念、【呪魔法・口閉】」
「開け、傲ま...」
僕の右腕が無くなる。まぁ、1時間程で生えてくるからいいが。
そして、ズィルバアの詠唱が止まる。単純だからこそ強力、そもそも詠唱する魔法は詠唱を止めさせればいいのだ。
「隙ありぃぃぃい!」
そして、あんな大詠唱だ。相当な隙があったのだろう。
それを逃さずオールがズィルバアを斬る。それは、まさしく空や海を斬る、実際に夜空の雲は真っ二つに分かれ、海も叡智之管理者によればモーセの脱エジプトのように分かれていた。
「けっ、ゲホッ」
苦しそうだがこんなので死んでいては魔王の名が廃る。ただ、ここでズィルバアが脱落なのは間違いないだろう。
「さぁ、次はお前だ!
覚悟しろヴァイス!」
「こっちくんな!
残り時間まで逃げ切ってやるよ!」
こうして、僕とオールの鬼ごっこが始まる。
「なっ、何だよあれ」
魔王に捕まり、空の上で放置、そして向こうでは魔王という名の怪物達の戦い、いやあれはもはや災害が起きていた
『あぁ、負けちまったぜ。
やっぱり、ヴァイスは小手先が多くて器用だから、こういった遊びは得意だな』
「あっ、遊び」
リーダー格の俺が声を引き攣る。本気をだしたらどうなるのか聞きたいところだ。
人間では到底使えない魔法を軽々しく使ったり、目にもとまらぬ早さでの戦闘。
魔王とは本当に化け物なんだな。
『あぁ、遊びだな。
俺もヴァイスもオールも神器本来の力使ってねぇし、管理者スキルも殆ど使えてなかったからな。
おっ、もうそろそろ決着が付きそうだな』
『うぅぅう!ちょこまかと!
之でも喰らえ』
『そんな大振りな剣に当たるもんか〜』
空間を切り裂きそうな横に振られた大剣を華麗に避ける。それを、怠惰の魔王がニヤニヤと笑う。もはや、強欲の魔王でなくて憤怒なのでは?
『くぅぅう!こうなったら、【補助魔法・身体強化】!』
『ちょっ、お前マジかよ!
ヴァイス、さっさと決めろ。そうじゃなければ、オール死ぬぞ!』
「くぅぅう!こうなったら、【補助魔法・身体強化】!」
いや、バカなの?アホなの?僕達が身体強化を使うとめちゃくちゃ魔力の操作がめんどくさいの分かってるよね。
下手したら人型の世界破壊爆弾だよ?君本当に強欲の魔王なの?完全に憤怒だよ。
【補助魔法・身体強化】その名の通り、全ての身体能力を強くする。その強化の加減は魔力で変わる。現在のオールの身体能力は末恐ろしい事になっているだろう。
「あぁあ!もう、めんどくさいなぁ。
さっさと終わらせるか。【攻撃魔法・破音爆弾】」
だからこそ、そこに欠点が現れる。僕は、ただただ大きい音がする魔法を使う。それだけで、オールは耳から血を出して倒れる。
なぁに、身体能力が強化されているのだ、五感も強化されているだろう。そして、聴力も素晴らしく発展している事だ。
ならば、そこをつく。
そのまま、落ちていくオールをズィルバアが拾い上げる。おいおい、仮にも女の子をゴミを持つ様な持ち方で持つんじゃないよ。
僕は、ふと当初の予定を思い出す。いけない、いけない、誰かに話してもらうんだった。
僕はクルリと、捕虜達を見る。
「それでは、諸君、之よりズィルバアが君達を何で捕まえたか教えてくれるよ」
「お前、俺にフルな!」
「ぎゃはは、ズィルバア、私はお前の天才的な説明を頼む。
存分に私をわら...納得させてくれ」
「オール!俺を笑い物にする気だな!」
いつの間にか、元に戻っていたオールが笑いながら言う。
そして、それに怒るズィルバアに僕とオールは声を揃えて、
「「弱かった君(お前)が悪い」」
言う。それが真理だ、何もかも強くなければ始まらないし、得る事も出来ないし、ただ奪われるだけだ。まぁ、それは全員が了承済みなのだがね。
なので、今魔王全員はサマエルさんに勝ち全ての事を洗いざらい言ってもらおうと試行錯誤しているのだ。
之も、その一環だ。